ウェスタンガール さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
テーン、トン、シャン
先ずは『この音とまれ!』というネーミングの妙についてである。
コロリンシャン、唱歌(しょうが)である。
三味線なら、口三味線(くちじゃみせん)と言われるもので、調子・音色をまねて伝える術。
転じて、口先で人をだますこと等と、余り良い意味では使われない訳だが…。
平安の世、朝廷の庇護の元に生まれた、琵琶法師に代表される盲目の奏者にとってはまさに楽譜、師匠から弟子へと大切に口伝されてきたものに違いない。
何より、大和言葉を表音文字に落とし込んだ仮名文字である“ひらがな”や“カタカナ”にとっては、一音一音が大切であり、リズムを刻む単位となるわけだ。
別のアニメ、『平家物語』を観ながら感じたのだが、
平安時代の流行歌とでも言うべき「今様歌」が、邦楽の原点であるとするなら、その一音一音から伝わる響きは言葉そのものであり、魂を震わすものとなるのは必然と言えよう。
そんな訳で、『この音とまれ!』と言う題名は当を得たものであり、そこに美しき日本語の響きを感じるのである。
そして、これは何とも清々しい作品なのだ。
出自も様々に、テンプレで愛すべき登場人物それぞれが、“この音”に惹きつけられ、止まり、絡め取られていく様が痛快なのだ。
純粋にして熱く想いをぶつけ合う展開と、箏曲の奥深さを同時に味わうことができる構成が素晴らしいのである。
例えて言うなら、『あひるの空』と『ちはやふる』^ ^。