九会 さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
バトルシーンは圧巻。ストーリーはとっつき辛めでファン向け。
※Fateアニメおおよそ履修済み、FGOプレイ経験有り
利用してる配信サービスにやっと追加されたので視聴しました。
マスターと契約した7騎の英霊達が願いを叶える聖杯を賭けて争う聖杯戦争の規模を拡大し、7VS7で争う事となった聖杯大戦が描かれる本作。Fate作品の殆どがバトルロイヤルものであり、英霊達の戦いに重きが置かれています。この作品は多少崩れる部分もありますが、勢いがあり、かつよく動く為、戦闘シーンとして見応えのあるものでバトルアニメとしてよく出来ているなと思います。
しかしながらキャラクターを増やした弊害か、マスターは黒陣営が魔術師一族総出に対して赤陣営はシロウ・コトミネと時計塔に依頼されて参戦した死霊魔術師の獅子劫以外はモブです。5人のマスターをモブにしてしまったため、従来のFate作品の醍醐味であるマスターとサーヴァントの関係を赤陣営では5個ばっさり切ってしまった事になります。この辺りは賛否両論あるところですが、さすがにキャラが多いので仕方がなかったのかなぁと思いました。その代わりにサーヴァント同士の関係を多めに描いていたと思います。ケイローンとアキレウスは師弟関係ですが、葛藤はありつつも自分の願いを掛けてたとえ師匠・弟子であろうとも戦うというのは、人間らしさを残しつつもサーヴァントらしい考え方をして面白いなと思いました。
一方で扱いが悪いキャラも多く、自害・自爆、レイドボス化、味方が原因での脱落者など当初の7VS7のコンセプトはどこいったんだ!とツッコミたくなるようなグチャグチャ具合で、このサイトで見たサーヴァントが団体行動できる訳ないよな!という意見に同意したくなるようなものでした。
またユクドレミアの長で今回の聖杯大戦の発起人たるダーニックが中盤で雑に処分されたのも気になりました。ルーマニア縁のサーヴァントであるヴラド三世を召喚し、知名度補正を上げて強化して戦うというのは面白い試みだと思いましたが、中盤でルーマニアの大地から離れた後、俺とお前で超融合!でレイドボス化したのはまとめてこの2キャラを処分したいという脚本の都合を感じ、 同じく魔術師一族の長で生き汚かった間桐臓硯と比べるとやや早い退場だったかなと思いました。
ここまで気になった点をつらつらと書いていますが、獅子劫とモードレッドの関係は仲の良い父親と娘の関係を見ているようでとても良く、叛逆の騎士として有名な彼女としっかり築いていたのは良かったと思います。父親と一緒に居たかっただけの娘(息子)と娘と一緒に居たかっただけだった父という対比も素晴らしく、なんならこの2人が主人公でも良かったなと思いました。
ファン目線としてはロードエルメロイⅡ世の事件簿やFGOに登場するキャラが多数登場しており、その掘り下げという意味では満足しています。
総評して扱いが雑なキャラもおり、やや説明不足な部分もあるため、ファン向けの作品ですが、戦闘シーンはよく動く為バトル物としてはファン以外の方でも楽しむことが出来ると思います。