栞織 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
狸御殿ものの伝統にのっとった?作品
この作品はレンタルビデオで見ました。公開時は映画館にかかっていた事も知らなかったです。気が付いたら公開していたジブリ作品です。ただうちの息子がこの映画のビデオをいたく気にいっていた時期がありました。彼が五歳ぐらいの時でしたかね。そのくらいの子供にはいい映画だと思います。
私は生まれる前なのでよく知らないのですが、「狸御殿もの」という邦画の一ジャンルがかつて存在し、江戸時代の大奥で狸の扮装をしたお女中たちが活躍する時代劇というのがあったらしいです。その当時は人気作だったらしい。本作はおそらくその記憶がある人たちが企画を立て、映画に仕立てたものだと思います。要するにこれは少し懐古趣味のある映画で、それが物語のエコ志向や自然破壊を訴えるテーマとうまくリンクしています。物語全体をそのようにうまくくるんでいるので、シナリオもぶれることなく、うまく最後まで一本筋の通った見事な映画になっています。
ただ惜しむらくは、タヌキの生態から調査してリアルかつギャグも落語や漫才界のプロの人たちを声優に呼んでまで作られた本作なのでありますが、タヌキが画面のほぼ80%を席巻し、二枚目はほとんど出ない、出ても次の瞬間タヌキになってしまうという真にアニメファン向けではない描写が続きます。そのため私も最初に「そのくらいの子供にはいい映画」と書きました。悪い映画ではなく、きちんとしています。ただ、見ていてあんまり楽しくない・・・再見はしんどくなる。それが本当に残念な作品なのです。