「処刑少女の生きる道 バージンロード(TVアニメ動画)」

総合得点
67.3
感想・評価
260
棚に入れた
695
ランキング
2535
★★★★☆ 3.3 (260)
物語
3.2
作画
3.4
声優
3.4
音楽
3.3
キャラ
3.3

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ネタバレ

螺旋常連からくり剣豪 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8
物語 : 1.0 作画 : 1.0 声優 : 2.0 音楽 : 4.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

アカリの設定やメノウの心情の遷移など面白い部分はそれなりにあるが、お世辞にも良作とは言い難い。オマージュ部分を自分の武器にできていない感じが強かったです。

最初に言っておきますが、世界観はそれなりに面白いです。日本の文化が流入した異世界、というのは他作には無い独特の世界観の構築に一役買っていると思います。

ですが、話に独自性やワクワク感がまるで感じられない。後述する他作のオマージュ感が強過ぎるせいでしょうか。

良い点
世界観は分かりやすい。
キャラのヴィジュアルが可愛い。
声優の演技も良い感じです。
戦闘シーンに目を瞑ればアニメーションは安定しています。
百合も趣味枠と割り切るなら悪くない。
主題歌は両方素晴らしいです。

悪い点
殺人をある種のテーマにしているのにコミカル描写のせいで無駄に軽い。せめて86並の重さが欲しい。
あからさまな無能なナナや魔法少女まどか⭐︎マギカのオマージュが目立ち、オリジナリティに乏しい。メノウとモモの関係の成り立ちややり取りは細かい差異があれど、とある科学の超電磁砲の御坂美琴と白井黒子ほぼそのまんま。
戦闘シーンのレベルがとにかく低い。絵コンテがズタズタで見ていて退屈だった。CGを導入しているシーンもあるが、それも手癖なろうレベルであり優れたものとは言えない。
敵味方かかわらず倫理観に欠けるキャラが多く、感情移入がほぼ不可能。ここはキャラ萌えを重視する人には致命的だと思った。

主人公のメノウが能力者に家族や町の仲間を皆殺しにされてしまい、暗殺者になる経緯は柊ナナ、無にする能力を持つターゲットは中島ナナオ、後に出て来る不死身のヒロインは小野寺キョウヤに能力あるいはポジションが似ており、これだけ並べると無能なナナに非常にインスパイアを受けている形跡があります。一つ二つならまだしも、ストーリーラインも1話だけだと非常に似ているので、オマージュで片付けられるライン越えてるんじゃ、とも思います。
しかもナナとの差別化を図ろうとして投入したであろう、とあるシリーズの白井黒子みたいな性格をした補佐官のキャラが完全に雰囲気に水を差すノイズになっています。人殺しの後にメノウとコスプレ鑑賞会みたいなのを始めたのがドン引き。黒子はシリアスの時は毅然とした態度で風紀委員(ジャッジメント)の仕事に臨んでおり、不快感を一切感じさせないのに対し、こちらのキャラは罪の意識を持って異世界人を手にかけているメノウを茶化す形で現れて百合ムードに入っており、あまり魅力を感じさせない登場シーンになっていました。
なろうアンチみたいな描写も無職や盾の勇者と違ってヘイト管理がまるでできてないから不快なだけだし、100万の命より露悪的にさえ映る。ビスコの二の舞を踏んで終わりそうな予感がします。

1話追記
元からもやもやはありましたが、他のところのコメントを見て腑に落ちたのでこちらに記しておきます。
この作品、1話から割とツッコミどころが多いです。ノブレスがした禁忌とされる異世界召喚があっさりファウストにバレるようなやり方をしている浅はかさはさることながら、召喚した異世界人を殺したり幽閉せずに放逐してしまうのもノブレス側からしたらファウストに手掛かりという餌をやるようなものでリスクでしか無いんですよね。ご都合主義にしても杜撰かと。
後の話も考慮に入れると、メノウを始めとした協会連中は迷い人の力が覚醒する前に殺すというスタンスで行動していることが読み取れます。
その考え方に則ると、手に負えないかもしれない異世界人の少年の力の発現に義理堅く付き合う必要はありません。殺すべきか悩んでいる?のかもしれませんが、それはそれで他人の命を奪う仕事柄、そんな甘い奴を協会に入れるのはおかしいって別のツッコミどころになりますし、結局は殺し屋風情みたいなものが高尚ぶって命の選別みたいなことをやっていることになるので気味が悪いですね。

