薄雪草 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
自浄する知能。
生み出されたままに、自己発揚しようとするAIたち。
存在している価値を、自己完結しようとするAIたち。
超高度人工知能のバッジを得ながら、旧態依然と戦うAIたち。
魂もなく創り出されて、希求するものは何か。
モノが人の知能を超えたとき、ヒトは物の声をどう聞くのか。
期待される目的と、導くべき解とを訴求する "人機一体の旅" が始まる。
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レイシアは、AIは人間のためにあるものと信じている。
人類が、進歩向上発展していくプロセスをサポートするツールだと信じている。
だから、アラトにも同じように問いかける。
信じるとは、徹底的に良知に立つことだ。
八方美人でもなく、頑固一徹でもない。
裏切られるでもなく、騙すということでもない。
明るい未来を信じて、縦横自在に手を繋ぎ合うことだ。
誤解が生じることを前提として、人の幸せを祈ることだ。
そのために有限の良知良能を、無限に尽くすこと。
それがhIEの使命だとレイシアは信じている。
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レイシアは、その造形に反して、感情を見せない造詣だ。
ボーイミーツガールのパターンに外れているかもしれないけれど、
むしろ私は、安直でなく、実際そうなのだろうと思う。
超高度AIともなれば、人間の感情の扱いなど "ちょろいもの" のはずだが、
しかし、そう思わせないところも、レイシアのなせる技なのだ。
アラトは振り回されたが、一歩引いての視聴からはどう見えただろう。
知性のスピンオフも、念入りな試算と、多様な解法が必要な時代なのだ。
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超高度AIは、超高度AIをコントロールできる。
それが、人間とAIとのスピンオフを担保するもの。
レイシアの解が、そこにあった。
0か1のような単相ではない。
50対50のイーブンなどでもない。
49対51のアレンジメントなのだ。
その1%の選択肢こそ、人間に委ねられた責任。
未来へであり、文化にであり、ただ今に生きる人たる責任なのだ。
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自浄する知能。
それこそが、人類に必須のメンタルプロセス。
唯一の、生存への "内的な契約" なのだ。
BEATLESS.
それはレイシアからの視点。
打ち負かすことでは決してないのだ。