ウ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
働き始めてから見直すとまた良い
最も好きなアニメの一つです。
恋愛・友情・挫折と努力…と色々な要素がありますが、このアニメの本題は己の生き方に向き合うことだと感じています。
このアニメは今までに三周見ています。自分の生活環境や内面が変わると、また新たなことに気付かされてくれる作品だと思います。大学生の頃はじめて見たときは、単純にストーリーの面白さに魅かれました。大学院生になり就職や論文などの不安を沢山抱えていた頃に見たときは、常に前向きかつひたむきな喜翠荘の人々の姿に元気を貰いました。そして就職してから数年経って見たときに感じたのが冒頭の感想です。
主人公の緒花はかなり奇抜な性格であり、独特の価値観と強い行動力で問題に取り組もうとします。私が学生の頃にこの作品を見たときは、少し変わった人物である緒花が周囲との軋轢を解消しながら喜翠荘の繁栄を目指す物語だと捉えました。しかし、改めて見てみるとむしろ視点は180度逆向きで、緒花が周囲の影響を受けながらとことん自分と向き合い、自分のあり方を模索する物語だと捉えるようになりました。その発露のひとつが「ぼんぼる」であり、喜翠荘の顛末も、こうちゃんとの関係も、緒花の物語の背景のひとつとしての機能なのだと感じました。
この作品は"朝ドラ的"だと評されることもあるようですが、主人公の生き方にフォーカスした物語の手法として近い部分もあるかも知れません。しかし、キャラクターの内面により踏み込んだ描写であったり、(物語内での)現実とキャラクターの空想が入り混じるような表現であったりと、アニメーションならではの魅力を存分に活かした作品になっていると思います。
最後に自分の話になってしまいますが、就職して数年経ち、一通りのことが自分でできるようになってくると、仕事に忙殺される中で次に目指すべき道やありたき姿がぼやけてきてしまうときがあります。そんなときに改めて見かえすことで、自分に向き合い続けることの尊さを再認識させてくれた作品でした。以前に一度ご覧になったことがある方にも改めて見直すことをオススメしたい作品です。