tinzei さんの感想・評価
2.6
物語 : 2.5
作画 : 2.0
声優 : 3.0
音楽 : 2.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
バーを題材に描く人間模様
その人に合ったカクテル「神のグラス」を出すという佐々倉溜のバー、イーデンホールに来た客が悩みを打ち明け、溜がそれに合ったカクテルを出し、解決策を提示したり励ましたりする。
バーを通じて描かれる一話完結の人間模様。
悩みや葛藤を抱えた客に溜がお酒の歴史やカクテルに込められた意味を相手の事情と絡ませて悩みを解決する。
何かを題材にして一話完結の人間模様を描く作品は珍しくないけど、この作品が珍しいのは、普通に進むんじゃなくて、作中のキャラたちが回想する形で話が進む。だから観てる側としてはナレーション付きの劇を観てるような気分になる。
溜以外のキャラはその話限りのゲストキャラが多くて話もゲストキャラ視点で進む。基本的に溜以外の共通キャラは三人、溜の知り合いの先輩バーテンダーで作中カクテルやお酒の説明をする東山と葛原、そしてイーデンホール常連客の美和のみ。ただ後半になるにつれて、溜と関わったゲストキャラたちが合いの手風に登場する。
当然、出てくるお酒やカクテルは本物。話の最後に作中に出てきたカクテルのレシピが出て、EDにそのカクテルを本物のバーテンダー(?)が実際に作る映像が差し込まれている。
カクテルは好きだけど、こういうちゃんとしたバーは行ったことないから、知らないカクテルやお酒が多かった。
個人的に面白かったのは4、7、9話。もちろんお客さんの悩みを解決するのがメインだけど、全体を通してバーとバーテンダーの役割みたいなのを語るシーンが多い。
ただ腹立つのは、最終話が「とりあえず言いたいこと全部詰め込みました~」って感じになってること。原作がどうなってるのか知らないけど、溜の話をやるとか、最終話なんて気にせず同じように一話完結で終わらすとか、もっとやりようはあっただろうに・・・・・・あれかな?アニメ化のとき「このエピソードは絶対使って」とか言われたのかな?
【各話あらすじ】
1→ホテルのバーの改装を任された神嶋はバー嫌いだったため、仕事が進まずイライラを募らせる。そんな時イーデンホールというバーに出会い、そこで溜と出会い、お客様に尽くすバーテンダーの姿に感服。神嶋は無事バーの改装を成功させる。
2→美和が溜に死んだ父親が祖父との仲直りに持ってきて幼い自分が割ってしまったボトルの正体を突き止めて欲しいと言う。溜は祖父の特徴と父親の言っていたことを踏まえ、角瓶を差し出す。美和はそれを祖父のもとへ持って行き。祖父は涙しながらそれを飲む。
3→社長勇退の嶋岡が死んだ女優の話をする。嶋岡は彼女とともに演者を目指していたが彼女は上手くいき、自分は父親の稼業を継いでしまった。その後も何度も彼女からチケットが送られてきたが結局行けないまま彼女は死んでしまった。溜はそんな嶋岡にマルガリータというお酒を差し出し、そのお酒についてのエピソードを話す。最初嶋岡はそれを広告戦略と決めつけるが、それが違うと分かり、溜のバーに戻り、マルガリータをもう一杯頼む。
4→美和の紹介で溜のバーに来た紗代。バーに初めて来た結花と彼氏のデートを見守る。紗代は溜のバーで知り合った夫と待ち合わせ、すれ違いの夫にビジューというお酒を出してもらい、指輪をしてないことに気付かせ離婚届を見せる。だがビジューにはアンバードリームという顔もあり、夫が紗代に仕事にかまける理由を話し、仲直り。
5→転勤が決まり憂鬱になっていた柴田が上司になじられながらイーデンホールで飲んでいた。上司を送った後、忘れ物を取りにイーデンホールへ向かい、そこでヘミングウェイも愛したフローズンダイキリを飲み、人生を前向きに考えるようになる。
6→バーテンダーを試すスランプの脚本家。腐れ縁の監督が来て、映画への情熱をスコッチウィスキーに例えて話す。溜はそのスコッチウィスキー使ったカクテルを出して、二人を励ます。
7→溜が熱を出し美和は医者を呼びに行く。そこに溜と約束していた東山と葛原が現れる。するとスキャンダル中の政治家相馬が現れ東山が相手をする。相馬が出てった後、相馬と待ち合わせしていた弁護士の五島が現れ、今度は葛原が相手をする。
8→織田という医師が女性を口説くためイーデンホールで飲んでいたが溜は時計や会話から織田が詐欺師だと見抜く。織田は詐欺師だというのを撤回させるため、溜が出したパスティスの銘柄当てを仕掛ける。溜は見事それを当て織田は大人しく引き下がる。実は女性にも嘘があり、シングルマザーだった。
9→溜がバー斉藤で働いていた時の話。冬になると峰岸という金持ちが現れるが、いつもカクテルを一口しか飲まず、しかも十万近いお金をふんだくられていた。溜は金持ちからぼったくるオーナーに憤るが、峰岸は金持ちではなく貧乏人だと言う。彼はかつて栄華を極めた自分を思い出すためにそのカクテルを飲んでいた。それでも溜は間違ってると言い、峰岸がイーデンホールに現れた時、過去ではなく未来へ向かってという意味のカクテルを出す。しかし峰岸には拒絶され、バー斉藤と同じカクテルを要求される。しかもそこで使われていた、シャンパンは十万でも安いくらいの品物だった。その後溜は峰岸が病気で死の間際だったことを知り、バーテンダーのあるべき姿を考え直し、峰岸が死んだ後も峰岸のために一日貸し切り日を設ける。
10→学問一筋で生きてきた沖田が、かつて自分がその学問に出会った時のような輝きを放つ女性を見掛けて彼女が入店したイーデンホールにやってくる。挙動不審な沖田だったが溜は優しく迎い入れ、彼が望んだ黒ビールとシャンパンのカクテルを作る。沖田が惚れた女性ミカは沖田の言動を面白く思い、キスしてあげる。
11→バーとバーテンダーの在り方をこのアニメでやらなかったエピソードを用いて話す。カクテルバーテンダーの意味。