テングタケ さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
よくできています。ですが、手放しで絶賛は出来ません。
体中のパーツを鬼神に奪われ、その鬼神を倒すたびに1つずつ肉体が正常に戻っていくというプロットに強く惹かれます。
物語は、主人公や敵役から一兵士や農民まで、戦乱の世で生きるためにもがき苦しむ様にスポットが当てられています。そしてそれは十分成功していて、本作に重いドラマを与えています。
また、主人公である百鬼丸やタイトルロールであるどろろ、ライバルである主人公の弟多宝丸とその部下2人、飄々とした琵琶法師など、キャラクターが皆いきいきと描写されています。特にライバルである多宝丸は、最初は世間知らずのお坊ちゃま風だったのが、領地の民を守るために百鬼丸を倒すことを決意し、最後は闇落ちしてまで勝とうとする、魅力的なキャラクターになっています。
さて、残念なことに、人間ドラマに重きをおいたため、肝心の「鬼神を倒して体を取り戻す」という基本設定が相対的に軽く扱われています。
妖怪を倒しているうちになんとなく体が戻ったり戻らなかったり、何か思っていたものと違うんです。鬼神の数が明言されたのも途中からだし、敵を倒したら体のどの部分が戻ってくるのかこないのか、倒すまで分かりません。
最初に全ての鬼神を見せて、どいつが体のどこを持っているか明確にすべきです。出来れば、脚を持っているのはムカデの化け物とか、目を持っているの百目タイタンとか、分かりやすければベスト。そして、敵を一体倒すたびに体のパーツが戻り、「ギリシャ十二神、残りX人」みたいなセリフが入る展開こそ本作にふさわしかったのに。
塔の頂上にボスがいて、階ごとに守護者を倒さないと先に進めないという少年漫画の黄金展開、そういうものの面白さをスタッフはあまり理解していないのでは?
もう一点、エロスが足りないです。出てくる女の子はわりと皆可愛いんですが、お色気が足りないのでどうにも子供向けのお人形さんみたいな感じが拭えません。
例えば、身体を売って子どもたちを養っている女性が出てきます。初登場は川で体を清めているシーンなんですが、ここでヌードを描かなくてどうするんですか。
別にオッパイ見せろグヘヘヘと言っているわけじゃなくて、血の通った人間を表現するには肉体を描写すべきなのではないでしょうか。それにまあ、我々男ども視点では、ボディを披露してくれる女の子には感情移入度が違うんですよ…。
まあともかく、肉片が飛び散って血がドバドバ飛び散る大人向けアニメの本作には、そういったアダルト要素も必要かと。手塚漫画って結構女の子が脱ぐじゃないですか。そうそう、どろろ(♀)が全裸にひん剥かれてお尻丸出しにしてました。が、ペドはちょっと…。
おそらく、上記の問題は脚本家が女性であることに起因しているのではないでしょうか。脚本の小林靖子さんは、進撃の巨人にも関わっている才媛なのですが、やはり男性と女性は見えるものが違うのかなあという気がします。エロはともかく、「残りの鬼神、あとX体」ってやって欲しかったなあ。