シン☆ジ さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
諸行は無常。。盛者は必衰なり
世の万物は常に変わり永遠に変わらないものはない。
栄えるものはいつかは衰退してゆく。
今も昔も、東も西も、
人間はなんと、殺し合いを避けられぬ生き物なのでしょう。
その愚かさこそが普遍かと思えるのは皮肉なものです。
奢れる者は久しからず。。
某国の虐殺大統領に聞かせたい。
力で得たものは必ずどこかで歪みを産み、
安易に定着しないことは歴史が証明しているというのに。
さて・・
そんな想いに耽ってばかりもいられませんね。
作品に関して触れていきましょう。
で、ナゼに平家物語なのでしょうか。
同時期に某局大河ドラマで源氏の物語が放映されていることと無関係であるとは考えにくいですね。
誰かが源平の物語が注目されると考えたであろうことは、想像でしかないとは言え否定する方が無理があるように思えます。
そして、そこに山田監督を当てた。これは理解できる判断だったかと。
そして、そこに山田監督が応えた。これも納得できることかと。
いや、何よりも・・
山田監督が元気そうでよかった・・ホント。
(個人的な想いなので畳んどきましょう)
~{netabare}
けいおん!など数々の名作をこの世に送り出した山田監督。
さらに利府映画館の舞台挨拶でナマ山田を拝見した時から崇拝に近い対象となってしまいました。
その山田監督が、アノ放火事件後にどういう状態にあるのか、とても心配していましたが、本作品の監督ということを知り、そのPR動画を拝見し、お元気そうな姿を見て、本当に・・本当に安堵いたしました。
京アニを辞めたのかも思いましたが、京アニからもご本人からも発表なし。ということは、辞めてはいないのでしょう。
京アニで仕事をする以上、否応なしに事件を思い出すこともあるでしょうから、外の仕事で再起をして様子を見ているのでは、と勝手に思っています。もちろんその結果、京アニを出る選択も有り得るとは思います。どんな選択であれ私は山田監督に対し感謝し応援するのみです。。
{/netabare}~
■原作
鎌倉時代の軍記物語(作者不明)・・
これを元に現代語訳した同名作品が原作。
■制作
サイエンスSARU・・といえば
映像研~は面白かったですが
日本沈没2020は作画的に、う~ん・・でしたねぇ
山田監督の手掛ける作品にケチがつかないようにと願いましたが、
まあ、悪くはなかったかと。
■監督:山田尚子 シリーズ構成・脚本:吉田玲子
このコンビ。期待しかない。
そしてその期待に応えてくれました。
■感想
冒頭でも触れましたが、
第三次世界大戦すらも絵空事とは言えないような今、
この物語が世の中に浮上してきたことは何かを暗示しているのでは
とさえ思えてしまいます。
権力、栄華、差別、格差、憎しみ、戦争・・そして滅び。
これを伝える昔の日本の物語が、
今の日本の文化であるアニメという形で、
また人々に伝えられました。
何も知らず単体のアニメとしてだけ見れば、
無理のある展開のような気さえしますが、
これが史実に基づいた物語というのだから、
歴史というのはいかに無残で有り得ないような物語の繰り返しであることか。
もちろん伝承の過程で脚色などがあった可能性は否めませんが。
この作品は他のアニメ作品と単純に比べるのではなく、
メディアや形態を変えた日本の史記の伝承の一つとして
捉えた方がいいかもしれません。
とはいえ、手放しで褒めるのも違うかな・・
~{netabare}
・主人子ビワが唄うとき、字幕が欲しかったw
・キャラクター登場の際、名前を出して欲しかったw
・ちゃんと略奪シーンも描いたのは良かった
ほんの少しだけだったけど。。
・争いの悲哀が中心で暗めだったのは仕方ないとして、
キャラの顔がギャグ寄りでちょっと感情移入しづらかった
・物語に関係ない猫のエピソードを入れるところなんか、
人々の日常を思わせる効果も含めてさすが。
ただその猫が可愛くないのは残念。
まあ敢えての判断でしょうけど。
{/netabare}~
声優陣も蒼々たるメンバーでした。
悠木さんはハマリ役だったかと。
そして、はやみんの声が唯一と言えるほどの癒しでした。
さすがの監督と脚本のコンビだけあって
背景や表情や声や音などを組み合わせ、
アニメとしても見どころのある作品に仕上がっていたかと。
でもこれがもし京アニが手掛けた劇場版だったら・・
きっとクオリティーは違っていたでしょうね。
まあ観客数が見込めるかと言われれば疑問なので
これが最善の形だったとも思えます。
これがきっかけで、源氏物語とか枕草子とか、
もっと史記や伝記がアニメ化され、
バリエーションも増えてくれればいいなーと思える一作でした。