STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
メイン二人の暮らしぶりが微笑ましい
原作は未読。
最近、明治~昭和初期の近代を舞台にした作品がとみに増えてきた感があるが、本作も
その中の一つ。
時代考証をちゃんとやっているようで、大正の暮らしぶりなどを伺い知れるのも楽しい。
基本的には志磨 珠彦と立花 夕月の恋愛ものであるが、あるキャラが飛び込んだ先の環境を
変えていく、ドラマなどでは一つの定型といった要素で観ると夕月が主人公そのものといった
感じだが、キャラの成長譚としてみると珠彦が主人公で夕月は成長を促す役どころになり、
観方により主人公が変わっていく印象がある作品。
キャラがなかなか魅力的だが、その中でもやはり夕月が際立つ。
見た目は幼い感じであるが、珠彦に対して包容力を感じさせるなど、母性が強い印象。
大正という時代はまだ前近代的な部分が残りつつも、大正デモクラシーやモボモガなどに
代表される新しいものがどんどん取り込まれていく自由で開放的な気風があり、夕月も古風な
趣きを残しながら、洋菓子作りに長じていたり、珠彦にキスをねだるなど、まさに大正という
時代を感じさせるヒロイン。
彼女の書く手紙などでは、口語と文語の違いが明確だったりして、この辺の時代性もいい。
登場時は印象の悪いが、結局はいい人だったりするキャラが多く、それだけに逆に珠子を除く
志磨家の人間性のひどさが際立つ。
関東大震災という、大正を代表する一大事件をクライマックスに置き、ハラハラさせながらも
主要キャラは無事であったと共に、珠彦と夕月の仲を深めることにもなる良い締め。
とは言え、1クールでは尺が足りなかったのか、珠彦と志磨家の問題、珠彦と村の大人たちの
関係性などが未消化といった感はあったが。
2022/02/03
2024/06/22 加筆・修正