蒼い✨️ さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
京アニビフォーアフター。
【概要】
アニメーション制作:京都アニメーション
2003年8月 - 11月に放映された全12話のTVアニメ。
原作は、賀東招二による富士見ファンタジア文庫 (KADOKAWA) レーベルの小説。
監督は、武本康弘。
【あらすじ】
世間には非公表ではあるが、いかなる国家にも属さず、
世界の平和維持を目的として、突出した軍事技術と精鋭部隊によって、
世界中のあらゆる紛争に介入して火種を消して回るする対テロ極秘傭兵組織ミスリル。
本来は人類が知るべくもないブラックテクノロジーと呼ばれる、
科学理論や技術の知識を人類にもたらす、地球上で数人しかいない特殊能力者の一人、
女子高生の千鳥かなめを各国諜報機関から守るためにミスリルから派遣された、
ボディーガードの相良宗介は戦場以外の生き方を知らない、
非常識で危険な男だった。
今シリーズでは、宗介やかなめらが通う都立陣代高校を舞台とした、
ハチャメチャな学園コメディが綴られている。
【感想】
京都アニメーション初の元請制作のテレビアニメとして当時好評だったコメディ作品。
監督の武本康弘さんは、先立ってOVAの『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』
の初期の監督を務めたこともあり、ギャグアニメに強いという理由での人選かな。
賀東招二さんの原作ありきでもありますが、2010年代の京アニ作品に標準装備されている、
登場人物の感情が視聴者に攻め寄せてくるような繊細な芝居がまだ実装されていなく、
ヒロインのかなめが大声で怒鳴り散らしたり殴ったり蹴ったり、
宗介のボケにかなめのハリセンでのツッコミがお約束であったりと、全体的に芝居が大味ですね。
ドタバタとした学園コメディが『うる星やつら』のアニメに部分的に似ていたり、
『らんま1/2』に登場しても違和感のない特徴や口調の格闘キャラクターがいたりで、
どうやったらアニメファンに受け入れられて笑ってもらえるか?
過去のヒットアニメを参考に研究と試行錯誤をした面白おかしく賑やかなアニメになってますね。
当時の作品としてはこれはこれで面白かったのでしょうけど、
個人的にはヒットして笑い転げるエピソードは多くはなかったかも。
1話目の後半エピソードとかピンポイントに面白かった話は所々にありますけどね。
京アニは後にキャラクターの突拍子もない行動で笑いを取るというやりかたを捨てていて、
繊細な芝居でキャラクターに親しみやすい愛らしさを持たせて、
キャラ同士のコミュニケーションで視聴者がほっこりする系の話にシフトしていて、
昔の深夜アニメにありがちだった、非常識なキャラクターの非常識な行動で笑いを取ったり、
女性キャラの下着や男性向けの上目遣いなどの媚びたサービスシーンで釣るとかいったスタイルが、
このアニメで使われているのですが、それらの趣向がガサツに見えて自分には合わないのですよね。
のちの同じ原作者と監督による『甘城ブリリアントパーク』では、
作画の表現力のアップデートの成果か、可愛さとエッチさが段違いに良かったですけどね。
とはいえ、木上益治さんによる絵コンテ・演出・作監のラグビー回の第7話など、
各話のキャラクターのダイナミックな動きの良さではさすがと思えるモノがあり、
当時の深夜アニメとしては優れたものだったのでしょうね。
あと、気になった部分として某演出家による第2話の前半パートの表情と動きが異様に汚くて、
2003年であることを考慮しても演出が妙に古ぼけた昭和臭がしていたり、
躍動感のある後半パートの演出が前半パートとは同一人物の仕事とは思えない別物であったりで、
クレジットとは別に後半パートのコンテや演出を代行した人物がいるのではないか?と思いましたね。
その演出家は業界から無視されていて、今もなお京アニに上から目線の謎の思考の人物なのですが、
このアニメでは出来ていたことが、会社から独立後は一切出来ずに「全部正面」と言われたりで、
どれだけ当時の京アニのスタッフに介護されていて、それが自分の実力と勘違いしてきたのかと、
アニメ業界でも珍しいものを見てしまいましたね。
なお、シリーズ次回作のTSRではキャラデザや作画に調整が入ってシリアス寄りになっていますので、
クリエイターのカラーに染めるよりも作品の世界観を最重視して作風や演出を合わせるという、
会社の姿勢は今も昔も一貫して同じに見えました。
と言ったふうに過去にはこんな作品もあったという歴史を知るのも面白いですね。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。