「パリピ孔明(TVアニメ動画)」

総合得点
80.8
感想・評価
569
棚に入れた
1852
ランキング
437
★★★★☆ 3.9 (569)
物語
3.7
作画
3.8
声優
3.9
音楽
4.0
キャラ
3.8

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ネタバレ

タック二階堂 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

亮、現代日本に転生し、三顧の歌を得て草蘆より出づる。

詳細は公式サイトおよび吉川英治『三国志』、または横山光輝『三国志』でも読んでください。

今期の圧倒的覇権候補の筆頭作品です。

三国志の伝説的な軍師・諸葛孔明が、五丈原の戦いで落命したら、まさかの現代の渋谷に転生するという奇想天外なストーリー。

原作は四葉タトさん、作画が小川亮さんによる、週刊ヤングマガジン連載中のコミック作品です。制作は、なんと初の漫画原作によるアニメ化を手掛けるP.A.WORKSです。

P.Aは、一貫してアニメオリジナル作品しか手掛けない制作会社なのですが、今回初めて漫画原作の作品を手掛けるということで、これってよほど原作に惚れ込んだというのがわかります。

なんか「無職転生」のために会社を立ち上げたスタジオバインド的なモノを感じますね。
{netabare}
この作品、実は少し前にTwitterで話題になっていて、ちょっとだけ原作を読んだんですが、めちゃくちゃ面白いんですよ、これ。渋谷に転生した孔明が、わけもわからない状態で助けてくれた歌い手を目指す月見英子に保護され、彼女の歌に落涙します。

そして、いまいち芽が出ない英子をメジャーな歌い手にするべく、軍師としてプロモーション活動を行うというお話です。

この作品の面白さは、原作者の四葉タトさんが三国志に深い造詣をお持ちだということ。狂言回しとして、英子が活動拠点としているBBラウンジのオーナーである小林というキャラがいるんですが、これが三国志オタクという設定なんです。

で、もうわかりますね。要するに、小林が視聴者でもあり、孔明にいろいろと三国志時代の話を聞くという。

それの何が面白いのかって?

うーん、覇権候補作品だから長くなるけど話しますね。私たちが読む三国志って、小説なら吉川英治の作品だし、漫画なら横山光輝の作品がほとんどなわけ。

でも、これってどっちも「三国志演義」という、いわゆる口伝によって広まったお話を羅貫中という人が小説にまとめた、いわば作り話ってわけ。

でもさ、考えてみなさいよ。実在した諸葛孔明が現代に蘇ったとして…。私たちが知っている歴史とは違うのよね。そういったことを小林が孔明に聞くと、

「なるほど、現代にはそう伝わっておるのですな」

となるわけ。そういった史実に近しい内容の三国志は「三国志正史」で、これは陳寿という人が編纂したといわれています。つまり、こういったストーリーを作るためには、しっかりと正史も読み込まなければいけないってことなのです。

つまり、そうした三国志の演義と正史の差分を分かっているかどうかというのが、より作品がリアルになるかどうかってことなんですね。

僕は三国志に関して、吉川三国志や横山三国志はもちろん、北方謙三さんの三国志も読了しているし、正史も図書館で借りて読んだし、陳舜臣の『諸葛孔明』も読んでいるので、悪いけどチェックは厳しいですよ。
{/netabare}
そんな三国志マニアの僕でも、1巻は楽しく読めたので、アニメにも期待感は大きいですね。今期では、ダントツに覇権候補と言ってもいいんじゃないかしら。

で…

=====初回視聴後、所見です。
{netabare}
うん、初回の立ち上がりは文句なし!

作画もP.Aの素晴らしいものでありましたし、キャラデザは「SHIROBAKO」っぽいところがありつつ、孔明の孔明らしいイメージのデザインも文句のつけようがないですね。

展開も、このぐらいテンポが良いのがいいんじゃないでしょうか。細かいところをいえば、酔って孔明が「おのれ司馬懿め」と言うのですが、当時は基本的に氏名では呼ばず、字をいうはずなので「おのれ仲達め」になるんじゃないかなあとか。

ま、こういうツッコミができるのも、また楽しからずや。期待の覇権候補が、文字通り「気分上々↑↑」の立ち上がりを見せた感じでしょうかね。あ、96ちゃんの歌も良かったです。
{/netabare}
=====第2話視聴後、追記です。
{netabare}
ちょっと初回から評価を見直しました。

孔明役の置鮎龍太郎さん、いい演技ですねぇ。もちろん、今期3本のメインヒロインを張るえーでちゃんのヒロインボイスも文句なし。そして、ライバルとして登場したミア西表の小林ゆうさんも、見事なヒール役の演技でした。これは★5に上げないといけませんね。

ちゃんとパリピっぽいOP、そしてEDはもちろん「気分上々↑↑」。劇中の歌も良曲ですね。音楽の評価も★5に上げなければなりません。

物語の評価は、今のところ控えめに言って★7ぐらい。なので、脳死状態でオール★5にしたわけではなく、相対評価としてこれにせざるをえないといったところです。

それぐらい完璧な出来。石兵八陣のエピソードを持ってくるあたりも渋い。ぶっちゃけ蜀が衰退し始めているあたりの話なので、あんまりイメージ無い人のほうが多いかなって気がしますが、僕は好きなエピソードです。いわゆる孔明の深謀遠慮がよーくわかる話なのでね。

