ひろたん さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
この作品は、『中二病「でも」恋がしたい』に、『!(感嘆符)』をつけるためにあった。
1期第8話に「二人だけの…逃避行(エグザイル)」と言う話がありました。
その時は、先に逃げた六花を主人公が追いかけ、結果的に逃避行となりました。
そして、今回は、二人で一緒に逃げた!
それを、六花の姉十花の指示のもと、森夏と凸守が追跡する・・・。
サブタイトル「Take On Me(私を連れていって)」、そのままの駆け落ち話です。
二人だけの最後の逃避行、その行きつく先に答えがある、そんな物語です。
■でも?、でも、でも!
1期は、『中二病「でも」恋をする?』と言う話でした。
「でも」とは、「そう言うこともある」と言う"意外性"を表していたと思います。
2期は、『中二病「でも」恋がしたい』と言う話でした。
「でも」とは、「だったとしても」と言う"願望"を表していたと思います。
ここで、一見、タイトルが回収されたかのように見えました。
しかし、私は、『!』を見落としていたのです。
実は、もう一段階上がありました。
それが、『中二病「でも」恋がしたい"!"』と言う"宣言"を表すことでした。
2期は、あくまでも二人の"願望"止まりでした。
しかし、"願望"だけでは二人の仲は進展しません。
この物語は、そんな二人の曖昧な関係にピリオドを打つための物語です。
そして、タイトルに『!(感嘆符)』を付けるための完結編だったのです。
恋愛ものは、結ばれた時点で終了、あとはグダグダとよく言われています。
この作品も一見1期の最後に結ばれ、2期の当初はグダグダに見えました。
しかし、それは間違いだと2期の話が進むにつれてだんだんと分かってきました。
そして、2期の最後で、あらためて結ばれたかのように見えました。
しかし、それも間違いだったのです。
本当の意味で、二人が結ばれるのは、この物語でした。
■六花の葛藤
六花は、主人公のことを好きです。
でも自分のアイデンティティである中二病もやめられません。
そこで2期では「中二病「でも」恋がしたい」と開き直ったはずでした。
しかし、二人の仲は一向に進展しません。
それは、六花の中に、"ある"葛藤があったからです。
六花は、主人公は、中二病の自分のことが好きだと思い込んでいました。
しかし、主人公のことを好きになればなるほど普通の女の子になってしまうのです。
つまり、中二病でいられなくなる自分に気づいてしまったのです。
それは、自分にとってのアイデンティティを失うことです。
そして、そんな自分を主人公は受け入れてくれるのだろうかと悩みます。
中二病をとるか、主人公との恋愛をとるか。
でも、主人公との恋愛をとると、自分に嘘をつき、自分が自分でいられなくなる。
これは、2期のころから、智音が六花に投げかけていたことでした。
しかし、六花は、その答えを今まで出してきませんでした。
これが、二人の仲が進展しなかった理由です。
■二人の答え
六花は、悩んだ末、どちらかを選ぶなんて無理でした。
中二病の自分も、主人公のことが好きな自分も、どちらも自分だったからです。
しかし、六花は、一番大切なことに気づきます。
それは、二人の答えは、二人で一緒に出すべきだと・・・。
そして、二人は、はじめて自分たちではっきりした答えを出したのです。
それは、『中二病「でも」恋がしたい』に『!』を付けることでした。
願望ではありません。
そうなるんだ"!"と言う意志の表れでもあり、宣言です。
これで本当の意味でタイトルが回収されたのだと分かりました。
■まとめ
この作品は、とても面白かったです。
主人公と六花、二人の成長が感じられる点が良かったです。
また、私は、森夏と凸守の関係がほんと好きで、観ていてとても楽しかったです。
そして、なによりもシリーズとして清々しく完結してくれたことが嬉しかったです。