2話
相変わらず補佐官のモモが重い雰囲気を壊しているのがキツイです。メノウもメノウでやたらと強いし、しばらくアカリ一人に付きっきりだろうからナナみたいなジャイアントキリングとか、1話で見られたこの手の作品で楽しめるであろうアンチ異世界ファンタジーの要素もこれからはあまり無いことが予想されます。加えて今回は戦闘も無いからひたすら地味な印象。
今のところこの作品に一番要らない百合要素ばかりが目立っています。
ツッコミどころもあり、メノウたちが迷い人を殺害によって根絶しようとしていますが、そんな非人道的なことに力を入れるより、大元である召喚者のノブレス階級の連中を封じた方が良いのではないかと思えるのもダメかなぁと。多分メノウら処刑人が迷い人の処理にあたり、別の連中がノブレスの対処にあたっている可能性がありますが、この辺りはストーリーを進める上で別に隠す理由も無いし、こうしたツッコミどころを無くすようにもう少しそうした組織体系などの内情を掘り下げるべきでしょう。
あとは迷い人に被害者ヅラさせちゃうのも、前述したツッコミどころと合わさって個人的には非常によろしくない。ナナは能力者たちに同情できる要素を極限まで削っており、ナナ視点において絶対に倒すべき敵だとこちらにも思わせる手腕が見事でしたが、こちらは設定作りやストーリー運びが非常に甘いせいで半端に同情させちゃう作りにしているのが萎える要因に。
メノウの心理描写もアカリに対して序盤ですでに揺らいでいて、彼女が処刑人というキャラ、性格という前提で考えると到底理解し難い。彼女あの感じからして結構殺したでしょ。多少他人と違うものを感じたからって即揺らぐものなのかと。メノウは当然、処刑人としての英才教育を受けているだろうから多少のイレギュラーですぐにそうなるとは考え難い。序盤は冷徹なキャラで通して、中盤あたりからアカリと関わっていくうちに暗殺者としての矜持と良心との狭間で葛藤……とかではダメなのでしょうか。

メノウ、モモ、迷い人、処刑人たちの組織体系、ストーリー運び……この辺りが上手く調理できていないからカタルシスが足りず、わたしには微妙に見えるのでしょうね。

3話
作画と演出、構成がしょぼいです。JCの酷い時のクオリティがモロに出ていました。アーシュナ殿下とモモの戦闘シーンを観ればわたしの言ってることが分かると思います。ターン制バトルしてるので。話自体は悪くはなかったけど構成がアレなのでアニメーションとして見るとそこまで良かったかといえば微妙な部類。

{netabare}反体制派のテロリスト襲撃→メノウたちがテロリスト撃退→モモvs殿下。並行してメノウが取り込んでいるモモに代わって機関室へ→捕縛されたテロリストたちが命と引き換えに騎士召喚→メノウvs騎士→騎士が動力炉破壊、動力炉暴走→モモと殿下が列車から放り出される→異変→アカリも機関室へ→騎士撃破→アカリと協力して列車止める。{/netabare}

こんな流れで程々に盛り上がりや伏線を仕込んでいたんですけど、いかんせん作画や脚本構成がしょぼいせいで盛り上がらなかった感があります。
電車が事故りそうな危機感を盛り上げるために必要なモブのパニックシーンを全く映さず、優先度としてこれより下がるアカリのエロシーンをふんだんに用意したり、戦闘シーンなのに動かずに会話ばっかりしてたりなど、全体的に拙さが目立ちました。
なんでどうでもいいエロに尺を割くのでしょうか……

3話追記
細かいですが、アカリがメノウの代わりに脱ぐ意味全く無いですよね。テロリストは脱がせるのが目的ではなく、隠していたメノウの教典や他の武装を奪おうとしていた(無力化が目的)ので、ここは単にエロくしようとする浅はかな考えしか読み取れませんでした。

