nyaro さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
テーマ性と恋愛が浅い。その分逆にコメディとしてはかなり面白い。
冒頭がめぞん一刻そのままなのでどうしようかと思いましたが、やっぱりアパートモノだと避けて通れないんでしょうね。キャラも朱美さん、一ノ瀬さん、三谷さん…で管理人さんが2人に別れた感じで配置も一緒でした。
ただ、アパート・下宿ものはラブひなとか数多くありますし設定は何かに似るのは止むを得ません。ラブコメ下宿ものならめぞん一刻との類似性は避けられないので、そこの引っ掛かりがあったのは5分くらいでした。
ラブコメのコメディとしては面白かったと思います。レギュラーそれぞれのキャラの性格付けがよくできていました。人数を絞っていたので一人一人に想い入れができるのもいいかもしれません。
一方で、ラブの部分の進展と内面が薄すぎて、少なくとも恋愛の進展を楽しむ話ではなかったですね。というか、まあ進展はしているのはわかるんですけど、河合律ちゃんが打ち解けて行くのはいいんですけど、なんか律ちゃんの感情は表現できていないんですよね。照れてるとか怒っているとかはもちろんわかりますけど、内面が見えてこない…と言えばいいでしょうか。バックボーン含めて、この娘がちょっとよくわかりませんでした。
単に主人公のラブコメの相手役として形式的なツンデレの機能しかないと言えば良いでしょうか。
むしろ描いていたのは「独りぼっち」の価値観についてですね。ここはかなり力が入っていました。
ですが、気になったのは友達がいる事についてやはり従来的な価値観にとらわれていたかなあと。なれ合いの否定はあった気はしますが「友達は必要」という結論なんでしょうか。ここをもう少し相対化できると律ちゃんというキャラが見えてきたのかなあと。EDの歌詞はその辺歌っていたのでテーマとしては意識していたと思います。
ただ12話しかないので、すべて進展はこれからという感じです。今後この辺りが描かれる気がしますが、どうでしょうか千夏ちゃん、林さんと、前村、常田…みんな「友人」を描くためのキャラですからね。特に林さん、今後も何かありそうですよね。
で、気になったのが本の題名ですね。「井の淵の蛙」とか「格子の障子」とか調べて出てこないので、架空なのかマイナーなのかわかりませんでしたが「ベイリー伯爵の余罪」でやっとわかりました。結局架空だそうですね。洒落か販促かでブックカバーが作成されているみたいです。
これら架空の本の題名に含意があるのかはまだ確認していません。何か意味を持たせてるんでしょうか。「井の淵の蛙」とかちょっと意味がありそうですけど、考えすぎでしょうか。
ヒロインの律ちゃんは正直キャラ造形、性格がテンプレですが、キャラデザが可愛いのでいいでしょう。作画も良いので楽しめます。
いつの間にか嫉妬しているのが???でこの辺の内面にもう少し肉薄してほしかったですね。そうすると前村のところとかがすんなりと入れたのに、いきなり友達できてうれしそうなのが宇佐との対比でちょっと違和感がありました。
総評としては、コメディとしてはかなり面白いです。友達という部分のテーマがあるし描こうとしているのはわかりますが、結論が従来の価値観から脱していない方に行くのかなあ、という感じです。ラブは正直触りだけでした。
変な言い方ですが、テーマ性と恋愛が浅いので「痛さ」がマイルドなので面白さは引き立っていました。
キャラは肝心のヒロインが物足りないです。が、サブキャラのキャラが立っていたのと、ゲストキャラがなかなかいい出来だったので、悪くなかったですね。