福松 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
【ネタバレ増やしましたが折りたたみました】久しぶりの投稿が40年前の作品かよ(笑)。でも私は旧友に再会した気分です。
物凄く久しぶりの感想投稿となります。
お久しぶりの方はお久しぶりです。初めましての方は初めまして。
本作は生涯で二度目の視聴になります。84分30秒ほどの作品です。
未視聴の方が多いと思いますので、ネタバレは極力書きませんが、どうしても表面的に触れざるを得ない所はあります。よって、投稿設定はネタバレ有りにしておきます。未視聴の方が一人でも観たいという気持ちになっていただけるような感想にできたらいいなと思います。
校正時に、もういいや、と思って、私のプロフィールの生年を正しくしようかと迷いました。今でも迷っています。この件は先延ばしにします。一応1900年生まれにしてみました(爆)。
本作はあにこれの作品概要にもある通り、『1982年の日本テレビ系「24時間TV 愛は地球を救う」内で放映された長編アニメ。光瀬 龍/竹宮恵子による同名のマンガをアニメ化。「24時間TV」で放映された長編アニメの中では、数少ない原作・手塚治虫ではない作品。』です。つまり40年前の作品です。
年若かった私はこの作品に大きな衝撃を受け、その後のSF街道まっしぐら路線を決定づけられました。アニメはその一側面に過ぎないのです。特にラストシーンにはとてつもない衝撃を受け、今でも鮮明に覚えています。というか、忘れたことがありません。こういうのを原体験というのでしょうか。今となっては、イル(この名前は覚えておらず、視聴寸前にDVDパッケージで確認できました)には阿修羅王と重なるイメージもあります。まさに記憶に残る一作でした。せっかく家にやってきたばかりのビデオデッキに録画しなかったことを視聴後に悔しく思った事もはっきりと覚えています。なんの事前情報もなく、何気なく視聴し始めましたので。予備のVHS標準120分3倍360分テープは、3本2000円消費税当然無しで安売りしていたのを自分の小遣いで買っていて、残り2本だったと記憶しています。しかし、その悔しさを凌駕する感情の揺さぶられ方は初めてのものでした。たぶん、感動していたんだと思います。シーンを覚えているけど感情は残っていないって、興味深い話ですね。脳科学的にどうなのでしょう。
正直に申し上げまして、つい最近まで、手塚治虫氏の作品だと思い込んでいました。なんとなく絵と作風がいつもと違うな、と当時の私はうすぼんやりと感じていた程度でした。つまり、放送前後のテロップなどをちゃんと見ていなかったのです。そもそもそのような習慣はありませんでした。もちろん、光瀬 龍/竹宮恵子両氏による漫画の存在を知りませんでした。これらの事実を知らないまま、両氏の作品は後年、私が追い求めるところとなり、私の謎スタンスを生み出していくことになります。これは、やはり両氏の作品の方向性が私に合っていたからだと思います。百億の昼と千億の夜(阿修羅王→adoの阿修羅ちゃん)、テラへ(地球へ)などに代表されます。それに反応できた当時の私の感性もまた、捨てたものではないなと改めて感じました。
前置きが長くなりました。あにこれのタブを第二モニターに移し、ドキドキワクワクで視聴を開始したいと思います。と、その前にDVDパッケージを見てみます。表絵、えーと、どなたでしょうか、全く記憶にございません(笑)。たぶんジムサなのでしょう。竹宮恵子氏によるイラストなのでしょうか、非常に美しいです。裏面、イルが居る(笑)。そう、この人を見るためにDVDを買ったと言っても過言ではありません。声優陣、ちょっと凄くないですか? DVDをパソコンに入れる前から完全に私のスイッチがオンになっています。
すったもんだの挙げ句、ようやく再生を開始します。ところが、ホーム画面を見て固まってしまいました。なんじゃ、この美しさは。DVDパッケージ表面と同じと思わせといて、影のエフェクトと背景、PCモニターの明るさから、まるで別物に見えています。アニメ本編では恐らく再現できない作画クオリティですので、今のうちにじっくり見ておきます。背景には仏像らしきものがありますが、腕が六本には見えません(爆)。が、なにやら微妙で、光瀬 龍氏らしい設定です。チャプターリストはあえて見ずです。
我ながら引っ張り過ぎですが、本編再生ボタンを押します。ついに視聴開始です。長いっちゅうねん。
{netabare} 冒頭は、百億の昼と千億の夜と良く似ている。作画レベルはお察しを。初期宇宙論として、かなり正確な描写で驚く。OPが始まる。1:18、こんなに大きく書かれた原作テロップを見逃すとは自分の目は節穴だった。2:16、E=MC^2、質量とエネルギーは等価。これは理解できない年齢でした。惑星アストウリアス、アルタイル城、メモです。アストラルタ神、良く見るとこれは・・・。光瀬先生、どうなんでしょう? 布のシワなんでしょうか。
