芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ファンサービス8割本編2割
以前まではまどマギに対してわりと辛辣な意見を持っていたのだが、最近見返したらわりと面白かったので、映画にも手を出してみた。
結論としては、退屈もしたが、終盤の話の進め方はそれなりに楽しめたという感じだった。
映像は華麗だが最初の1時間半くらいはつまらなかった。あくまで、TV版のキャラが総出で活劇することでアニメファンに対してサービスしているようにしか思われなかった。
創作論では予想できる展開を描くのは悪いことじゃない、と言うけれど、やっぱり想像の範疇を出ない話というのは興が醒める。予想ができる展開が面白いのはどんなときだろうか?展開は予想できるが結末は予想できない、というようなときだろうか?あるいは、予想できることが問題というより、物語自体が典型的すぎることが問題かもしれない。演出も絢爛ではあるが、衝撃を与えるものを作るというよりは今までのものを踏襲したものに見える。
{netabare}あと、前半の話はかなり「うる星やつらビューティフルドリーマー」のパロディっぽい。誰かの意思の空間に閉じ込められること、ビューティフルドリーマーで象徴的だった風鈴と今作の鈴の音、永遠に外に出ることがないバス。詳しい比較はここではしないけれど。{/netabare}
終盤の展開は{netabare}比較的楽しめた。終盤のほむらの変転自体は中盤のまどかとの対話とかから微妙に闇堕ちの波動を感じていたが、闇堕ちと欲望には目がない自分には好ましい展開でもあったし、そこに来てようやく先の見えなさが生まれた。
しかし、円環の理自体が機能して、精神だけ分離して一緒に暮らすことができるなら、普通にハッピーエンドにも感じて、ほむらのダークヒーロー感というのは若干伝わりづらい。なんならまどかの記憶を奪う必然性すらないように思える。(ママとか先生はいい迷惑だと思うが)
抽象的な形としては、純粋にまどかを想い続けたほむらが、神に対する悪魔と化することでまどかの隣に立つというのはエモいけれど、具体的な行動原理の因果とかは少し荒く、説得力は十分ではないように感じた。{/netabare}
既存作品の映画化というとどうしてもある種のファンサービスに徹する必要がある側面があって、物語自体も既存キャラの上に組み立てなければいけないから大変だ。
{netabare}ビューティフルドリーマーは類似の筋の話が原作ファンの願望とかけ離れたある種のアンチテーゼとして機能したのに、こちらではそれがまどマギファンが見たかったが見れなかった魔法少女たちの競演を見せる、ファンサービス的側面として機能しているのは不思議な対照と感じる。{/netabare}
と、正直全体での評価はそこそこ、という感じなのだが、TV版も見返したら評価が上がったので、こちらもそのうち見返せば面白いと感じるのかもしれない。
本作においてほむらは演劇監督の立場に収まったわけで、次作では演劇の魔女から舞台装置の魔女という道をたどったワルプルギスに変容していき、まどかを追って過去へと時間転移してという展開になるのかしらん