タック二階堂 さんの感想・評価
4.4
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
すごく力の入った“お子様ランチ”。
詳細は公式サイトでも見てください。
今期「SPY×FAMILY」に続く、これも集英社『少年ジャンプ+』で連載していた田中靖規さん原作コミックのアニメ化作品です。制作はOLMです。この会社はチーム編成を行って、監督を中心としたチームによってアニメが制作されるんだけど、この作品はチーム名がないですね。
代表的なのは、最近では「オッドタクシー」。制作協力に入っていたのが、OLM TEAM YOSHIOKAでしたね。ただ、前期の「ファ美肉おじさん」、今期は「ラブオールプレー」というバドミントンのアニメを担当しているので、TEAM YOSHIOKAではなさそうね。
しかも、今期はほかに「古見さん2期」をTEAM KOJIMAが担当しているので、OLMとしては3作品を請け負っていることになるね。
ただ、同期で3作品も4作品も制作すると…
でも、この作品も下馬評はすごく高いし、本格タイムリープミステリーとして期待感が大きいので問題はなさそう。脚本は「ドロヘドロ」「デカダンス」「呪術廻戦」「ヴィンランド・サガ」「BANANA FISH」などのシリーズ構成・脚本を担当した瀬古浩司さん。このラインナップを考えれば、まず外すことは考えにくいですね。
で、
=====初回視聴後、所感です。
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ストーリーは、和歌山県の離島を舞台に、幼なじみの小舟潮の訃報を聞いた主人公・網代慎平が、葬儀に参列するために2年ぶりに帰郷したところから始まります。
潮は海難事故で亡くなったと聞いていた慎平でしたが、親友からは潮の死には不可解な点が多いという。実は他殺なんじゃないかという疑念が出て、それは島に伝わる「影」の存在が関係しているのではないかということで、その真相を慎平たちが探るというサスペンスのようですね。
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今期の覇権候補に一気に名乗りを上げた印象。まさに「遅れてきた大物」といったところでしょうか。
作画も、OLMの本気といった感じで素晴らしい出来ですし、ちゃんと和歌山出身の白砂沙帆さんをメインヒロインの澪役に起用しているところもいいですね。花江くん、今回は気合いが入っているのか、炭治郎のような演技ではないですね。ただ、どっちかというと「神様になった日」の主人公っぽいけれども…
そして、瀬古氏の脚本が見事ですね。1話ラストを、そこに持ってきたかという巧さ。これは次回が非常に気になる引きです。
作画、物語、演出すべて◎。
これは期待できそうな作品になりました。
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=====第2話視聴後、追記です。
{netabare}
や、これは「ジャンプ+」同期のサクラ、「SPY×FAMILY」を食うぐらいの面白さがありますよ。なんなら今期ダントツの「パリピ孔明」に迫る勢い。
詳しく書くとネタバレなので、タイムリープの使い方がいい感じですねとだけ。「リゼロ」に近いタイムリープですね。
でね、よくあるタイムリープものだと、戻ると「え? 俺、タイムリープしてる?」というあり得ない思考になるのですが、この作品は違いますね。「夢で見たのと同じだ」「まるでデジャヴュだ」と。
普通の人なら、こう考えますよね。それをちゃんとやっています。
この調子なら、そうとういいところまで行きそうな作品になる予感がしますよ。作画も文句なし。
{/netabare}
=====第4話視聴後、追記です。
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この作品は、次々に怒涛の展開が押し寄せる疾走感がキモだと感じてます。
その意味では、Aパートで潮が得体の知れない存在だというのを見せたいのはわかるけど、ちょっとウザ絡みが冗長に感じました。ランナーがここからギアを上げて走ろうというところで、後ろから服を引っ張られるような、そんなブレーキ感がありました。
Bパートから、また予想つかない展開を持ってきて、取り戻した印象ですが、ここまで完璧に近い内容で来ていただけに、少し肩透かしを食らった回でした。でもまあ、今季トップクラスの面白さは変わらないとは思いますけどね。
{/netabare}
=====第5話視聴後、追記です。
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むー…
カゲが、あんな亜人みたいな感じに描かれてしまうと、とたんに安っぽさが出てきますねえ…
ちょっとなあ…
まあ、まだ面白いんですが、なんというか、もう少しカゲの存在が得体の知れない怖さであってほしかったというところ。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
序盤の得体の知れない本格ミステリー感から一転、中盤からは異形の魔物との知恵比べ、終盤は異能バトルへと変化していきました。
なんでしょう。
すっごい豪華で力の入った“お子様ランチ”フルコースを提供されたような気分です。
作画は非常によく、アクションの動きもなかなかのもの。序盤のストーリーは、よく練られた謎解きミステリーの様相で、これはSクラスの傑作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!と思っていたのですが…
影と、その表の黒幕であるハイネが明らかになり、そしてバックには真の黒幕がいるという流れ。そして、エンドクレジットで必死に隠していたけど、バレバレだった黒幕のシデ。そういった対象がハッキリしてくると、なんというか「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ってなもんで、ふうん、そうなんやって少しテンションが下がりました。
敵対するシデ、ハイネとのパワーバランスが大きすぎて、慎平くんだけでは到底太刀打ちできなくしたのは、仕方がないとはいえ話をご都合&無理筋にしてしまった感。影の潮が味方になるのはいいとして、トキコが赤ん坊の影(ノラ)を操れたり、序盤の敵だった澪の影まで味方になったり、挙句の果てにハイネがシデを裏切って味方になる展開は、さすがにどうかと…
さらに、シデとのバトルで命を落としたヒヅルの中にいた竜之介が、慎平くんの中に入ってきて、高い身体能力でシデと戦うという展開は、もはやミステリーでもなんでもない異能バトルでした。
ま、ある意味では散らばった謎を収束させて、シンプルで分かりやすい対決構造へとシフトさせたというのは、殴ったり蹴ったり撃ったりという単純なバトルアニメが好きな層にはよかったのでしょうね。
序盤の期待感が、少しずつ尻すぼんでいって、ラストは「はい、シデを倒しました。復活させようとしていた赤ん坊のヒルコ様、その憑り代であるクジラを屠って解決しました。んで、誰も死ななかった世界線に連れて行くよ慎平」で終わっておけばいいものを、最終話は何の変哲もない慎平くんの島への里帰りで終了。1話も使ってやることかい、それは?
う~~~ん…
なんか、もったいなかったなという印象です。いちおう、1クール目の中盤までの高評価が効いて物語に★3.5を付けましたが、2クール目だけなら★2.0といったところ。広げた大風呂敷を、ちょっと乱暴に畳んだかなというストーリーでした。
{/netabare}