イタカとリリア。不思議な異国の香り、一気飲み、美味しそうな漫画肉。4:49、早速のご登場か。剣士バルガにかすかな記憶あり。5:57、気合の入った作画。期待通りの美しさ。和装に近い。日本刀っぽい得物も記憶にあり。昭和な劇伴がいい味。6:43、決め顔から画角が変化していき、作画労力と演出のバランスを取っているかのよう。全体に動きは粗いものの、そんなの関係なくカッコいい。上手に見せてくれている。バックでささやく群衆の声が丁寧。7:14でずっこける。巻き戻して観直すと、バルガはほんの一瞬だけ確かに走っていた。その程度では普通は見落としますよ(笑)。
話が動き始める。でも、8:30でヨガをしています。脊椎が綺麗に伸びている理想的な姿勢。指の輪っかは「チンムドラ」という印で、実在する。ムドラを代表する印のひとつ。裸足でなくサンダルを履きっぱなしなのは、警戒心を解いていない、という意味に捉えられる。9:29、架空の動物の造形が細かい。その直後に何かをイルは仕込む。効果があったのやら、なかったのやら、良く判らないが、とにかく「最初の戦闘」(角川版の幻魔大戦の第三巻くらいでしたっけ?)。10:27、元の数に戻るw 次のシーンで「え?」となる。ここはまったく覚えておらず。
さて、このペースで行くと終わりませんので飛ばして行きます。
結構なサイバーパンク。西部劇の草玉も一瞬見えた。てんこ盛りで進む。聖母か悪魔か。
ゴダイ。イルがロドリアンの戦士であることを知るクフ。声が渋すぎ。ちょっと選民思想が入っているが、ノブレス・オブリージュの一つかと。ここで動機付けが入る形かと思いきや。ようやく名乗るイル。距離が遠いよ。受けよりも攻めだそうです。
相変わらず飲んでいるバルガ。イル、開けたら閉める、これ大事よw まったくセンサーになっていない小さいやつ。
21:58、また追いつけないバルガ。そして、乳母さん、なんてことを飲み助バルガに託すんだよ。イルは全てを見ている。
乳母だけ無事なのは、ジムサの力か、政治権力から遠いからか。
姫の兄、再登場。耳飾りが美しく輝く。健気すぎる。イルの布がデカいw
惑星ミラト。弥勒を連想。ミュラトかな。
姫の兄の部下は忘れ去られた模様。結構大変な事になる。イルの布は何なのだろう。
クフもか。え? 偽装?
再会、帰宅、猿人、シンクロ。アフルか。一瞬、本気を出すジムサ。無事を確認し安心。初めての笑顔。大群衆。バルガの役回りがよく判る。
惑星ミュラトから来た理由。あっさりと壮大な事を言ってのける。
クフは老けないが、バルガは老けたような印象。ん、クフはアンドロイド?
なかなかの怒涛の展開が続く。アークとベス。とりあえずベスの声が可愛い。それにつけても豪華声優陣である。ベス有能。
ちょ、親子かいな!
ぶれないジムサ。これは立派な態度だと感じた。
バルガの顔見知りの女? ちょ、大丈夫かよ、こいつらww で、それっきりなわけか? とにかく、凄い幸運。まあ、混乱もあっただろうし、やむを得ないか。って、えー! そうゆうことなの? ひえー。お色気シーンである。
さて、どうしてもアークがオーベルシュタインに聞こえる。中々冷静な役回りである。57:53、アストラルタ神、やはり阿修羅像に見える。そうゆうことか。58:37でも再確認できる。仕込んでるなぁ。
ここで価値観のぶつかり合い。唯一の存在に頼ることを是とするのか否か。宗教、特に一神教の是非にも繋がる。そもそも論だが、個であることを捨てたならば、主張したい事も主張できなくなるのではないか、という件。
崖の上、こける、地面を殴る、シンクロ。
スムースにアフルへ。わかりやすい腹巻である。そして、重粒子加速砲、ラミエルかいな。
ここで命令がはっきりした。これもある種の人類補完計画と言えないだろうか。最後の攻撃。アークの有能さも判明。形の意味は瞬時に判る。精子である。色々あって、巨神兵とソーラーレイまで先取りしている。これはもっと評価されても良い作品ではないかと感じる。尺の短さが恨めしい。
クフの決断と執念。アダムとイヴの誕生か。
私の記憶もより明確に蘇る。イルの独白もはっきり覚えている。覚えていることに全く驚きはない。私にとっては、このシーンは原点中の原点である。覚えていて当然である。イルよ、最後まで美しく、気高くあれ。
母からの言葉。コロニー落としと言って良い。着弾前から大気が過熱されている描写がちゃんとある。また、地表の裂け目が十字。あらゆるアニメを先取りしている。船の形の意味は書かずとも明らかであるのは前述の通り。
ED。エンドロールで改めて、私ですら判る声優陣の凄さ。アムロくんにアラレちゃんである。最後の最後に明示して終幕。
とりあえず、40年前に私が衝撃を受けたシーンはエンディングではありませんでした。当時の私にとって、あのシーンに続く内容は重要には思えなかったのでしょう。イルに感情移入しやすく話が組みあがっているかのようです。鉄郎も切望した永遠の命、999でもテーマになっていましたが、無限に生きることには恐らく脳が耐えられないのでしょう。とすると、次のテーマとしては、脳をリビルドして、永遠の生に耐えられるようにする、となりますね。私の小説に組み込んじゃいますw
