「幼女戦記(TVアニメ動画)」

総合得点
93.9
感想・評価
2197
棚に入れた
10577
ランキング
10
★★★★☆ 3.9 (2197)
物語
3.9
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

エイ8 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 2.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

幼女である意義を見出せない

『幼女戦記』(ようじょせんき、英語: The Saga of Tanya the Evil)は、カルロ・ゼンによるライトノベル及び、その元となったオンライン小説。書籍版をベースに書籍付属のサウンドドラマ、漫画、アニメ、映画とメディアミックス展開が行われている。
第1期は2017年1月から3月までAT-Xほかにて放送された。(wikipedia)

その昔この作品が本屋に平積みされ始めた時、いくらなんでもあからさますぎるタイトルだと逆に感心したことを覚えている。まあ正直に言って〇リコンの方々ご用達の内容なんだろうなーと思ってスルーしていたわけだけど、その後あれよあれよという間にアニメ化された。
それでも尚見る気が起きなかったが、その後一応見てみようかと思ったのは想像以上に人気があったから。ただ、それでも総評としてはタイトルの通り。

確かにある意味では意表をつかれたとも言える。原作は全くの未読なので実際のところはどうなのかわからないが、アニメで見た限りでは幼女要素は明らかに「撒き餌」でしかなく内容自体はそれなりにハードなストラテジーものだった。
逆に言うならば当初「幼女」に反応し食らいついたであろう萌え〇タ達の期待を裏切る内容であるにもかかわらずアニメ化までこぎつけたということは、その内容自体が魅力の溢れた面白い作品だったということなのだろう。そして実際、より幅広い人の層が見るアニメも好評だった。原作者の「技あり」が見事に決まったと言っていいのかもしれない。

多分視聴者の多くはこの意外性を良い方向に受け取ったんだろうと思う。それこそもっとモエモエしたものだと思ったら結構なシリアスものだったというように。
だが個人的には逆だった。確かに内容自体はそれほど悪くない、むしろそれなりに物語に引き込まれた。しかし、いやだからこそ主人公が「幼女」であることに引っかかった。
結局のところよくある「最弱スキルの俺最強」ものとしか思えなかった。いや、それよりもっと事情は悪いかもしれない。最弱スキル系は一応理由があって最弱というレッテルを貼られてはいるものの使い方次第で最強にもなれるといったことが多いのに対し、この「幼女」性は本来どうひっくり返っても最強とはならない。バカと鋏は使いようだが、幼女はどう扱っても幼女でしかない。にもかかわらず相当なチートキャラだ。

「いやいやwファンタジーなんだから別に幼女が最強でもいいじゃんw」と言われるかもしれない。それ自体は仰る通り。例え幼女が自身の倍以上ある重量の巨大な斧をブンブン振りまわしたとしても別に構わないとは思う、通常ならば。
だがそもそも何故この物語において30代男性のサラリーマンが存在Xによって幼女に転生させられたかと言えば、それは主人公を「無力な存在」とするためだった筈だ。
にもかかわらずどういうわけか初めから魔力適性がありフィジカルも大人顔負け。設定では一応「元来の魔導師としての能力は早熟である点を除けば、他の一線級の魔導師たちと比較して隔絶的に優秀というほどではない」らしいが充分強力だ。その上で尚エレニウム95式というチートアイテムを存在Xにより与えられている。

この「幼女戦記」の構造を別の設定に当てはまると以下の感じになる。
・主人公は大手一流企業に勤めるイケメン。有能だが性悪でイキり倒したあげく恨みを買い罠に嵌められ闇社会にその身を落とすことになる。(主人公の転生前)
・周りの人間は強面だらけ、そのため中性的でイケメンの彼は「カワイ子ちゃん」と揶揄われナメられる。今まで培ってきた地位もこの世界では役に立たない。(転生後、幼女)
・その一方で役立つ技能を持っていることを買われ、初めからそれなりの権限を与えてもらう。(魔力適性)
・それでも慣れない闇社会、とんでもないピンチに見舞われることもあるがそこに颯爽と現れるたるが主人公のボス。「困ったときは俺を頼りな。但し、感謝の言葉は忘れるな」と言われる。(エレニウム95式)
・しかし主人公は極力頼りたくはない。何故ならこのボスこそが罠に嵌めらた自分を闇社会にまで引きずり込んだ元凶だからだ。(存在X)
・だがそれでも命がかかるとそんなことも言ってられない。結局ボスにすがり、窮地を脱却することに成功する。「今後は人に、世の中に感謝することを覚えろよ」と言われるが背面服従。そもそも俺がこんな目に合ってるのは誰のせいだ!と逆ギレ状態。

……こうやって書いたら既にどっかにありそうな話に見えてきた。だが本当に構造としてはこんな感じ。そしてこちらで見ると、多分主人公の好感度はそれほど高くならないと思う。そもそもイキッてたてめーの自業自得だろというような感じになるんじゃないか。

一方で「幼女戦記」が人気なのは主人公の見た目と通常ありえない異世界転生、そして存在Xというほとんど神と同義の存在に対する一種の現代的な反発心からくるものなんじゃないかと思う。確かにアニメでの存在Xはやたらと押しつけがましいように映る。しかし一方で何だかんだ言って面倒も見てるだよね。

現状だとオチとして考えられるのは次の二通りだと思う。一つは存在Xの鼻を明かしてやったという流れ。もう一つは結局存在Xの手の平の上で踊ってたに過ぎないという流れ。多分まあ、前者になるんだろうなあとは思うが今のところ内容自体は後者だ。ターニャは正直「はじめてのお使い」をしているかのような状態でしかない。あまりにも初めから与えられているものが多く、そして何かあったときのための非常ブザー(エレニウム95式)すら持たされている。

ただまあ正直に言って存在Xが何をしたいのかよくわからないというのはある。この辺は原作者の宗教観によるものなのか何なのかわからないが、感謝されたくてされたくて仕方のない神といいますか、とてもお節介焼きさんだよなあと。最近信者が減ってきて一人でも多くの信者を獲得しようと誘致に必死なのかもしれない。まあ、どちらかというと神と言うより悪魔の手口っぽい。そしてそれが災いして存在Xの好感度が下がり、逆にターニャの反抗心が持ち上げられてる感じ。

いずれにしろターニャが幼女なのは、本当にただの客寄せ用きぐるみとしか思えなかったわけですが。

投稿 : 2022/02/05
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サンキュー:

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