ウェスタンガール さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
フランケンシュタイン症候群
今は昔、家族団らんのお楽しみであった○曜洋画劇場。
放送倫理もゆるゆるであったその当時、数多くの恐怖映画が子供心にトラウマを植え付けた。
ミイラ男、半魚人、フランケンシュタイン等々。
顔を覆う指の隙間から見る、走査線いっぱいの白黒画面。
緊迫の場面になると、決まって「ぐわっ!」と脅し声を上げるクソ親父のお陰もあって、私は今も怖がりである。
テレビドラマだって負けてはいない。
今見れば陳腐な作品かもしれないが、アウターリミッツなど怖くて見れなかった覚えがある。
そんな時代の要請もあってか、漫画の世界でも、「おそ松くん」に代表される『ギャグ漫画』と肩を並べ、いわゆる『恐怖漫画』というジャンルが一世を風靡した。
中でも、心に潜む恐ろしい部分を見せつけたという意味で、“楳図かずお”、“手塚治虫”と並んで、“ジョージ秋山”の作品が、昭和世代の子供たちに刻み付けた爪痕を消し去ることは出来ない。
これは、人間によって創造された怪物が、自我に目覚め嘆き苦しむ姿を描いたメアリー・シェリーの古典的名作『フランケンシュタイン』を、極限下での親と子の関係に落とし込み、否応なく生み出された怪物『アシュラ』の生きざまを通して、粗削りなストーリーと醜悪なタッチで迫ってくる怪作である。
土足で人の家に上り込み、無理矢理口の中に汚い手を突っ込まれるような胸糞の悪さの中、何を感じ取るかは人それぞれ…。
「ナムアミ…、ダブチュ」、涙が出たのである。