shino さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
渇望せよ
奈須きのこ原作。
万物の綻び「死線」を視る力、
直死の魔眼を得た独りの少女の物語。
魔術師である荒耶が張り巡らした、
死そのものを体現化する太極の結界、
両儀式の直死の魔眼は結界を打ち破れるのか!?
シリーズ全七章を代表する第五章、
第一章~第四章を総括する物語である。
境界とは日常と非日常の隙間であろう。
暴力衝動も性描写も躊躇することなく描かれる、
劇場公開とは思えない勇敢で衒学的な作品である。
私的には、黒沢清、リンチ、夢野久作、etc、
いくらでも世界観の源泉にあがりそうな気配だ。
舞台となる小川マンションの異常性は、
そのシンメトリーな構造にあるのでしょう。
{netabare}そこでは常軌を逸した実験が行われている。{/netabare}
{netabare}荒耶は、東棟、西棟で条件を変え、
死に差異が生じるのか、実験を繰り返している。
死を等しく、肯定することは可能か、
荒耶の求めるものは、この言葉に尽きる。
救われもせず、報われもしない、
無意味に死んでいったものたちの死を、
彼は意味のあるものにしようとしている。{/netabare}
シリーズで最も複雑な作品です。
語り尽くすには、知識が足りませんが、
共感の覚えるメッセージもあります。
それにしても、面白い。