九会 さんの感想・評価
3.5
物語 : 2.5
作画 : 5.0
声優 : 2.5
音楽 : 5.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
歌と映像パワー、娯楽映画としては楽しめたが性癖は抑えて
アニメ映画作品で声優が本業じゃない芸能人の方を採用する理由と言えば話題作りというイメージですが、今作では歌がテーマの作品でシンガーソングライターの方が主演を演じられています。同じくマクロスやVivyなどの歌がテーマの作品ではキャラクターに歌が上手いという設定があり、その設定に納得付けを行うために(声優さんの歌が下手という訳ではなく餅は餅屋的な理由で)キャラクターとその歌唱を別々の方が演じられています。
その為作中の設定に忠実であると言えますが、どうしても「キャラクター」が歌っている感が薄れてしまうので、今作のように歌がテーマの作品においては本業の方が主演でも良さそうに感じました。映画館という薄暗く閉鎖的な空間だからこそ引き立つ力強い歌声と迫力ある映像で「キャラクター」の演技自体は「声優初挑戦」という感じでまぁという感じでしたが、それを差し引いてもお金を払ってみた価値はあったかなと。
一方でYOASOBIの幾多りらさんは話題作りで採用したと思うのですが、せっかく歌が本業の子で歌がテーマの作品なのにろくに歌わせて貰えないのは大人の事情ながら勿体ないなと思いました。
ストーリーはサマーウォーズでも描かれていたネットの仮想空間とリアルを描いている感じ。ただサマーウォーズと比べるとリアルの繋がりは少し薄いように感じました。ヒロインの生い立ちなども描かれていますが、家族ドラマというよりは青春の1ページ的な雰囲気をやる感じで少し薄味だっなかなと。それよりもどちらかと言うと傷の舐め合い要素が強くそっちがメインのお話だったのかなと思いました。また監督お得意の仮想空間での悪意も今作では描かれていてその辺は自分もこんなんになったら嫌だなぁ……と感じたので問題提起として良かったです。
個人的に1番気になった要素がタイトルにもある竜のアバターのデザインが竜というよりケモノケモノしている感じで爬虫類には見えず、もっと竜らしくして欲しかったなぁと……細田守監督の作品はどれも何かしら獣の要素がある作風ですが、この作品に関してはタイトルに竜と冠してるんだからしっかり竜をやってくれ!と性癖は抑えて欲しかったです。
総評としてはストーリー自体は正直めっちゃ面白い!という感じではありませんでしたが、歌と映像は間違いなく良かったので総合的には悪くない作品かなと。ただ映画という媒体だからこそ楽しめた作品で他媒体だと良かった要素が薄くなってしまうのでこれから見る人にはそこまでオススメ出来ない作品です。