「リアデイルの大地にて(TVアニメ動画)」

総合得点
63.7
感想・評価
242
棚に入れた
700
ランキング
4219
★★★☆☆ 3.0 (242)
物語
2.8
作画
2.9
声優
3.2
音楽
3.1
キャラ
3.0

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ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 2.5 作画 : 2.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

各務桂菜に捧げられた世界。

【概要】

アニメーション制作:MAHO FILM
2022年1月5日 - 3月23日に放映された全12話のTVアニメ。
原作は、「小説家になろう」に連載していたweb小説を改訂し、
ファミ通文庫から刊行されているCeezによるライトノベル。
原作イラストは、てんまそが担当し、
コミカライズ版はwebサイト『電撃コミックレグルス』にて、
漫画家の月見だしおによる連載が継続中。
監督は、柳瀬雄之。

【あらすじ】

各務桂菜が目覚めると、そこは見慣れた病室の天井ではなかった。
日本ではない、宿屋の一室。起こしに来る宿屋の小さな娘。
事故に遭って生命維持装置なしでは生きられない半身不随であった身体が自由に動く。
桂菜が鏡を覗き込むと、彼女は病室で痩せ細った本来の各務桂菜ではなくて、
病室でずっと遊んでいた、VRMMORPG「リアデイル」で桂菜が廃プレイで育て上げた、
最強レベルのプレイヤーキャラである、金髪のハイエルフのケーナの姿になっていた。

ゲームのNPCと違って村人たちが感情を伴って反応をするなど、
ゲームの世界であってゲームではない世界。
ケーナはこの世界で自分が何を出来るのか、考えて調べることにした。

更なる事実が2つ発覚。今の「リアデイル」はゲーム中から200年後の世界であること。
そして、各務桂菜の肉体は就寝中の停電の影響による僅か2秒間の生命維持装置の停止で、
おそらく死んでいること。桂菜の精神だけが何故かリアデイルの世界に逃げ延びたという結論に、
達したケーナなのだった。

【感想】

「小説家になろう」では古株らしき作品のアニメ化。

なんとなしにやりたいことが理解はできます。
ゲームの世界に紛れ込んだ主人公のケーナが現実の日本に帰れなくなって、
ゲームをリアルとして、この世界の一員として居場所を見つけて人生をやり直す話。

ところが、そのケーナが幼女には優しかったり外面(そとづら)は良いものの、
元がゲームで作ったキャラであるケーナの家族に対してはヒステリックなパワハラ気質で、
更には大いに毒親成分があるように見えるのですが、そのケーナの中身は、
飛行機事故で両親を失い自身は最後の数年を病室の中で寝たきりで過ごした少女ということで、
本来なら学校の教室などで身につけるはずだった対人の経験値が圧倒的に少ないので、
ネトゲでのやってきたことがそのまま彼女の常識になっていることと、
自分がカンストさせた廃レベルのゲームキャラがそのまま彼女の新しい肉体になっていて、
五体満足に動ける身体と他の追随を許さない魔法などの圧倒的な暴力を手に入れたのが、
ケーナの人格や立ち振舞に影響しているような?

要は、ある程度の理性を持ったウルトラスーパーデラックスマン(ファンタジー版)ですね。

怒らせると誰にも止められないアンタッチャブルなケーナに対して、
ケーナの子供や孫らの身内もケーナのDVに脅えて腫れ物に触るような扱いなのが常なのですが、

実際にはシステム上の親子関係でゲームキャラを委譲したに過ぎずに、
リアルな子育てや親子関係の思い出が存在しないのに。
それでいて3人の子供らのケーナへの敬愛がMAXという、
絶対的な御主人様に隷属するのに等しい個と個の関係の歪さを見ていて、
微笑ましい彼女らの日常として脳内で処理できればよかったのでしょうけど、
ひたすら平身低頭の身内に主人公ケーナがマウンティングでイキっているように見えるのが困りもの。
それが、視聴者のケーナの喜怒哀楽への共感を阻害しているようにも見えます。
本当は、環境の変化への慣れや寂しさや戸惑いなど様々な感情があって、
周りは全員NPCなゲームの世界で人間は自分だけで一人ぼっちではないか?
だから旧知のゲームプレイヤーに再会したときの感慨とか、色々あるはずですけどね。

原作を知っている人から見れば、演出(芝居)のせいでヒスおばさんっぽく見えるということらしく、
演出家や脚本家が原作を読んでケーナをこんな人間なんだ!というイメージで作られた結果で、
更年期障害特有の情緒不安定さのように印象が悪くなってるという可能性もありますね。
同じ台詞でも言い方や芝居の見せ方で人に与えるイメージが180度変わる。
これはで現実でもあることですね。

リアデイルとは、主人公のケーナが幸せになるために生まれたような世界。
リアデイルに住む人間たち、豊かな自然。いろんな冒険スポット。
その世界に触れ合うことがケーナの癒やしや救済になる話で、
世界を救うとかいった目的や倒すべき敵なんて重要ではないし無くても良い。
のんびりと過ごす日常や、旅などの過程でケーナが見て感じたことが一番大事なのかな。

とはいえ、やはり予算がないのか、
世界の魅力に説得力を生む役割である作画や美術などに恵まれているとは言えませんね。
現代日本ではないファンタジー世界を創作でしっかりと作り込んで構築するには手間と予算が青天井。
それが出来るのは、よほどしっかりしたアニメ会社か給料以上に働きたいスタッフなんでしょうね。

監督が一人原画をやったりクリエイティブな部分ではスタッフにはやる気が無いわけではないですが、
視聴者目線では出来て当たり前だと思われている、細部にまでこだわり抜いてアニメを作れることって、
実はかなり恵まれている十全の環境であって、一部のクオリティが特筆されるアニメ会社然り、
「灰と幻想のグリムガル」「ナイツ&マジック」などの作り込みも希少なケースであって、
経済的な事情やスタッフの負担などの問題でそれが出来ずに終わってしまった、
よくある量産型のなろうアニメという感じですね。

本当にクオリティは低かったですし、すぐに忘れるようなアニメとは思いますが、
最終回では部分的に作画で本気を出したり、本当に能力がないスタッフというわけではなくて、
現場を回すのに苦労してる座組の体力の限界なのかな?という印象を受けました。

同じクールで原作に無理解な元永慶太郎監督などのスタッフがやらかしまくった、
「賢者の弟子を名乗る賢者」の惨状のおかげで相対的にマトモに見える。この程度の評価ですね。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2022/04/09
閲覧 : 288
サンキュー:

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