4話
メノウが処刑人になるまでの大雑把な経緯とガルム到着の後、メノウに新たな任務が言い渡されるところが描かれました。
過去編はまあ良かったと思います。自己を漂白され、喪失したメノウがフレアに導かれ、新しい道を自分で選ぶ。暗殺者になることに対しては流石に感情移入はできませんが、すごく納得はできる経緯ではあったと思います。
この話の問題は大して付き合っていないアカリに対し、メノウがやたらとご執心なところ。1話で約半日行動を共にした男子を殺した人間と同一人物とは思えないくらいアカリにお熱になっています。列車でのやり取りは描かれている限りではそこまで濃いものとは言い切れないし、列車での時間操作(?)だってメノウの憶測でしか語れていないからアカリを命の恩人だと思うにはいくらなんでも実感が湧かないでしょ。アカリのキャラは別にそこまで庇護欲を唆られるものではないですし。
自己をまっさらにされたあげく英才教育を受けて暗殺者として感情を殺しているメノウというキャラクターの思考として、まだ短い、数日という付き合いのアカリをやけに気に掛ける描写はどう考えても無理があるんですよね。暗殺者になる過程でまともな人間性が身につくはずが無いのにコミュ力が高過ぎます。仮にこの展開が成立するとして、そんなメノウを処刑人に選んだフレアや彼女に不適任なアカリ護送を言い渡した婆さんが無能としか考えられなくなる。
こうして誰かを無能にしないと話が成立しないのはあまり良くないです。

4話追記
メノウは漂白されたゆえに他者の感情を吸収してしまい、感化されやすいという性質があるようです。わたしが上述したメノウに関する疑問点はこれを基に考え直すと一応解消はされるのですが、それだと今度はメノウが暗殺者としては不適格なキャラになるんですよね。いちいち他人に絆されるような奴に感情を殺して標的を殺す暗殺者は務まらないでしょう。メノウの人格設定からまず失敗しています。

この作品、心理描写をどう解釈しても絶対にどこかが綻ぶんですよね。なんでそう考えるのってなることが多いです。

5話
オーウェル大司教の命令で女性連続失踪事件の調査に出たモモとアカリの死を見届けるためにオーウェルと儀式場に向かうメノウ、儀式で自分が消滅するという真実を知らないアカリ。
調査の途中でモモは因縁のあるアーシュナと再会し、彼女に同行した先でノブレスが構築したとされる儀式場を発見する。
そこでアーシュナから外部の誰かがノブレスに魔法陣構築に手を貸しているという推測を聞かされたモモは焦るのだった。

列車のテロリストを手引きし、失踪事件にも関与した黒幕が誰か明かされた回です。自分勝手な野望のためにアカリを利用しようとするそいつを止めるべく、メノウは対峙することになります。

話自体はそこそこ良かったかなぁ。しかしまあ別に驚かされる展開ではありませんでした。読め過ぎて意識から外していたくらい。たんもし同様、所詮パッチワークに過ぎない作品ゆえでしょうか。
やっぱりちょっとオリジナリティ不足じゃないですかね。他作品でもありふれた展開をドヤ顔で出されても……。流石に全部オマージュだと萎える……。ナナとか超電磁砲の影響受け過ぎじゃない?コメディのノリはほぼレールガンだし、展開はほぼナナだしで“処刑少女”としての独自の顔が全く見えません。
しかも絵コンテ以前にパワーバランスの管理が雑だから戦闘が盛り上がらない。未だにどのキャラも実力の程が分からないんですけど。強いくらいしか情報無いんだけど。誰がどんな系統の技を使えるかも曖昧だし。普通5話も観ればそれくらい分かって当然なんですがね。
戦闘が話のメインではないにしても、バトルものとしてここまで面白さを欠いているのは初めて見ました。

