ネムりん さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
古見さんはコミュマスターだった件
・作画 3.5点→4.0点
作画の質だけではなく、作画演出が特に素晴らしかったので+0.5点。
・音楽 3.5点→4.0点
OPの歌詞や曲調どこかで聴き覚えがあるなと思っていたら『るろうに剣心』のOP主題歌歌っていたシンガーソングライターの川本真琴さんでした。懐かしい。
さすがにあの声はもう年齢的に出ないだろうということで、人気声優の伊藤美来ちゃんにバトンタッチということなのでしょうね。{netabare}点数は少し甘めに付けてるのはここだけの話。{/netabare}
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物語の評価はコミュ症で悩んでいる人の視点に立って物語が描れていてとても良かったです。
古見さんのようなコミ症の人にとって、明るく気軽に接してくれる周りの人達の存在が、自分からは積極的に声が掛けれられないのでとてもありがたかったりするんですよね。
クラスメイトがただ騒いでるだけではなくみんないい奴ばかりだから、中学生の時の班決めの回想シーンで周りから孤立してしまい悩んでいる古見さんの姿がありましたが、対比するような形で今の友達の存在があり、過去を振り払って勇気を出してクラスメイトに話し掛けてみようという気持ちにもなれるし、最終話で只野君との会話シーンで終業式を迎え「この時間が終わってしまうのが寂しいです。」と古見さんの心境が語られてたけど、その存在自体が嬉しくて前向きになれるので、最初のクラスメイトの理解者である只野くんや家族以外の人とはほとんど会話をする事が今まで出来なかったけど、最後の方で同級生の佐藤(甘美)さんにも声が掛けられるようになってたし、尾根峰さんの弟ちゃんに「シャアのお姉ちゃん綺麗な声だからもっと喋った方がいいよ」と言われて「頑張ります」って、コミュ症を克服するための決意にも取れる一歩前に進めた古見さんの姿がそこにあり、その成長過程がとても繊細に描かれていたと思います。
最終話の消しゴム落としの話などは何も考えずに観てしまうと普通に思えてしまうのだが、みんなが楽しく盛り上げてくれるから友達っていいなって思えるシーンになってたし、一見バカなことをやっているような山井さんや見た目ヤンキーの片居くんは声は掛けづらいんだけど、中身は実はいい奴だから頑張って声を掛ければお友達になれるかもしれないとコミュ症を克服するためのきっかけを与えてくれているので、コミュ症の人の気持ちに立ってよく考えて作品が作られているなという感想を持ちました。
特に優れていると思ったのが作画演出面で、焼き芋を買う話なんかは無音声だけどアドリブだけで焼き芋を買おうとするシーンは、おまけ付きでタダで焼き芋を貰うという流れでしっかりと話が作られていて面白かった(結局お金は払ったというオチ)し、山井さんの古見さんのパンツに執着する異常な眼差しや、エヴァの初号機がビースト化した時のような人外の動きとか、ストッキングを被って微笑みを浮かべてからの全力ダッシュで逃げるところは気持ち悪さが映像面からとても伝わってきて(笑)、こういうシーンではこういう作画を持ってくればもっと面白くできるのではと制作努力が感じられました。
またコミュ症の人の気持ちを演出するための日常からは少し離れたバレンタインデーの時の話のようなチョコを渡したいんだけどいつまでも渡せなくてそわそわしながら、最後思い切って渡したが恥ずかしくてこれまた全力ダッシュで逃げる古見さんのような現実寄りの作画演出が、思春期の時の複雑な感情として凄く伝わってきて映像面でとても優れていたと思います。
途中クラスメイトの寒いギャグとか少々気になる点はありましたが、ラブとコメディのバランスが良く安定して視聴することができ面白かったです 。
古見友人帳 友達残り73人。
{netabare}原作では只野くんと古見さんは付き合ってるのですが、{/netabare}二人の今後の関係も気になるし、友達100人作って古見さんがコミュ症を克服して成長していく姿をもっと見たいと思えた内容だったので、Netflix独占配信のため続編の可能性が高い3期があれば是非観てみたいし、感動あり笑いありの安定した面白さがあった癒し枠と言える作品でした。
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▩以下過去レビュー
「コミュ障」と「コミュ症」には大きな違いがあって、医学的見地から精神疾患を抱え障害として認められているのが「コミュ障」で、人付き合いは苦手だけどコンプレックスを抱えるほどではないが、軽度なコミュニケーション能力の不足からくるものを「コミュ症」。
古見さんは「コミュ症」なので障害者に対する差別や偏見を捩ったものではないことが分かるが、ほぼ擬音語や擬声語、筆談を使って人とコミュニケーションをとっているので、症状としてはかなり重い方なのでしょう、普通は恥ずかしくて目を逸らしてしまうところが症状が酷すぎて逆に相手を直視してしまったり、人間の言葉が出てこなかったりと、脳や身体に問題はないけど人前で話すことがとにかく苦手。
「コミュ症」はインターネットスラングで流行った言葉だそうで、積極的なコミュ症と消極的なコミュ症があり、前者が『琴浦さん』の琴浦春香や放送中の『阿波連さんははかれない』の阿波連さんみたいに、相手の気持ちが読み取れないため過剰行動を起こし嫌われてしまうタイプの人間で、後者が古見さんにあたるわけだが、コミュ症自体が努力で克服できるものなので、両者ともその部分をうまく話に絡ませてくるのが、第4次産業革命以降働き方が多角化して、人間性も多様化している現代社会を反映しているようで話の作りが面白いなと思いました。
やり過ぎると差別的な意味合いを持たせてしまうが、それをうまくコメディタッチな作風で嫌味を感じさせない作りになっているので作品としてはとても楽しく視聴でき、コミュ症を克服するために「古見友人帳」を使い、友達を100人作るという夢を抱いている設定も面白い。
物語は初回、見た目ヤンキーの片居君も実は同様にコミュ症で、作り笑いをしたいが恐怖心から顔がひきつって強面になってしまい(『ReLIFE』の日代さん?)、意識してることとやってることが全く逆になってしまうところや、痰が絡んで「大丈夫ですか?」を略してしまい"だい"(DIE)"です"(DEATH)のまさかの死の二重連想させるネタもアイデアとしては面白かった。
古見さんは片居君を見て怖くて固まっているだけなのに、勝手にコミュマスターにされてしまうオチも良かったし、締めの消しゴム落とすネタもどう見ても席が近いんだからそのまま渡せよと突っ込みを入れかけたが、お互い気になって試験に集中できない初なところも青春してていいね。
クラスメイトが潔癖症やナルシスト、中二病や男塾の松尾みたいな髪型したやつもいるし、登場人物が怪しすぎてなんだか面白くなりそうな予感。
アニメ制作は今期3作品手掛けているOLMで実績のある会社だが、『ラブオールプレー』がちょっと怪しいけど『オッドタクシー』品質でいけば及第点は行けそう。
今期ラブコメ作品が例年よりも多いだけに他と差別化を図れるか、今のところ期待は持てそうな作品。