ウェスタンガール さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
萌えのセツナ
その愛すべき生き物たちは、穢れなき心のサンクチュアリの中でしか呼吸出来ない。
我々が夢想する次元のセツナでひっそりと、だがしかし生命の煌めきを放ち続けるのである。
純粋にしてアンタッチャブル、汚れ切った我々のような存在が、同じ空気を呼吸するなど決して許されるはずもない希少種。
これは、レッドデータブックの筆頭を飾る美しき生き物たちの記録である。
(ちなみに、わが郷里であり日本初の学校制服のセーラー服が誕生した京都において、この春、府立のセーラー服の女子高生が絶滅したことが報告されている。寂しいことだ。)
ロマンと写実が交錯する“踊り子の画家”、エドガー・ドガが転生したならかくやあらん、“萌え”の世界を2次元に切り取るデッサンの鬼であり、稀代の絵師、博氏の世界が動き出す。
製作はご存知 CloverWorks、『アイドルマスター』の系譜であり、何より『ダーリン・イン・ザ・フランキス』のパラレルワールド的な世界観までも、勝手に夢想してしまう。
杉山勝彦氏の手になるオープニング曲。
『はじまりのセツナ』からほとばしるトキめきのストリングス、蝋梅学園中等部1年3組のメンバーの、追いかけるように声を重ねてゆくメロディがそうさせるのか…。
『ダリフラ』のエンディングもまた杉山ワールドであり、『トリカゴ』と『真夏のセツナ』に始まる6曲のシンフォニーとの間を繋ぐ少女たちの想いが昇華され、転生を果たした世界を謳歌する、などと妄想するのだ。
明と暗のコントラストを見る思いがするのだ。
また、『ダリフラ』の中でも特に印象深い第7話『流星モラトリアム』、いわゆる水着回で設定製作や脚本を初めて手掛けた山崎莉乃さんが今作の構成脚本であり、甘酸っぱさの中に心地よい風を感じるのは自然なことであろう。
さらに、同作品で作画監督の一角を務めた河野恵美氏や川上大志氏に、『スロウスタート』や『ふらいんぐうぃっち』でのお仕事が印象的な安野将人氏を加えたキャラデザと総作画監督三人体制と言う贅沢な作りである。
甘美にして生き生きと、どこまでも平和な世界が素晴らしい。