横比較無用ノ介 さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
古典を今様に昇華させた力作
「昇るべき たよりなき身は 木の下に 椎を拾ひて 世をわたるかな」
第5話に登場した源頼政が読んだ和歌。
椎が四位の掛詞で、婉曲に地位を上げて欲しいと願った内容になっている。
本心を明け透けに語らず、掛詞や比喩で表現していた時代のお話。
原作をそのままアニメ化しても、ごく一部の人にしか伝わらないだろう。
そこで、びわの必要性が出てくる。
びわは物語に影響を及ぼさない、だが皆、彼女の前では本音を語る。
数百年前の物語が、彼女の存在で身近なものに感じられる。
また、色使いも絶妙。作画と共に、古さと新しさを同時に感じさせる映像になっている。
難解な古典を、優れたアイディアと技術で、親しみやすいアニメにしている。
素晴らしい仕事ぶりである。
原作も製作者の意気込みも違う。
同じアニメとは言え、量産型ラノベアニメと同列で語るのは憚られますね。
蛇足
下関の人たちは、義経のことは快く思っておらず、平家を慕っているそう。
わずか満6歳にして崩御された安德天皇を祀って建立された赤間神宮。
旅立たれたであろう竜宮城を模して造られたと言われています。
この地で平家物語を語っていた盲目の琵琶法師の話が「耳なし芳一」。
芳一の像も赤間神宮に祭られているそうです。
最近、日本の怪談見なくなりましたね。