栞織 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
これはいい映画だったと思う
これも映画館で見ました。これはすごくいい作品でしたね。公開前に原作の少女漫画を読もうとしましたが、昔の絵柄で入り込めないので、ほとんど読まないで映画館に行きました。この原作少女漫画ですが、原作がさらについている作品で、どうもその原作も左翼系の方だったのかなあ。ふつうの少女漫画と違って、ネームがずらずら出て来て、まるで小説のようでした。さすが宮崎監督がアニメ化したいと言うだけあるなと思いましたです。
この宮崎吾郎監督の前の作品が「ゲド戦記」でしたから、かなり期待せずに映画館に行ったんですが、それがかえってよかったですね。思わぬサプライズがあったように感じました。サプライズと言えば、映画館だけに出て来たトリスおじさんの人形とか、60年代当時の風物が見ていてとても懐かしかったです。ただこれは若い人たちには通じなかったろうなあと思いました。家の前の道が舗装道路ではないのも、私たちニュータイプ世代が知っている最後の世代ではないでしょうか。東京都内のビルの満艦飾の電飾看板の様子とかも、今では見ることのできない風景です。台所の流しの下に、床下の貯蔵庫がついていたりするのも「ああいうのあったなあ」と思いました。そんな風に、タイムスリップできる作品だったのでとてもうれしかったです。
ただ話としては、年若い人には抵抗感があったと思います。と言うのも、ヒロインのメルがヤングケアラーみたいな生活を送っているという設定だからです。ジブリヒロインはだいたい生活優等生ですが、これはちょっとやりすぎ感を感じました。それでラストでヒロインが父母の幻影に逢うというのがメインになっているのですが、それで許せるのかというのがありましたです。それ以外は実は兄妹なんじゃと悩む話とか、ドラマとして面白い展開で、よかったと思います。当時のふつうの学生たちの様子とかもうまく描かれていて、いいジブリ映画だったと思います。作画もすごくよかったです。主題歌もいい歌でした。当時やっとまた「耳をすませば」のようなジブリ作品が見られたと思った作品です。