ハニワピンコ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
美大受験で見た受験生たちの青の時代
かなり注目されてる漫画。アニメ化部分までは視聴後買って読んだ。目標に突っ走るキャラ達と自分との乖離でコンプ発症しそうになるけれど、めちゃくちゃ面白い
で、アニメのはなし
こういうのはアニメ映えするし、漫画とアニメどっちが良かったかって明確に差が出る系の作品だと個人的には思っていて、"動く"というより"どう表現するか"に注目して見ていた
アニメ見てから漫画を読んだら、八虎の友達が絵を描いてるって気付くシーンや、親を説得するシーン等、そこカットするんだーって思ったシーンが結構あった。初見でアニメ見た時に違和感があった訳では無いけれど、あったら尚良いって思った。特に友達が応援してるってアニメだとほとんど描写されなかったのにいつの間にか応援してる風だったし
全体のアニメとしては
内容が良いだけに勿体ないと思う部分は多々あったかな
まず、かなり原作でもかなり早かった前半の展開を更に早くし過ぎてるから、描き始めたばかりの状況が飛ばされてるのは勿体ないと思った
もちろん、あくまでも受験だから予備校に重点がいくのは分かるけれど、森先輩との関わりや、始めたてからの少し上手くなった後の悩みなんかを経て予備校ってなったらもっと感情移入出来たかもしれない
何が言いたいかというと、視聴者にとっても共感し易い"描き始めてすぐの初心者の状態"を深く描かずに視聴者にとっては魔の"予備校"で、結構良い順位取ってるんだったら元から才能あるんじゃねとすら思う
視聴者がそう思っている中で、本人は才能が無いから量をやるしかないとか言ってると、かなり視聴者とキャラとの距離が生まれて上手く感情移入ができなくなってしまう。まぁそんな中でも、受験生らしい悩みはよく分かるし、プレッシャーや周りの環境の描き方は上手いと思った
こんな感じで、キャラの印象がよく変わっていく作品だった。特に龍二は途中かなり嫌いになった
途中までは基本的に龍二のキャラというものは他者(特に八虎目線)から客観的に見たキャラであったので表面化してこなかったけれど、一次試験退場した時に試験監を越えて、美大生 芸術家に対して毒を吐いた所でかなり嫌いになり、そこからは自分が1番の被害者だと決めつけて他人に当たり、勝手に絶望したりしてるのは、もちろん外的要因もあるのは重々承知してるけれど、結局は"自分自身の問題"なんだから、自分が正面から向き合わず、親のせいや、おばあちゃんの期待がある等の逃げ道に逃げているのは悪いと思う
それでも、水に飛び込んだ八虎を通して、家を出て自分も変わっていこうと思ったといって終わったから、最終的には嫌いではなくなったかな
自分の事をちゃんと自分から語ってくれて良かった。それをヌードを描きながら語るという構図もかなり凄いと思った
この作品は"受験物"と安易にカテゴライズすると、某東大受験作品と並べられてしまうので、受験を通した人間ドラマと言った方がいいかな
キャラ達が言ってる事ってある種"当たり前"なんだけれど、受験という試練に当たって自分を見つめ直した結果、その"案外気付かない当たり前"に気付けるというスポ根物や人間ドラマでは王道展開を、この作品も受験 芸術という題材にしっかり沿ってしっかりとやっていて良いし、それを言語化して漫画として成り立たせている作者も凄い
それがストレートにラストの二次試験で生かされていて、キャラの成長も感じられるし、見ていて気持ちが良い
とても良い作品だと純粋に思った