ウェスタンガール さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
映し鏡
人(ホモ)は、“知恵”を獲得し、独自の道筋で相手を認知する存在となった。
ホモサピエンス、“賢い人”の誕生である。
生き抜くための“群れ”が形成され、その中で、それぞれの意志を確認し合い、つながりを強固にするための“言葉”と“信仰”が生まれた。
民族が、国家が生まれた。
しかしそれは、厨二風に言うなら、自らに刻み付けたスティグマ、決して消し去ることのできない焼印であり、相手を奇異の“眼差し”を持って蔑み、差別の“言葉”を浴びせかけ、“こぶし”を振り上げる力の源となってしまう。
争い、結果として、相手に非を認めさせたとしても、勝者による差別や偏見、何より敗者の憎しみは、喪失という新たなスティグマを生み出す。
それは、彼らの眼に焼き付き、歯に刻まれ、掌に焼き付けられた“聖痕”となり、時空を超えて遍在し続け、憎しみ連鎖は消えることが無い。
相手もまた同じ思いの中で自分を見ている存在であり、“映し鏡”の自分であると認めることのできない業の深さを持って、人類の歴史から戦争の二文字が消えることは無いように思えてしまう。
高度限界は消失し、俺たちの戦いは続くのである。