でこぽん さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
彼女たちの心の叫びが痛いほど伝わってくる
これはテレビ版の内容を前編と後編に再編集し、それぞれ劇場版としたものです。
前編はさやかの最期の瞬間までを描き、後編はそれ以降を描いています。
この劇場版は、日本以外にもアメリカ、フランス、イタリア、サンマリノ、韓国、台湾、香港、シンガポール、オーストラリア、カナダ、メキシコの11ヵ国で上映されています。
海外でも結構人気がありました。
決してテレビ版のダイジェストではなく、テレビ版から省略可能なものをカットして、必要だと思われるシーンを追加しています。また、テレビ版と同じシーンであっても、衣装が違っていたり、細かな気配りが追加されています。
(例えばテレビ版だと最後にまどかとほむらが抱き合うシーンは裸でしたが、劇場版では薄いドレスのようなものを纏っていました)
それに、テレビ版だと一話ごとに間隔が空いてしまったり、オープニングやエンディングで物語が一旦中断するので、物語に集中しづらいのですが、劇場版だと中断が無いので、物語に集中できます。
だから、劇場版では、マミさん、さやか、杏子、それに、ほむらやまどかの心の叫びが痛いほど伝わってきます。
{netabare}
マミさんの「もう何も怖くない。私、独りぼっちじゃないもの」と言ったときの孤独からの解放感と、それから三分後の悲惨な展開。
さやかの「私って、ほんとバカ」とつぶやくときの限りなく深い悲しみ。
杏子の「一人は寂しいよね。一緒にいてやるよ。さやか」と告げたときのしみじみとした愛情。
まどかの「ずっとあの子たちを見守りながら、あなたは何も感じなかったの?」とキュウベエへの恨みともとれる問いかけ。
さらには、「何でだろう。私、ほむらちゃんのこと信じたいのに、嘘つきだと思いたくないのに、全然大丈夫だって気持ちになれない」と告げたときの限りない絶望感。
ほむらの「本当の気持ちなんて伝えられるわけないのよ…。だって私は…私は、まどかとは違う時間を生きていんだもの…」と告げたときのまどかに対する幾多の想い。
そして、ほむらの希望が絶望に変わる瞬間の深い悲しみは、何度見ても胸が張り裂けそうです。{/netabare}
この物語は、それぞれの登場人物に何度も何度も感情移入してしまう物語かもしれません。
これは悲しい悲しい物語ですが、最後にまどかの願いが叶ったので、ある意味ではハッピーエンドとも言えます。複雑なハッピーですが…。
まどかの弟がまどかのことを覚えていてくれたのは、ささやかな心が温まる奇跡でした。
■音楽
[前編]
オープニング:ClariS 「ルミナス」
劇中歌:Kalafina 「未来」
エンディング:Kalafina 「Magia」
[後編]
オープニング:ClariS 「ルミナス」
劇中歌およびエンディング1:ClariS 「コネクト」
エンディング2:Kalafina 「ひかりふる」
「ひかりふる」は、とても美しい歌でした。これはKalafinaの代表曲ともいえる名曲です。
聴いたことが無い方は、ぜひ一度聴いてください。きっと感動します。