芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
知的ではないが面白い
野崎まどは小説で以前「know」を読んだことがあるけれど、表面的な知識で作られた虚構世界が舞台で主人公に好意を持つ天才女が活躍する愚にもつかないライトノベルという感じで面白みはあまり感じなかった。ので、あまり期待せずに見た。本作でも語られる知識や主張自体に斬新さはなく表面的に見えたし、政治の描かれ方などは稚拙でB級な感触が強い。
前半部分は特に政治的駆け引きが稚拙すぎて、見るのをやめようかと思った。しかし7話、8話あたりから評価が変わった。もう政治をリアルのものとみなさず「ムダヅモなき改革」くらいのフィクションだと捉えることにした、というのもあるかもしれにないが。
善悪とは何かなんていう中学生じみたテーマで結論の{netabare}持続こそが善という考えも
さして斬新でもない。{/netabare}
自殺法についての議論は論点が曖昧でその場凌ぎに進んでいるように見える。
ただ、「善とは何か」、「悪とは何か」、「なぜ死んではいけないと人は言うか」という見慣れたテーマもここまで素直に延々と問いを重ねられると何か、再度自分の尺度について考えさせられてしまうし、「悪人は善人の裏でしかない」ということを道徳的な配慮を抜きにここまであからさまに描いてしまうのは珍しい。
最終話で{netabare}今まで自殺を止めることに必死になってきた主人公が正しいことをなすために自殺しようとしている正しい人間を殺す場面{/netabare}は皮肉が効いていて強い印象を与えた。(そもそも実の所「自殺者」を罪人として見る考えは今日稀で、問題は「自殺幇助」のほうだった。)
最後の展開がよかったので高い評価を出しちゃいます。