イル役の藤田淑子さんについても、少し検索しました。凄い経歴で、一休さんや堀口元気、マライヒに来生泪、キテレツに月影先生、洋画の吹き替えも多数でエピソードも凄かったです。
綺麗なDVDの表絵やホーム画面のイラストはイメージイラストで、作中では、まあ、ジムサだろうな、という感じでした。
決められた放送枠があるので、詰め込み感は確かにありました。テンポが良い、をちょっと通り越していますが、話を進めなきゃいけないので、致し方ないかな、と思いました。しかし、もったいないと思いました。もう少し作り込んで二時間半や三時間の映画にしてほしかったです。再アニメ化とか、ないのでしょうか。これを見た人が偉くなってて、強引に再アニメ化、とかって無理かなあ。今の業界のレベルで作り直したら、凄い作品になると思うのですが。
エンドロールでちょっと気になったので見直します。やはり、今のアニメでは考えられないほどの原画さんの少なさです。しかも動画さんも少ないです。これはとんでもない労働量だったと思います。{/netabare}
最後になりましたが、原作勢の声を少しだけ紹介します。記憶に頼っているので、コピペではありません。「よくこれだけの短時間でまとめた」「やはり細かい部分が再現できておらず、とある箇所の省略が気になった」。この程度しか目にしていません。これを投稿したら、あにこれの他の方のレヴューを拝見したいです。
原作ですが、コミックスサイズではない大判をどうにか入手して、それも読みたいと思っています。再アニメ化を期待しつつ。なお、ちょっと校正が十分にできていない不満足な状態なのですが、一旦、投稿いたします。まあ、更に校正したとしても大してレベルは上がりませんがw。
こんな駄文ですが、流し読みであっても、お読みいただき、ありがとうございました。
20220328タイトル冒頭変更、本文に追記など、以下にも追記。
{netabare}本文中にも書きましたが、改めてまとめますと、ナウシカ、エヴァ、ガンダムのコンセプトと重なって見える部分があります。再び列挙すると、巨神兵イメージ、重粒子加速砲イメージ、十字の裂け目、人類補完計画そのもの、ほぼほぼコロニー落とし、と言ったところでしょうか。ガンダムとナウシカは本作とほぼ同時代だったので、お互いに影響を与え合っていたのかな、などと空想しています。イメージボードなどがつくられた時系列を正確にご存じの方、もし居られましたら是非とも教えてください。
あと、フレーメン反応がありました。寝ている間に一時的退行を脳が起こしました。おねしょしました。起きてみると、蘇ったはずの記憶がありません。たぶん、年若い時期の記憶がかなり引き出しやすい位置に置き直されたのだと思います。今後、何かの拍子で出てくると思います。楽しみです。{/netabare}
2022-05-22深夜追記
原作を読みました。ここに書くべきことではないのですが、ついつい書いちゃいます。折りたたみます。
{netabare}原作本は何種類もあります。私が入手して読んだのは最初に連載をまとめた大判のコミックスです。B5を少し大きくしたサイズで、それだけで値打ちがあります。三巻組で、合計で5枚のポスター、25ページ程度のカラーページ、大量の付録がついています。二巻目はテレビ放送の直前の発刊で、アニメの宣伝や資料が山盛りでした。当時のアニメ制作は今でも通用する部分が多いでしょうし、非常に参考になりました。とは言うものの、付録で一番嬉しかったのは、原作の光瀬龍氏による、若き日のイルの短い物語でした。竹宮恵子氏はイルを描く際、牛若丸のイメージを持ちつつも、旧友であり、険悪になってしまった萩尾望都氏による阿修羅王を目指して描いた、と明言されていました。清々しいほどです。
肝心なことを掻き忘れていました。アニメ放送時点では連載すらまだ終わっていなかったのですが、光瀬・竹宮両氏の監修?の元でアニメは作られたそうです。この年、なぜ手塚さんがアニメを作れなかったのか、裏話がありそうですが、日テレ幹部の焦りぶりが伝わって来そうなエピソードです。
話の内容として、ざっくりまとめましたら、上記の原作勢の感想と同じものになります。細かい所では、やはり少女漫画特有の、繊細な心理描写に非常に惹かれました。ジムサが更にちゃんと主人公していました。アフルはより可愛らしく、そしてイルはより悲壮感が伝わってきました。端役としては、バルガが三枚目ではないという事が驚きでした。オーベルシュタインはオーベルシュタインでした(笑)。違いはたくさんあるのですが、ここで書くとしたらやはり、イルの最期でしょうね。アニメ版では衝撃的なシーンでしたが、漫画版では同じ結末でありつつも角度を変えて描かれています。先にアニメをされちゃうと漫画化としてはやりにくくてしょうがないでしょうね。
他にもいろいろあるのですが、私のプロフィールにも載せている別のブログの方に綺麗な写真入りで何記事かに分けて感想を書いていますので、もしよろしかったらご参照ください。ここはあにこれですので、これ以上、書くのは止めておきたいと思います。{/netabare}