5話追記 これまでを振り返って
生殺与奪をコンセプトとして扱うにしてはキャラの考え方や描写が浅過ぎるし、個人的に同じく人の命が軽いと思った86以上に酷い有様です。86の方はそうした命があっさりと失われていく、ある意味での軽さを作中の悲惨さに繋げている部分もあるので、この作品は単に作者の力量不足に拠るところが大きいと見ています。
この作品の場合は86みたいに異世界人をゴミのようにあっさり殺して、超電磁砲みたく後輩と先輩がコミカルにイチャイチャするついでになんとなくで懺悔してちゃ駄目でしょ。そんな軽さは個人個人の命の重さを説くことをコンセプトにしたシリアス作品には全く合わない。
色んな迷い人と出会い、殺して、その中で次第に深い罪の意識に苛まれる……そんな展開をさせつつ、メノウとモモが広大な世界を旅をしていくという流れならナナとの差別化を図れるし、所詮一個人に過ぎないアカリと、メノウが何話もかけてテンポ悪くウダウダやってるより余程見栄えが良いはずなんですよね。
やたらと作者のやりたがる百合展開も旅の中、疲れ切ったメノウとモモで傷の舐め合いみたいなことをさせれば無理なくできるわけで。別にアカリを無理矢理にメノウとのカップリングにする必要はこの作品には無いし、やっぱり初期構想から失敗していて、そこから歪にナナとの差別化に踏み切ってこうなったとしか思えないんですよね。

6話
話の流れだけ見ればかなり良くなったのではないでしょうか。そこは好印象。今回は布石を撒くのに終始していた前回と打って変わり、展開が大きく進みました。特にアカリの背景、目的がある程度明かされたので、この回で彼女に対しての印象は180度変わったと見て良いでしょう。
ただ、相変わらず戦闘描写は底辺です。戦闘メインじゃないSPY×FAMILYやくの一ツバキにさえ大きく劣る始末。
まず3話から触れていますがこの話も舌戦がメインで動的な描写がおざなりな傾向は変わらず強いです。
問題は絵コンテだけでなく、キャラクターのステータスが抽象的な面にもあります。メノウが中途半端に何でもできるせいでかなりの実力があるとされる黒幕や騎士型より強いはずの原色赤ノ理・天使に苦戦している印象は薄く、絵面はピンチなのに緊張感は薄いです。そこらの雑兵を一蹴できるくらいには強いらしいけど、所詮優秀な処刑人という肩書きだけじゃ説得力が弱いです。こういうやり方をするなら例えば転スラのリムルみたく様々な上位魔法や優秀な技能を扱える設定、いわゆる器用万能のキャラクターを主人公に据えてこそこの手の展開は活きるのですが、この作品は主人公のチート無双ではないので、メノウの基本戦法は導力の不足している自分の弱点を補うほどの膨大な導力を持つアカリを自分のストック代わりにするか、姑息な手段による時間稼ぎ頼みになります。メノウが常に冷静沈着なのもあってダラダラと起伏の無い戦闘を繰り広げるだけに終わっており、まさかの主人公が戦闘の地味さの元凶になってしまっています。同じ6話分で比べるとして、この時点からメノウと同じく、すでに様々な能力を使えていたリムルの方が技が詳しく分かりやすく納得もしやすいってどういうことでしょうか。
まず2話あたりまでに最低でも主人公であるメノウの具体的な能力はある程度見せるべきでした。視聴者の興味を惹くために強そうなサブキャラが実力をベールに包むならまだしも、無双系でもないのに視聴者が最も感情移入するであろう主人公のステータスが半クール終えてもろくに分からないのは悪手でしかないです。そもそも教典の有無で戦闘能力において何が違うのかすら分からないってはっきり言って異常なんですが。導力不足とやらの弱点もこの戦闘を含めて2回くらい触れている割に表面化しているような描写が無いし、はっきり言って死に設定です。
ジョジョのシーザーみたいなシャボン出したり、電気纏った鎖を出したり変なバリアだしたりと使える魔法属性、特技がチートでもないのに変に曖昧なのはご都合主義的になり、戦闘を盛り下げる要因にしかならないです。モモの能力も3話で制御できる力を見せた分だとなんか地味だし、暴走による暴れっぷりだけが独り歩きしているような……。
黒幕の動機が台詞だけで語られるのも微妙。一応ボス戦なわけですが背景を映像を用いて詳しく明かさずに即退場はもったいない。共感は到底できないキャラではありましたが、動機は終始一貫していたので掘り下げ方によってはより味のあるキャラクターにできたのに。

