STONE さんの感想・評価
3.8
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
色々ともったいない
企画段階から北米での配信が決まっており、スタッフにも向こうの人が名を連ねているなど、
当初から北米市場を意識した作品のようで、近世の海洋冒険ものという西洋的な基本
ストーリーに、侍という欧米が好きそうな日本的要素を加える、その侍の風貌やアクションは
これまた欧米が好きそうな忍者的なものであったりと、方向性は間違っていない感じ。
序盤は王道的冒険ものといった感じの展開、主役のフェナ・ハウトマンの可愛らしさや
コミカルさが魅力的で、かなり期待度は高かった。
このコミカルさという部分に関しては、処女であるフェナが娼館で客を取らされるという、
ともすれば重くなりがちな展開を緩和するのにも役立っていた感がある。
その後も面白そうな要素が次々と加味されていくが、終わってみると
「何を描きたかったんだろう?」という思いが。
エデンを巡る真相も終盤に向けてスケールを大きなものにしたかったのかもしれないが、
人的には「なんだかなあ⋯」という感が拭えない。
別に金銀財宝探しという即物的なものでなくても良いが、冒険ものゆえの宝探し的要素はもっと
欲しかったかな。
結局、やりたいことを色々と出してみたものの、それをうまく使いこなせないまま終わって
しまった印象。
使いこなせないと言えば、キャラやガジェットもそんな感じで、キャラに関しては主軸の
フェナと雪丸からして、思った以上にアベル・ブルーフィールドとヘレナ・ザルモワーズに尺を
取られて、影が薄くなってしまった印象。
フェナと雪丸に同行する紫檀らの一行もキャラの魅力に較べて、活躍度はいまいちといった
感じ。
そしてキャラの無駄遣いの最たるものがグレイス・オマリー率いるランブルローズで、本当に
勿体ない使い方。
序盤のサルマンとオットーの老人コンビなどもコミックリリーフかつバイプレイヤーとして
いい味を出しそうなのに序盤だけで終わってしまったし。
ガジェットに関しても、フェナ達の乗船するカツオ2号は潜水艦の特性があまり
活かされないまま。
海上封鎖された地域への海中からの侵入、海中で浮上できない危機的状況に陥るアクシデント、
通常の船との海上と海中の攻防戦など、やりようによってはいくらでも潜水艦の特性を活かした
面白い展開を作れそうなのだが。
アベルの乗船する船の炸裂弾なども、その凄まじい破壊力に「カツオ2号との戦いは
どうなるのだろう?」と思ったりもしたが、結局何もなし。
文句ばかり書いてしまったが、フェナとその一行、そしてキャラ同士のやり取りはかなり
魅力的だし、彼らが活躍するアクションシーンも楽しい。
終盤のフェナのエデンでのダンスシーンも素晴らしく、ここでの音楽は梶浦 由記らしさ
全開という感じ。
キャラ、基本設定などは良かったりするので、本当に勿体無い感じ。
2022/02/28
2024/05/26 加筆・修正