ハウトゥーバトル さんの感想・評価
3.9
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
僕の彼女は、弱い
この話は彼女に恋し続けた男子高校生の話
まぁふざけたタイトルですよね。
しかし内容はふざけてなどいないのです。決して。
基本的に恋愛と戦争を描いた作品。
「火垂るの墓」のような命の儚さと少女漫画のような恋愛模様がメインであり、正直この文章じゃ伝わらないと思います。
「戦争中の恋愛模様」というのが一つのメインテーマですので、苦しい方には苦しいかもしれません。
友人が簡単に死んだり、殺されたり、殺したり…そんな時代の中で二人の男女は何を思い、何を考え、何を目指したのか。それは明記されません。多少のナレーション(自分語り)はありますが、細かくまでは語られないため、細かいところは各自で補正しなければなりません。
これが本作の面白いポイントの一つであり、明記されないことで個人によって差が出てくると思います。もちろん個人的意見を出した上で本作を面白くないと評価する人もいるでしょうが、ワタシ的には満足の行く良作品だったと思っています
迫力には欠けます
戦争がメインですから、戦闘がメインじゃありません。ですので戦闘シーンや戦車駆動や空中機動を見たい方にとってはつまらない作品になるかもしれません。
しかし、この質感。どうしようもなく、現実的な感覚であり、現実的な感情です。救いはなく、ただただ人の弱さ脆さが前面に出てます。
故に、本作は割と鬱アニメと判定されるのですが、私的には「これは鬱なのかなぁ…」という感じ。
分類としてはちょっとしたファンタジーに入るでしょう。
人の体をした最終兵器(自己成長を続ける機械の体)、なんて現実世界にはありえませんし、{netabare}最後の超爆発だってどういう原理なんだか{/netabare}。
でも本作はそこらの実話ヒューマンドラマや歴史書よりも「現実」です。
そこに人が居て、殺されて。じゃあ自分はどうしたいんだ、と聞かれてもわからなくて。彼女が大切であり、彼女と離れたくないが、彼女を救いたい。
そんな葛藤が顕著に出ている。素晴らしい作品です。
その表現方法も言葉ではなく、事象と描写からの予想である点も素晴らしい。
{netabare}
同級生(ちせ)から告白を受けた主人公(シュウジ)は彼女が人の体ではないことを知る。だが、さも当たり前のような態度を取って見せる。シュウジは昔の初恋(ふゆみ)と再会し関係を持ちそうになるがすんでのところで回避。しかしちせと主人公は別れる。色々あって復縁気味。だが、ふゆみの旦那(テツ)はちせと何度も面識がありこちらも関係を持ちそうになるが回避。一方地震によって瀕死となった友人(アケミ)に「ずっと前から好きでした」と告白される主人公。アケミ死亡。完全復縁。土下座して後夜祭を実行する。二人で逃避行。自殺失敗。自我を無くした最終兵器と再会し自我を取り戻させた。最後の戦闘の時、ちせにより地球滅亡。概念化した心象風景の中で主人公とちせは永遠を知った。
て感じですかね。
まぁ正直概要だけみても良く分からないと思い出せないと思いますが、あの質感はたまりませんでしたね。
個人的にはアケミのラストがかなり好きです。あっけなく死んでいく人の象徴でありながら、死の身近さを描写のみで伝えられるあたり、ものすごく優秀なシーンです。これで全人類が生き残ったら私は迷わず批判しましたが、まぁ全人類死んだので賞賛してます。
アケミのブランコのシーンも好きです
{/netabare}
監督は加瀬充子さん。初監督だそう
シリーズ構成は江良至さん。初脚本だそう
キャラデザは香川久さん。七人のナナの方ですね
劇伴は見良津健雄さん。
アニメ制作はGonzoAnimationさん。Hellsingの所ですね
作画は特徴的でしたが、慣れればなんとかなります。が、慣れるまでに話の面白さがわかれば良いのですが、後半から面白くなってくるので、そこら辺が難しいところ。
さて。
時代が変わっても、時が変わっても、状況が変わっても、変わらないものって何だろう
という中二病のセリフで締めます