ここまでキャラの立ち位置や能力が煩雑になってしまうのならば、なろう系、HUNTER×HUNTERや呪術廻戦を見習って戦闘力などの等級や能力の分類はしておいた方が良かったと思えましたね。

7話
ガルムから巡礼路を通り、メノウとアカリは港町リベールに辿り着きました。

新章突入です。

今回は入ったら最後、生きて抜け出せなくなるという四大人災(ヒューマンエラー)の一つである霧魔殿(パンデモニウム)とリベールを根城にする自称第4階級“フォース”、その事実上のトップであるマノンと彼女と何かしらの関係がある少女の存在が仄めかされました。
全体的にはいつもの百合百合した寸劇をしながら新たな舞台の設定や謎をばら撒いた回です。
キャラクター関係などは1章終了段階からあまり進展していないので、今回は特に言うことはありません。霧魔殿におけるアカリ関連のエピソード以外では大きな展開も乏しくて、感想が出難いんですよね。

なので2章の評価は今のところ保留です。

8話
色々酷かったです。その酷さたるや、群青のファンファーレに迫るものと思います。

致命的だと思ったので点数を下げました。


何が酷いかというと、使い回しや焼き直しのシーンが多い上に話の進展や伏線撒きもほとんど無い点でしょう。つまり単純につまらない回でした。
話の内容は大まかにはリベールを侵している魔薬についての解説、3話のテロリストがフォース関係者だったのが判明したこと、マノンの目的がより明確になった点くらいで地味です。司教がところどころ怪しさを漂わせていますが、1章の黒幕が教会関係者なのもあって、彼女まで敵側だったというのは焼き直し感が凄いのでそんなことは無いのを祈るばかりですね。
使い回しのシーンは観れば分かりますが、HOTELリベールにてメノウが目を覚ました際にベッドから転がるところからアカリがお尻を振るまで、これを2回使っています。
あとはモブの髪の色を変えただけのシーンがあったり、画の動きを止めてベラベラ喋るだけの退屈なカットも多いのもあり、陳腐さに拍車を掛けています。
他の方も触れていますが、暴漢の襲撃や彼らが化け物になるくだり、アーシュナとモモの絡みなど、8話にもなって同じ話題をずっと擦っている感が凄まじく、シチュエーションは細かく違うものの3話をまた見せられた感覚に陥りましたね。
マノンのメノウに対するやり口もあの絵面では容易に予想がつきそうですし、ダメそうな匂いが一段と濃くなったと思われます。

かなりの辛口になりますが、色々と作品の底が浅いのを見せられた8話でした。

9、10話
9話があまりに謎だらけだったので感想は書き難いと考え、ある程度の謎が解けた10話と併せて記述します。
9話はマノンが主催するパーティの話。そこに潜り込んだメノウは自分に探りを入れようとしてくるアーシュナと交戦。アカリは物知り顔のマノンと会話をしました。
同時系列にて、モモは魔薬製造工場への潜入をしていました。
この話で気になったのは工場での出来事。
箇条書きにします。

・謎の少女は1日中アイアンメイデンに串刺しにされてなぜ生きているのか。
・ブービートラップに引っ掛かり、重傷を負って気絶したモモに対して、マノンは彼女に何かを仕掛けたのか。
・メノウへの復讐を考えているならモモを攫う方が誘き寄せるには都合が良いのだが、なぜそれをしないのか。

まあ大体この3つですね。

で、疑問は10話で大体晴れました。

少女の正体は四大人災に匹敵する化け物であり、アカリとはメカニズムが違うものの不死性を獲得していました。あの程度では死にませんね。
ブービートラップの件はマノンの目的が実は陽炎、メノウへの復讐ではないことが判明したので、モモにわざわざ執着する理由は薄いと思いました。

