しんちゃん さんの感想・評価
3.0
物語 : 1.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
オチの付け方が噴飯物
原作既読。結論から言うと「意味の分からない残念アニメ」でした。特に最終回が。
原因は、やっぱり1クールで終わらせない構成を想定したからだと思う。原作のストーリー展開を尊重しようとしたら確かにそうなる。でも、この物語の魅力はそこなのか?って思います。
物語の核心は、「主人公の2人(ソン・リャンハ、シャトー・ダンクワース)とも、その名前が本当の名前ではない」というところにあるんだと思います。名前に隠された過去の秘密が解き明かされるとき、二人はそれぞれの本当の生き方を自分で決める。そこまで語って、初めて成り立つストーリーなのです。2人の不思議な馴れ初めやコミカルな/緊張感のあるやり取りなどは、極端に言えばこのストーリーの枝葉にあたる「賑やかし」でしかない。
なのですが、どうもアニメの制作チームは、この賑やかしがメインだと考えていたようです。でも、いくら「警察がガバガバで、公権力に代わって懸賞金稼ぎが横行する」という設定の世界でも、あからさまに目つきが悪くてオドオドした態度の女性なんかに懸賞金稼ぎが務まるわけないのであって、しかも同業者が「思いつきで」拳銃向けてナンパするとか、もっと意味が分からない。コメディならもっとコメディらしい演出でテンポ良く進めてほしかったし、共感しやすい背景設定にしてほしかった。
そうできなかった(=背景設定や演出は原作に忠実)のは、もしかして原作者や権利者から横やりがあったのかな?という勘ぐりまでしてしまいます。
おそらく、そうではないでしょう。原作者は「シリアス展開だけでは息が詰まると思ったので(コミカルな要素を入れた)」(https://natalie.mu/comic/pp/koroshiai03 )と話していますし、重視していたのは「2人とも本当の名前が違う」というところに至るストーリーそのものだったと思うのです。
であれば、制作チームもそれを軸に据えたうえで、12巻もある原作をどう1クールの構成にまとめるかをもっと真剣に考えてほしかったと思います。伏線だけ張りまくって回収もされず、最終回の大半を過去回想に費やすという、2クールありきの構成だったにもかかわらず、あのエンディングは何だったんですか。原作既読組としては恥ずかしくて見てられませんでしたよ。
声優については全員文句なしのキャスティングでしたし、OPの楽曲もおしゃれで良かった。でも構成がすべてをぶち壊してしまいました。とても残念です。