まぁく さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
恋愛では無く信頼の物語
超高度AIが人間社会に浸透しきった近未来
人間の知性を遥かに上回るAIが人類未踏の技術を用いて作られた5体の少女型hIEが、謎の施設から脱走した
その中の1体であるレイシアとラノベ的な運命で出会った主人公アラトは「やっべぇ、超可愛い!」とチョロくも篭絡され、「私を信じて、オーナーになってください!」という口車に乗せられ、ホイホイと契約を結んでしまうのだが…
…というのが雑な煽りです
キャッチ先でオススメされていたので視聴
私の通常採点基準だと
物語 4.5 ★★★★
作画 3.5 ★★★
声優 3.0 ★★★
音楽 4.0 ★★★★
キャラ4.5 ★★★★
くらいなのですが、個人的にツボだったので0.5づつ下駄履かせてます
リアタイでは3回万策尽きたらしく、その影響からか評価はイマイチのようですが、クオリティは一定水準を維持できています
全24話ということで視聴にエネルギーを使いますが、腰を据えて半日潰す価値はあります
さて、本作は切り口の異なる複数のテーマが混在しています
・AI少女と少年のボーイミーツガール
・高度に自動化された世界に依存する社会への警鐘
・複数の対立構造を持つ組織間の権謀術策
・ロボ娘無双カッコイイ!
と、ざっくりと切り分けるとこんな感じです
この辺が好物の方は是非ご覧いただきたいのですが、ご視聴に際しては注意点があります
本作はハイコンテクストなSF作品です
素養が無いと初手から置いて行かれます
テーマ的には恋愛話なのですが、男性目線な要素が強いです
女性向けとしては多分オススメできません(でもオススメです!)
情報量や設定が非常に濃い作品です
脳死で観るには重いので、それなりの気構えでご覧ください
前半と後半で展開の速度感が全く違います
序盤はかったるいかも知れませんが仕込み場でもあるので流さず見てください
以上、お含みおきの上どうぞ
{netabare}
本作の見どころ
◆レイシアの演技
彼女の表情描写は額面通りには受け取れない場面が多いです
序盤はなんかファッションモデルとかで盛り上がるので呆気にとられましたが、感情面の伏線としてはかなり恐ろしい仕込みです
レイシアの笑顔が信じられなくなって来てからが本番です
残念な妹は、安心感を得るために必要な道化役なので、ちゃんと愛でてあげましょう
◆レイシアの力
「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」という勢いで万能ですが、能力の行使に当たっては、色々な制約や裏設定が伺えます
兵器面ではちょっと高度過ぎて魔法掛かってますが、情報操作やハッキングに関しては中々良い映像化だと感じました
本作の作画に関してはあまりリッチな作りではないですが、恐らくコンテ上では結構凝ったアクションが想定されているように感じます
作画面ではもうヒトオシあればと悔やまれます
◆レイシアの心
人工知能にとっての心とはなんでしょう?
「機械に魂は宿るのか?」というのは命題として良く使われるテーマですが、本作では表面的にはこれを否定していると解釈しています
笑顔も好意も、あくまで対人関係で良好な結果を出すための手段であり、昨今の将棋AIの文脈で言えば「評価値」を最大にするための技術です
囚人のジレンマにおいて、互いを信じ続ければ最適な結果が得られますが、自分だけが利を得ようとすれば、ゲームは混沌と化します
レイシアは「人を信じるAI」であり「人に信じてもらえるAI」という理想戦略の実現のため持てる能力をつぎ込みます
…近い未来、彼女の理想に続くモノは現れるのでしょうか?
ソレは彼女と同じ心意気は持っていても、彼女のコピーであってはいけないと思うのですが、ヒギンズはどんな未来を演算していたのでしょうか?
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レイシアをメインでオススメしましたが、脇役連中もかなり良いです
原作は未読なんですが、機会があれば読んでみたいものです
{/netabare}