この辺りは設定がふわふわしているこの作品の中では比較的しっかりしていると思います。

問題点はとにかくテンポが悪いこと。メノウと万魔殿(謎の少女)の会話シーンはもう少し削っていいですね。代わりに協会による魔薬製造工場の調査のシーンを盛り込んだ方が締まりのある話になりました。あそこで死んだと思われた万魔殿の行方を匂わせれば、よりスリルを感じさせる効果を生み出せたものを、もったいないですね。
一応あの冗長なシーンには必要な情報もありましたが、立ち止まりながらどうでも良いことをダラダラ話し過ぎ。万魔殿のサイコパスアピールがくっそしつこくて10話Bパートは若干ゲンナリしましたね。
あとはアーシュナ殿下の必要性を最近感じないことでしょうか。1章はまだ王族の地位を活かしたモモの案内役としている意味はあったんですが、2章の活躍は不良たちのお山の大将というモブにやらせても良いような役回りなので、わざわざ出したのは疑問に思います。

テンポさえ良くなればまだ見られる話とは思いますが……。

11話
メノウvs万魔殿。途中にアーシュナの戦線加入やアカリvs万魔殿もあります。
基本的に6話同様、ボスキャラである万魔殿がべらべら喋ってのリベール編の種明かしや今後の伏線撒きがメインです。そして10話同様、これがまじで長くて戦闘シーンは案外少なめです。今回万魔殿の喋った内容は星の四大人災の話、自分が未だ霧に囚われているという話、万魔殿が出て来たのはアカリが原因だという話、裏でアカリの捻じ曲げようとする運命を収束させる絶対の意思が働いているという話、後は映画を撮りたいだとかの割とどうでも良い話ですね。
彼女の話は所々物語の核心に迫る重要な要素である一方、どうでも良い話が混ざることにより肥大化し、テンポを非常に悪くしています。
もう少し戦闘シーンで魅せながら会話を挟む、あるいは中身に乏しいサイコパス自慢を削ればスリムになるんですが、それをしないのがこのアニメなんですよね。

話の内容は興味深い部類なだけに、色々と残念さが残ります。

12話
万魔殿との最終決戦。戦闘の流れは6話とそこまで変わらなかったかな。メノウがピンチになってからアカリが彼女の導力源になって超パワーで敵を滅するというものです。尺の都合か、アーシュナサイドの奮闘は描かれませんでしたね。
今回やたらメノウがアカリのためと言っていましたが、あれこれ理由をつけてでも殺人を肯定するやり方に対しては拒否感が強く、やはり共感は難しいです。殺さないで済む他の方法も探す、とかならまだ共感しようがありますが。ここら辺は教会の思想に染まったせいでそんな考えしかできないメノウの頭が固い、くらいで流すべきなんでしょうか。実際葛藤しているものの殺す意思を貫いている辺り頭固いですし。
決着後、今回の件の黒幕であるマノン・リベールと万魔殿の関係についても少し触れられました。ここはかなり好きです。詳細は本編を見てください。
終わりはよくあるおれたたエンド。まだまだ話は続くことを匂わせながら終わりましたね。

とまあ無難な締め方でしたが、1章2章をまとめた上での感想としては微妙の一言。テンポの悪い戦闘描写がだいぶ足を引っ張っていました。理由があるとはいえ、人を殺しまくるメノウへの感情移入も主人公なのに難しく、他のキャラも大体頭のネジが吹っ飛んでいるのもあって好きになれるキャラは狂っていながらも行動原理に整合性があるアカリと比較的常識のあるアーシュナくらいだったかな。
話自体、終始無能なナナと魔法少女まどか⭐︎マギカを混ぜて薄めた内容であり、オリジナリティ溢れるような工夫も見られない。ここもいまいち観ていてあまり燃えることができなかった要因ですね。

総評して致命的なレベルではないものの、たくさんアニメを観ている人にとってはかなり既視感の強い内容なので、他の良作を蹴ってまで観る価値はあまり無いかなといった具合です。

投稿 : 2022/06/18
閲覧 : 983
サンキュー:

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