蒼い✨️ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
限界を超えようとするアニメ会社。
【概要】
アニメーション制作:ufotable
2021年12月5日 - 2022年2月13日に放映された全11話のTVアニメ。
原作は、『週刊少年ジャンプ』に連載されていた吾峠呼世晴による漫画作品。
監督は外崎春雄。
【あらすじ】
大正時代。先祖代々、山で暮らす一家の長男の竈門炭治郎は、
「炭焼き」「炭売り」を生業にして、母や弟妹らと仲良く暮らしていたが、
仕事で出かけて家を開けている間に、家族が鬼に惨殺されて妹の禰豆子と二人だけ生き残った。
鬼となった妹を人間に戻すのと家族の仇をとる目的で炭治郎は修行して鬼殺隊の剣士となり、
鬼にされながらも人の心を残している禰豆子と一緒に人喰い鬼を狩っている。
数々の死闘を生き延びた炭治郎は、同期の鬼殺隊剣士の我妻善逸、嘴平伊之助と、
任務で「無限列車」に乗り込んで、「炎柱」の煉獄杏寿郎と合流する。
乗客を守りつつ、下弦の壱・魘夢の討伐に成功した4人ではあったが、
十二鬼月 上弦の参・猗窩座があらわれて、煉獄との一騎打ち。
実力では両者劣らぬ攻防ではあったが、負傷や疲労が蓄積する人間である煉獄は、
鬼の不死性と再生能力を持つ猗窩座に、徐々に追い詰められていく。
致命傷を負いながらも残された生命を猗窩座との相打ちに費やす煉獄。
鬼の弱点は太陽の光。あと一歩のところで猗窩座は日の出を避けて煉獄から逃亡。
鬼たちから人間を守り抜いた煉獄は炭治郎たちに、
鬼殺の剣士としての心構えを説いて、この世を去った。
そして、煉獄の死と自らの不甲斐なさに慟哭する炭治郎たちであった。
2ヶ月後。療養を終えて、煉獄の死を乗り越えた炭治郎たちは、
吉原の遊郭に潜み人を喰う鬼の探索のために、
「音柱」の宇髄天元とともに、花街に潜入するのだった。
【感想】
相変わらずの大ヒット作品。
アニメは、「ドラゴンボール」のようにわかりやすい面白さがあるものが強いのでしょうかね。
勧善懲悪や家族愛などを描いた作家性は原作にまかせて、
アニメのスタッフは原作を尊重してとにかく映像のクオリティに全力投球。
監督のセンス?芸術性?考えさせられるだの監督の哲学だの、作品を監督の私物のように扱い、
そういうのを一々アニメに求めるファンの方々もいらっしゃいますが、
思えば長年、スタジオジブリが日本では最高峰のアニメ会社であったのは、
劇場アニメ専門に絞って作画のクオリティでは日本ではライバル不在あったからでしょうか。
アニメを普通に見て普通に楽しんでいた平成初期の当時の小学生が、
「となりのトトロ」「魔女の宅急便」らを見て批評家気分で薀蓄を語るわけでもなし。
宮崎監督作品でも「紅の豚」まではエンタメや日常を普通に扱っていましたしね。
アニメに詳しくない層にウケる「面白い」とは、
視覚や聴覚を経由して琴線を刺激する芝居や映像美の説得力。
それが全てではないにせよ、映像に生命を吹き込み躍動感を与える作画の力は、
視聴者に感動を鮮烈に残す力があるのでしょう。
実績のあるベテランのアニメ演出家の本郷みつる氏が、業界あるある話として、
予算以上のクオリティのアニメを作ってしまった結果として、
→目が肥えた視聴者がクオリティが低いアニメを受け付けなくなる。
→結果、造り手に要求される水準がより高くなっていく。
の無限ループについて2013年に言及していますが、
昭和の話になりますが、「超時空要塞マクロス」でのTV版では、
スケジュールの都合で韓国下請け会社のスタープロに投げて頻繁に作画崩壊を起こしていたのは有名。
そのリベンジか?キャラクターのニュアンスまで含めた感情表現や作画の密度やアクションを、
極限までこだわった、劇場版の「愛・おぼえていますか」みたく、
アニメーターとは、予算と環境が整えれば全力で頑張っちゃう生き物なんだと思いますね。
それは、東映でも京アニでも他のアニメ会社でも同じこと。本物の仕事には結果がついてくる。
現場がカツカツで低予算で妥協して作ってる会社も少なくはないのでしょうけどね。
最新の3DやCGの技術を惜しみなくつぎ込んでいて映画並の予算と人員を使ってるのと、
監督の外崎さんが有言実行で自ら原画も描いてスタッフの手本のなるように働いて、
この遊郭編でも、スタッフ一丸となって素晴らしい作品を作ろうとの姿勢が結果になってますね。
この外崎さんも昔は、「ニニンがシノブ伝」の総監督的な役職をしていましたので、
作画をどうするかは、作品ごとに最適解をつくっていくのがやはりプロなんでしょうね。
線が少なくライトな作画でも面白い作品があることは否定はしませんが、
それは作品の世界観に合わせてキャラデザや美術が指定されていますので、
どれかひとつが正解なんじゃなくて、
それぞれの良さを楽しめば視聴者としては良いのでしょうけどね。
遊郭編は全11話で、1期の竈門炭治郎 立志編より、
テンポがよくて美術やアクションなどの作画がパワーアップしてて凄いですね。
あと、音柱の宇髄天元が妙にかっこよかったり、
敵の堕鬼役の沢城みゆきさんの声と演技が本当に素晴らしかったりで、
キャラクターの格好良さ・美しさ・禍々しい感じがより際立っていて感情移入しやすく、
1期では世間の反応に比べて冷めてた自分でも、第10話の禰豆子のセリフがしっかり響いたりして、
今回は素直に楽しめました。
相変わらずのギャグ顔とかは、あまり面白くはないのですけどね。
とりあえず、次の「刀鍛冶の里」編も楽しみにしています。
これにて、感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。