あとは、活用しそうなエピソードとして「七縦七擒」あたりを出してきそうですね。たとえば、今回出てきたミア西表のスタッフあたりが7回妨害して捕まり、7回許されるとかね笑

こういう想像ができるのも、また楽しからずや。
ちょっと今期では、次元が違う別格な作品のようですね。さすが本気のP.A.WORKS。
{/netabare}
=====第4話視聴後、追記です。
{netabare}
ほんの少しだけテンションが下がった3話でしたが、また4話で上げてきましたね。特殊EDの入り方とか、すでに覇権アニメの風格すら感じます。鳥肌が立ちました。

多くの方がおっしゃる通り、この作品はP.Aの秀逸な作画に加え、話のキモになる音楽面にも優れたものがあるというのが特徴ですね。こんなストーリーで劇中歌がショボかったら目も当てられませんからね。

原作自体の面白さが、アニメになって演出などを含めたトータルでグレードアップした印象です。

ただ、あくまで憶測ですが、これでP.Aが原作付きの作品制作に舵を切るかというと、そうはならない気がしています。今回請け負ったのは、あくまで「パリピ孔明」だから、だと想像します。
{/netabare}
=====第7話視聴後、追記です。
{netabare}
孔明の計略は続きますねぇw
今回は趙雲に託した「錦嚢の妙計」です。趙雲に「困ったときに開けなさい」という孔明の深謀遠慮。

そして、ミエミエの伏線だけど、それでもワクワクさせる好敵手・七海との出会い。

いやあ、落ちないねえ、面白さが。
今期も中盤に来て、いよいよ独走態勢となりつつありますね。
最近では「オッドタクシー」「かげきしょうじょ!」に匹敵する、ノーマークからの独走。まあ、僕は始まる前から、この作品がトップになるだろうと予想はしていましたけど。
{/netabare}
=====第9話視聴後、追記です。
{netabare}
三国志の魅力は、なにも孔明の知略のみにあらず。
ほかの登場人物のエピソードにも、魅力があふれているために支持する人が多いのです。
今回は、関羽と張遼の陣営を超えた友情になぞらえ、英子と七海の友情を描いた物語。

七海の苦悩を、歌という形でメッセージとして伝えた英子。非常に良いシーンだったと思います。

今度会うときは敵同士。背中を向けて立ち去る七海に、また一緒に歌いたいという想いを伝える英子。まさに、関羽と張遼の別れのシーンを彷彿とさせますね。

今回も秀逸な出来だったと思います。
{/netabare}
=====第10話視聴後、追記です。
{netabare}
と、前回書きましたが、実はここ数回ずっと燻っていた思いがあります。それは…

孔明がモブ扱いじゃねーか!

ということです。

この作品の良さであり、覇権の筆頭を走っているのは、なんといっても孔明の存在にほかなりません。

五丈原で落命した孔明が現代世界に転生する→戸惑いつつも人知を超えた知力で現代に急速に順応していく→策略を以て英子の成り上がりをサポートしていく

という荒唐無稽でありながら、上質なエンタメ作品として受け入れられてきたわけですが、英子の10万いいね!獲得企画&KABE太人加入のくだりが長すぎて、ストーリーの都合で孔明がモブ化しているという本末転倒な展開になっているんですね。

いや、そりゃね、三国志の劉備が孫権のもとに行って妹を娶るという流れの際に、孔明が持たせた巾着を開けなさいというストーリーは、あれは孔明を連れて行くと孫権が警戒するからという理由があったわけで…

そもそも英子が主役のストーリーであれば、これはこれでいいとは思いますよ。でも、主人公は孔明ですからね。俺たちは孔明の知略が見たいんだ!ということを訴えておきますね。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
赤壁において、周瑜から10万本の矢を用意せよという無理難題を出された諸葛孔明。そこで、濃霧の日を狙って藁で作った人形を乗せた小舟を曹操軍に差し向け、見事10万本以上の矢をせしめた「草船借箭の計」という逸話をもとに、10万いいねをアザリエ陣営から奪い取ったという終盤のエピソードでした。

三国志では、この孔明の知謀に孫権陣営の周瑜と魯粛が、「我々の知略は、とうてい孔明に及ぶところではない」と落胆するのですが、今回はアザリエ陣営の将・唐沢はそんなことにはなりませんでしたね。

んーっと、英子の歌によって自分たちのアイデンティティを貫くという決意を固めた七海たち。そして、いよいよ英子はサマーソニア出演を決めました、というところまでですね。

中盤、ちょっと孔明の出番が少なくてダレましたが、終盤に来て盛り返し、今期の覇権アニメにふさわしい堂々とした締め方でした。

原作はまだまだ続いているようですし、ストックもありそうなので、「天下泰平の計 第二章」を待ちたいと思います。ま、これだけ話題になったのですから、続編が作られる可能性は高いでしょうね。
{/netabare}

投稿 : 2022/06/23
閲覧 : 412
サンキュー:

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