螺旋常連からくり剣豪 さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
8話以外は秀作
ラブライブシリーズの最新作です。
ラブライブの邪道をあえて往き、枠組みに囚われず成功を収めた虹ヶ咲とは違い、こちらは無印、サンシャインに倣った展開。
それらとの相違点はキャラクターを五人に絞った上で、全員一年生というところ。今までの作品では悪い点にもなり得ていたキャラクターの多さをある程度解消しており(もちろんキャラの多さは和気藹々とした雰囲気作りを手助けしていたので欠点とは言い切れない。現にキャラの濃さや心理の濃密な描写でキャラ描写自体はいずれのシリーズもしっかりできていた)、キャラクターたちが混線して人物描写が複雑になりやすいラブライブシリーズの中でも比較的分かりやすい部類になっています。
また、無印の描写を踏襲している部分があり、ファンは必見だと思います。
2021年の作品だけあり、作画や背景は丁寧、ライブシーンもかなり良いです。過去作品からの技術面でのブラッシュアップを感じました。
曲もアイドルものらしくかなり良く、こちらも文句無し。グッと来たのは10話の平安名のやつですね。
一方で、問題点は8話のツッコミどころ満載な内容ですね。
{netabare}葉月恋がスクールアイドルを良く思っていない理由が明かされたのですが、そこのロジックが破綻しています。
亡くなった葉月母のスクールアイドル部での活動記録が見つからず、これを根拠に母はスクールアイドルをやったことを後悔していると恋は考えていました。ここまでは合点がいきます。ですがラスト近くの恋の回想で母親は恋に廃校は防げなかったがスクールアイドルをやって良かったという趣旨のセリフを言っていました。
母親からの話を聞いていて恋がこんな考えに至るのは彼女がそのセリフを忘れてもいない限りあり得ないです。また、恋は母を敬愛しており、聞いていなかったり聞き流しているとはこのことから考え難い。
鍵の伏線回収もやや雑。かのんたちは文化祭の問題以前にスクールアイドルの資料がある部屋に足を踏み入れていたことがセリフで語られています(おそらく部の結成当初?)。その部屋においてあんな分かりやすいところにある箱に四人もいて誰も気づかないのは無理筋。これはまあ制作のミスという可能性はありますが。 {/netabare}
8話はこれらの詰めの甘さからやや微妙でしたが、作品全体で言えばそれらの問題点を吹き飛ばすだけのパワーは感じました。