Tokusa さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.0
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 2.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
もったいない作品
よくもまぁこんな企画が通ったものだと感心した。全体的に設定をあれこれ詰め込みすぎ、広い世界の部分を切り取って描写していることは理解できるが特に前半部はシーンの切り替わり、人物の動きが唐突で視聴者に付いてきてもらう気が皆無に見える。感覚的には、山盛りの皿を出されて食べ終わる前に下げられ、次の皿が出てくる繰り返し、満腹にはなるが満足感は得られない。同じ夏目監督のブギーポップ2019でもそうだったが、話数ごとのクオリティが極端に違う。比較的線の少ない絵なら作画の乱れがごまかせるかと言えば大間違いで、シンプルな絵こそ崩れてしまうと見るに堪えない。
ずいぶんな酷評をしたが、作品中盤からテンションが上がってくる。第8話「笑い犬」は一つの話としてとてもまとまりがよくできている。10話以降は終わりに向けてはっきりと方向性が定まってストーリーの流れが良くなり、コンテや作画の質も各段に良くなる。長良と瑞穂が走るシーンが素晴らしい、この勢いを最初から見せてもらいたかった。異世界転送物としては珍しく、戻った後の話がきちんと描かれ単なるハッピーエンドに終わらない。ボーイミーツガールの定石を崩した結末もたまには悪くない。個人的な好みが問題かもしれないが、メインヒロインであるはずの希が周りの皆とは違う個性キャラのつもりでデザインしたかったのだろうが没個性的で好感をもてず、長良に感情移入できなかった。自分なら瑞穂一択! 声もいい! 犬もネコもプリティ!!
冗長すぎる超能力謎解き話はバッサリ切って、2時間の映画もしくは6話アニメぐらいの長さにまとめれば良作になり得たのではないか。つくづくもったいない作品だと思う。