セシウス さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 1.5
状態:観終わった
バトルしない魔王と勇者の物語
原作ラノベは未読です。
剣と魔法のテンプレのような世界で、人間との戦いがイヤになった魔王が勇者を口説いて魔族と人間が共存する新しい世界をつくろうとするお話です。
魔王♀と勇者♂の恋愛モノでもありますが、比重は恋愛1:改革9以上で特に人間側の社会を改善しようとする描写がメインになっています。その過程は丁寧で、最初に農業改革で食料を増産し、教育の充実→流通経済の発展という流れがリアルで楽しめました。
一方で恋愛とキャラクター描写の方は雑でおざなりです。魔王がなぜ人間の勇者を好きになったのか、なぜ改革に勇者が必要だったのかなどの説明が乏しくて、勇者への執着が理解できず釈然としません。また登場人物たちの成長過程がほぼ省かれていおり、未熟だったはずのキャラが突然、群衆の前で演説をしたりプロ商人と重要なネゴをしたりとハイレベルな行動をするのでびっくりします。
声優さんたちはキャラによくあっていたと思います。特に多重人格キャラを演じわけた福圓さんは流石の演技だったと思います。
作画は普通です。バトルシーンがあまりないので目をひくようなシーンは少ないですが、安定はしていたと思いました。音楽はOP/EDとも良かったと思います。
剣と魔法の世界を舞台にした作品の中では、バトルと冒険のウエイトが軽くて変わったテイストの作品です。ただキャラが何考えてるのかわからなすぎるので感情移入はしにくいです。ファンタジー世界を産業や政治経済の視点で考察してみるのが好きな人は楽しめるのかもしれません