テングタケ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
せんそうはよくないなあとおもいました。
昭和っぽい熱血少年が主人公のジュブナイルアニメかと思ったら、拷問・少女強姦・虐殺・略奪・誘拐・暴君・仲間割れと、戦争の狂気を描き放題でした。
2022年3月、今まさにロシアによる侵略戦争が行われている只中、平和ボケしている日本人には一見の価値がある作品ではないでしょうか。
主人公は無鉄砲な直情径行型なので、少々その言動がウザいと思うことがあります。特にサラ絡みでは。まあ、物語を動かすにはこれぐらい真っ直ぐな行動力が必要だということでしょう。
ストーリーとは別に私が気に入ったのは、オープニングとエンディングです。
OPは、ちょっと暗めのラテンっぽいインストゥルメンタルで、暗さと明るさが同居したなんとも不思議な印象で本作に合っています。
そしてED。ヒーリング音楽のような音色をバックに、語りかけるような抑揚のない歌詞が乗っています。で、特筆すべきはその画面。何ということのないありふれた昭和の町並みが、夕暮れの淡い光りに包まれ、胸を締め付けるほどのノスタルジーを誘います。このEDだけで本作の評価がぐっと上がっている、と言っても過言ではないかも。正直、主人公がタイムスリップする意味はあまりないのですが、このEDがやりたかったということなのかも?
さて、本作の大きな欠点は、一つには敵のボスをあまりにも愚劣な小人物として描いてしまったこと。
視聴者に「こいつさえ殺せば全部OKじゃね?」と思わせてしまうのはいかがでしょうか。現実はそんなに単純ではないでしょう。ここまで重たいストーリーでありながら、敵ボスだけ戦隊物の悪の首領みたいでは、そこだけ子供向けで浮いてしまっています。
敵ボスが信念のある強いキャラだったら、本作の完成度ももっと上がったのでは。
もう一つ、結局最後は不思議な力を開放して敵軍を壊滅させてハッピーエンドですが、それでいいんでしょうか?主人公は不殺を主張しているのに、やっていることは核ミサイルで敵を殲滅するのと変わらないじゃないですか。自分の手を汚さなければOK?
ラピュタとかでも思いましたが、不思議な力を発動させてケリをつけるのは止めてもらえないでしょうか。デウス・エクス・マキナ?