nyaro さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.5
作画 : 5.0
声優 : 2.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
これが星雲賞と日本SF大賞?信じられません。設定もテーマも甘すぎ。
何といいますか、凡庸…なんですよね。テーマである魂の問題はもちろんですけど、ストーリーそれ自体が…なんというか過去のAIのアイデンティティものにゴシックホラーを組み合わせただけ、というか…
キャラクターの悲哀…たとえばハダリーですけど、彼女は美しいしロケットおっぱいだし、悩みもあります。でも、彼女の内面というか何を蓄積したから魂の問題が解決するのか、という部分を真摯に物語に積み上げたか、ですね。
それはもちろんフライデーも同様です。フライデーとワトソンとの約束…ハダリーとの対比…どうでしょう。何かを語れていましたか?大冒険の末になんとなーく丸く収まってしまった感じですね。
しかもなあ、攻殻機動隊だし人類補完計画だし…結果的に訳の分からない言葉遊びで魂が作れるとか…最後は夫婦で蘇りたい?
そもそも設定が屍者は精密科学のはずなのに、屍者にかまれると動きだす、みたいなゾンビ設定ってありましたっけ?
それとあの緑の光は情報ってこと?ちょっと途中からシラケてしまって物語が終えてないのかもしれません。
{netabare} それとエンドロール後ですね。アドラーもワトソンもコナンドイルですからね。つまり架空の人物ということです。そもそもフランケンシュタインがそうですからね。フランケンシュタインは屍者を扱う上での、一つの概念ですから設定のベースに置くのは構わないと思うのですが、ドイルですか…やりすぎですね。
で、それぞれは今誰の魂なの?よくわかりません。{/netabare}
魂という言葉を弄んで、ストーリーにしただけの気がします。AIものとしてハダリーのキャラや屍者の設定、ギミックは映像映えもしたし面白かったと思います。ただ、設定も状況も説明不足で矛盾がある気がして、モヤモヤします。
星雲賞と日本SF大賞とってるんですよね…うーんわかりません。この2つの賞は結構しっかり審査してると思うんですけど…こんなガバガバでこの両賞ってとれるかなあ…となるとアニメが悪いのかなあ。
伊藤計劃って、早世の悲劇性が先に立ってしまって敬遠してたんですけど、ちょっと原作を読んでみます。虐殺器官もチェックしたいし。
ということで雰囲気と映像がすごいし、ストーリー運びはまあ見られますけど、テーマ性が読み取りづらいしテンプレだし、SF的な設定が甘い気がします。TVシリーズなら許されるレベルですが、劇場用作品としては正直落第点ですね。
ハダリーのキャラと作画で点数高めになりますし、ストーリーがつまらないとは言いませんが、SF好きを満足はさせられませんね。