waon.n さんの感想・評価
2.2
物語 : 2.0
作画 : 2.5
声優 : 2.5
音楽 : 2.5
キャラ : 1.5
状態:観終わった
今後に期待したいが…
【First impression】
loundraw 初監督作品ということで、これまでのPVなどの短編を観るとなかなか期待度が高めだったし、イラストレーターとしての才能はものすごいと思います。その思いは視聴後の今でも疑いようはありません。
今後に期待じゃあああ!
【Story synopsis】
思春期の少年少女は生きている。
生きていれば、辛いことや悲しいこと、楽しいことや嬉しいことそれぞれあって、時には死ぬことを考えてみたりする。
誰もが自分が死んだらどうなるんだろう? なんてこと、一度くらいは考えたことあるんじゃないかな。
少年少女は『死』を考え、そして『死』に触れる。
その触れ合いが彼らにとって人生を変えるきっかけとなっていく。
ひと夏の出会いと冒険、そして若者の死生観が表層へと剝き出しとなり、視聴者の心に肉薄するストーリー。
【Staff】
原案/監督 loundraw
脚本 乙一
【Review】
現代版スタンドバイミーだ。いや、そんなことを言ったらスタンドバイミーのファンから叱責を受けるかもしれませんね。
確かに死体探しというマクガフィンに対して、若者が右往左往する様はスタンドバイミーさながらという所ではあるものの、このサマーゴーストはアドベンチャーを見せたいのでは決してない。また、それによる友情を見せたいのでもない。
ましてや、成長を見せたいのでもない。
じゃあ、loundraw は何を見せたくてこの物語を描いてみせたのだろう。
作画演出
やりたいことは、シーンごとにどこかエモーショナルなカットを作り視聴した際に印象に残るような構成でシーンを区切る事。考えがしっかりと頭の中に描かれていてどのカットでどう見せるのかが明確になっており、非常に分かりやすく良い演出プランだったと思います。
しかし、この作り方はミュージックビデオ的ともいえ全編を通じての物語の軸みたいなものが良く分からなくなってしまっているのも考え物かなと。
要するにやり過ぎた、もしくは作画のどこに力を入れるのかのコントロールが甘かったのではないかという話。
バスケのシーンが非常に良いのだけれど、そこは軸じゃない。肉付けの部分で何か印象に残っているんだけれど、あそはそんなに重要だったの? と視聴後に違和感が残る結果になってしまいました。
少年少女たちの苦悩を描き、そこからひと夏の経験を通じて一つ大人の階段を上がるって話のながれは見えるのですが、テーマというか死生観を描いている作品なのに、雰囲気で終わってしまっている。ある種の監督の持っている答えがどういうものだっのだろうかと考えさせられてしまうし、その答えはきっとそれぞれ感じたものが答えなんだろうなって感じ。
こういう作りのものが好きな人には好感度高めの作品になっているんじゃないでしょうか。
良く言えば現代的とも言えますね。流れるようにシーンが続き、余韻が残ってふわっとして映画館を後にする。なんか良いものを観たような気がする。これは一つの芸術性のたまものだと私は思うので、良いんじゃないでしょうか。
さて、その評価とは別にして、シーンのつなぎが良くないように感じる。これは演出を担当した人が良くなかったのではないでしょうか。
カット頭から動きがあったり話があったりで短い尺のなかで詰め込もうとした結果なのかもしれないけれど、溜めがなかったり、余韻がなかったりとカット毎の繋がりが微妙なんですよね。
これはテンポよく見せるという点では効果的に働き、前述したとおりのミュージックビデオ感に繋がる話なのかもしれない。
ここのコントロールが上手くいけば個人的にですが、もっと好きになれた作品だったように思えます。
いかんせん低評価となってしまったものの、大いに可能性は感じるので、素晴らしい演出家と仕事をする総作監と手を組んで再度エモくて新しいアニメーションの窓を広げて欲しいなと感じました。
今後も応援するつもりでお金を出して劇場に足を運んでみたいと思う、そんな監督の可能性を感じる作品でした。
ここまで読んでくれた方でまだ見ていないのであれば、どこかで配信された際にはぜひご視聴をしてもらえると嬉しいです。
それでは、よしなに~。