まぁく さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ロボットモノを装った青春群像劇@非日常
SSSS.GRIDMANの後継作となります
作画やメカといった作品の品質面では前作同様高水準ですが、テーマ面では異なる方向に舵が切られました
熱血を期待すると肩透かしを食らいます
お勧めポイント
◆メカと怪獣と3DCG
前作同様、CG方面は素晴らしい完成度です
今作では正統派怪獣より、形状や能力が不思議なヤツらが多く一ひねりあります
◆日常のキャラクターとそのお芝居
作画は高水準で安定しており、特にキャラクターの表情や演技が素晴らしいです
また日常シーンの情報量が多く好感触です
前作もそうでしたが、クラスの雰囲気や友達との距離感、家族との関係性が丁寧に描写され、主人公たちの心理描写に彩を添えています
セリフにもメリハリが効いており、ボケ・ツッコミ・間の取り方にセンスを感じます
◆カットや構図、風景描写
恐らくは都内(荒川沿い?)だと思うのですが、バリエーションが豊富で、かなりエモい風景や構図がバンバン出てきます
小物やプロップにもこだわりが感じられ、メタファーとしても上手く活用されており見ていて飽きません
カット割りも凝ったものが多く、とてもモダンな印象を受けました
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違和感を覚えた点
◆リアリティ
「怪獣出てるのにリアリティって何だよ!(笑)」と思われるかもしれませんがちょっと待ってください
これは、フィクション、あるいはSF表現における嘘を受け入れた上で、その前提に沿ったリアリティが有るか無いか?という話です
例えば前作では一般人には怪獣が見えないため、社会的な不安は無いまま話が進みますが、今作では現実に認識され社会問題化しています
戦闘シーンではあれだけの規模で街をバンバン壊しまくっているので、死傷者は数千人、あるいは数万人規模でもおかしくはありませんが、TV報道などでは対岸の火事のような表現です
本作では作品世界の日常風景がとても丁寧に描かれています
だからこそ、現実に起こりそうな混乱が無い事が、私の中で強烈な違和感として残ってしまいました
いっそコメディとして表現してくれれば受け入れることができたのですが、日常パートでは不登校やイジメを匂わせる表現等、割とナイーブな題材を扱います
制作陣は意図的にパニック表現をしたく無かったのかもしれませんが、私としては首をかしげざるを得ませんでした
◆キャラクターの行動原理
上記のリアリティに通ずる話なのですが、キャラクターの行動原理に違和感を感じました
雑に言い切ってしまうと、皆さん気まぐれ過ぎなんですよ…
特に怪獣陣営!
あんたら悪役としての誇りは無いのかと?
もちろんその辺のギャップを楽しめたのは確かですが、作品全体としての位置づけが迷走したまま物語が終わってしまった印象です
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制作陣的には視聴者に色々考えて欲しかったのかとは思いますが、テーマの多彩さに対し、着地点の手がかりは余りにも狭すぎたように感じます
レビューとしてはネガティブ寄りな文章が多くなりましたが、作品自体は高品質で映像としてはとても素晴らしいものです