どどる さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
魔法少女になってよかった
まどかマギカのテレビシリーズ、劇場版のネタバレも含むので閉じておきます。ゲームは遊んでいないマン。
{netabare}
マギレコ、ほんまテーマ大事にしてて良い。
ちょっと言葉遊びみたいで恥ずかしいですが、一連のシリーズの元祖であるまどかマギカは希望を抱く少女で終わりました。
叛逆はそれを対に欲望というか、まあ単語はなんでも良いんですが、まどかテレビシリーズで選んだ未来とは反対、と言って良い個人的な未来を選択しました。
そして、今作マギアレコードのいろはちゃんは、「絶望しない少女」とでも言えるでしょう。
希望を抱くのと絶望しないのは、全然違うことです。
みんなを助けたいというまどかの希望。
また助けられなかった…ここからやりなおそう!といういろはのガッツ。
さらに己の置かれたこの境遇に対して「私、魔法少女になれて良かった!」といういろは。
普通の女の子、このタイミングで良かったって言わない。
ういから託された黒江ちゃんが「これで魔法少女をやめられる」って魔女になっちゃって、妹たちも3人が全員死亡。
誰も助けられない。
それで内面の声に「やること間違ってたよね」と指摘されて、言うことが「魔法少女になれてよかった」。
ノータイムなのがすごい。
アニメの演出って、覚悟をのんびり見せちゃうことが多いです。
でも、覚悟が決まっていたのなら、本当はノータイムなはず。
「愛してその人を得ることは最上である。愛してその人を失うことはその次によい」ということもあるでしょう。
結末は不幸だったものの、確かにそこに大事なものがあった。
大事なものを全て失っても、それを知らないまま過ごす日々よりよかった。
大切な相手が亡くなった時、飼っていた犬を亡くした時。つらくても、それでも一緒にいられてよかった。
いろはちゃんは、そう考える。
いろはちゃんのノータイム覚悟に説得力を補強しているのは、シリーズの積み重ねです。
いろはちゃん、S1ラストでやちよさんの弱さを知ったあたりから、かなり明確に強さが描写されはじめます。
まずはS1ラスト、落ちながらの笑顔。死ぬかもしれない時に笑える女。
S2の帰還時には、強キャラやちよさんもいろはの前ではヒロイン状態。
S2最終話、鶴乃をもとに戻すのに失敗する場面では、やちよさんに対して、もはや母親並の包容力。
焦ったり嘆いたりは普通にするのですが、じゃあどうするのって選択の場面では迷っりしたことが少ない気がします。
ただ、普通はこういうアニメは「普通の女の子」の部分を本質とすることが多いので、いろはちゃんの覚悟ガン決まりにミスマッチを起こした人はいるかもしれません。
思えばまどかもほむらも、「普通の女の子」とは全く違う結末へ向かっていました。
とうてい等身大とは言えない、いろはちゃんの超人性は、まどマギシリーズの方向性を見るような気持ちがします。
そして黒江ちゃん、いろはちゃんと対になる、頑張れなかった子。
黒江ちゃんの「魔法少女をやめられる」。
いろはちゃんの「魔法少女になれてよかった」。
メインキャラではないかもしれませんが、メインテーマをになう女の子だと言えます。
{/netabare}
S2とS3の変則話数から予定外の進行だったのではないかとは思います。尺の使い方がおかしかったのでそこは減点として4.8点。
惜しい!!!