セロリ さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
とにかく観てみてください
当方は中国語ネイティブでオリジナル版はすでに全話視聴済みです。中国語ネイティブと言っても本国生まれ育ちではなく、むしろ日本も含め外国にいた期間が断然長いです。アニメもここ10数年毎クール10数本観てます。なのでこの評価は贔屓などしておりません。
あまりにも過小評価されており我慢できずわざわざ垢まで作ってレビューを書くことにしました。低評価した人たちは泣かなかったのはまだしも、そもそも作品の絶妙な構成と巧妙に張られた伏線に気付いてないではないかと思います(特に3-5話)。
構成について
まず1-2話でダイブのルールを提示。どんなに些細なことでも過去に干渉すれば最悪な結果になりうるし、干渉しなければいい結果にもなりうる。そして3話(バスケ回ですが下手なスポ根作品より動いてる上にカメラワークもセンスあります)から物語を本格的に動かし、最終話まで毎回毎回クリフハンガーで終わる。現に自分は1期の最終話から2期待ちの拷問を毎日受けております。忘れないでいただきたいのはこれはwebアニメなのでオリジナル版はテレビアニメのように尺に囚われておりません。日本語版1話冒頭の説明と3話冒頭の回想もテレビの尺に合わせて足したもので、オリジナル版にはありません。逆にテレビの尺をオーバーした回はカットされますのでできればアマプラとかで配信版を観ていただくか円盤を買ってください。自分は買いますよ。
伏線について
{netabare} 1話のエマは本筋の伏線なのは言わずもがなですが、3-5話の依頼人チェンシャオは依頼前はよく見れば左手に結婚指輪しておらず、依頼後は既婚かつ子持ちになって前を向いて生きており、依頼前にトキに現像してもらった試合の写真も掛けてた眼鏡が徐々に消えてなくなってます(トキがダイブ中に相手に壊されたから)。もともと独身のチェンシャオが依頼できたのはそもそもトキが地震中にカメラを救ったから父がそれを見つけることができ、お墓参り中に彼に渡し、依頼用の写真ができ上がった。その写真でトキたちが依頼をこなし依頼人が結婚するいい方の未来に変わった。つまり過去と未来が影響しあって今となる。まさに神った脚本です。教えていただいた考察ですが感動しました。これらに気づいた方マジすごいです。気づかなかった方は見返してみてください。また、2008年5月12日に中国で何が起こったか調べてみたらさらに鳥肌が立つかもしれません。
補足ですが、チェンシャオはもともと独身なのに結婚に至るまでの記憶は??子供も突然ポンって出てきたのか??って最初は混乱しましたが、ダイブを解いてトキが戻ってきたのは依頼前の世界線ではなく言い残した言葉を伝えたことにより依頼人が吹っ切れて前を向いて新しい人生を生きていける別の世界線です。{/netabare}
音楽について
OPEDともに非常に中毒性があり、EDの入りのタイミングと不穏なイントロは毎回の引きに相性抜群。OP映像の作り込みようにも恐れ入りました。あの滑らかなフィンガータットは一体何枚描けばできるって毎回考えずにはいられません。あとこれは完全に中国語の分かる方にしか味わえない鳥肌ですが、ED原曲の13秒あたりに神経を全集中してよーーーーく聞くとヒカルに関する伏線が張られております。1期最終話を見てから聞き返してみてください。震えますよ……
トキのような規則を守らず暴走するバカキャラは好きじゃないって方へ
恐らくあなたはダイブの設定とトキというキャラを理解しきれてない、もしくはキャラの立場ではなく物事を第3者目線で見すぎてます。{netabare} トキは幼少の頃から両親が失踪しておりずっと一人です(失踪しただけで作中では死んだとは一言も言ってない。4話の回想はどこにいるか分からない両親を心配しただけ)。今でも両親がいつか戻ってくるのを信じて彼らが残した写真館で帰りを待っており、それほど両親に思い入れがあります。また、ダイブはただ体を乗っ取るわけではなくダイブ対象とは記憶を共有かつ精神的にリンクしてる上にトキ自身の感情も別として動くので、他人の両親であっても自分の気持ちも重なってしまい、行動せずにはいられなかったんです。3話もバスケはヒカルとの大事な出会いの思い出があり、もともとチェンシャオの中にある勝ちたいって気持ちと、チームメイトたちの必死な姿も目の当たりにし、それでも勝たせてあげたいって思わない人がいたらそれは人間ではなくただのロボットですよ。{/netabare}
思わず長文になってしまいました。この時点で日本語版は5話までしか放送されてませんのでここまでにしますが、この作品の見どころはもちろん他にもたくさんあります。これを読んで少しでもこの作品に興味を持っていただけた方はあれこれ悩まずとにかく観てみてください。そして共に拷問地獄で2期を待ちましょう。
追記(3-5話の依頼人チェンシャオの未来について):
{netabare} 彼が結婚する未来になったのはもしかしてトキの行動でキャプテンの妹が助かって一緒になったから?!と推測する方がいるようですがはっきり言って違います。彼女へのメッセージを思い出してください。チェンシャオは彼女に「早く都会へ、できれば今すぐ行って」って言ったんです。それができたら地震で死ぬことはなかったからです。彼女が生きてたら苦しい顔であの時の指切りをわざわざ思い出す必要もありません。それにヒカルの言うように生死という絶対的な分岐は変えてはいけないので全員死亡という結果は変わってません。だから依頼人の母も最終的には助からないようにトキを行動させたんです。再度言いますがチェンシャオの今は、言い残したことを伝えたことで過去を引きずることがなくなり新しい人生を歩んで別の人と結婚したからです。勘違いのないようお願いしますよ。{/netabare}
PS: 1期を観終えていないうちに絶対にネットで2期のPVを観ないで下さい。究極のネタバレが待ってます。観たら人生をやり直したいほど後悔する羽目になりますよ。フリじゃなくマジで言ってます。