でこぽん さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
二組の兄妹愛に感動します
この物語は最初の方こそ面白くありませんが、終盤は二組の兄妹愛にとても感動します。
この物語には二組の兄妹が登場します。
一組は主人公である炭治郎(たんじろう)と妹の禰󠄀豆子(ねずこ)。
もう一組は上弦の鬼の妓夫太郎(ぎゅうたろう)と妹の堕姫(だき)
炭治郎は鬼殺隊の隊員であり鬼を殺すことを生業としていますが、妹の禰󠄀豆子は鬼になった少女。
二人は相反していますが、ともに助け合って生きています。
そしてもう一組の妓夫太郎は数多くの鬼殺隊隊員を殺してきた鬼であり、母子感染した先天梅毒の影響で姿かたちが大変醜く、人間だった頃から多くの人に忌み嫌われてきました。
逆に妹の堕姫は母の容姿を受け継いだ美女であり、遊郭の花魁(おいらん)として高級遊女の称号を与えられていました。
この二人も相反していますが、人間の頃から引き続き、お互いに鬼になっても助け合って生きています。
この二組は立場こそ全く違いますが、お互いに通じるものが一つあります。
それは、兄は妹を誰よりも愛しており、妹も兄を誰よりも慕っていました。
それぞれ、強い絆で結ばれています。
だから、何度生まれ変わっても、妹は兄の妹として生まれたいと願っていますし、兄の方も、何度生まれ変わっても、可愛い妹の兄でいようと願っています。
鬼の凶暴性を抑えられなくなった禰󠄀豆子を炭治郎が必死に抑えながら子守唄を歌ったとき、禰󠄀豆子は思わず大声で泣き出してしまいます。
おそらく禰󠄀豆子は、子守唄で母親との楽しい思い出を思い出したのでしょう。でも、母親は鬼に食べられた。しかも自分は今、鬼になり人を食べようとしている。自分がとんでもないことをしようとしているのに気づき、嘆き悲しんだのではないでしょうか。
でも、炭治郎が禰󠄀豆子を守ってくれる。禰󠄀豆子が過ちを犯そうとしても炭治郎が命を懸けて諫めてくれる。だから禰󠄀豆子は安心して深い眠りにつくことができたのだと思います。
最終回で炭治郎が妓夫太郎と堕姫の口論を諫めたとき、おそらく炭治郎は自分達兄妹の状況と被ったのでしょう。
たった一人しかいない肉親。お互いに今まで助け合ってきた二人。たとえ立場が違っても、その苦渋の人生は炭治郎にも痛いほど理解できたのでしょう。
そして、妓夫太郎と妹の堕姫が暗闇に覆われた際に妓夫太郎が「自分は闇の方へ行くが、おまえは光のさす方へ向かえ」と告げたとき…
おそらく妓夫太郎は全ての罪を自分一人が被り、妹には幸せになってほしいと願ったのでしょう。
しかし…、{netabare} 妹の堕姫は、兄と一緒の方向へ進む。兄と今後もずっと一緒にいることを選びます。それがたとえ地獄であったとしても。{/netabare}
二人とも兄妹として生まれ変わってほしい。そして今度こそは幸せになってほしい…と、願わずにはいられませんでした。