たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
2199シリーズの中では一番の出来かも知れない
「宇宙戦艦ヤマト」という作品はなにより、戦後生まれの世代にとって非常に重要な作品であり、戦争の構図は第一次世界大戦と第二次世界大戦からの引用だし、旧作の1970年代と言えば、日米安保闘争が再び再熱した世代でもある。
従って、昔は古いSFのネタだった旧ソ連とアメリカの間の「第三次世界大戦」が今やロシアのプーチン大統領の手によって再び起こるかも知れないといった笑えない世界情勢が、なんと今回の「宇宙戦艦ヤマト2205」に重なり、90年代末期の「エヴァンゲリオン」のような時代的シンクロ二シティを醸し出している。
今回の2205によって、デスラー率いるガミラスとスターシャが永遠の女王として君臨するイスカンダルとの関係が明らかになり、双方が宇宙にとって重要な役割と血塗られた歴史の上に立つ悲劇の産物であることが明示された。
これは、19世紀に実際に植民地化と殺戮の歴史を行い、20世紀から21世紀になってまでも核の恐怖に怯えなければならない自業自得の人類そのものだといえる。
シリーズ構成の福井晴敏さんは別に世情を鑑みて脚本を描いたわけでは決してないだろうが、時に創作物というものは現実の予言をするようなものでもあるという証拠である。