「かげきしょうじょ!!(TVアニメ動画)」

総合得点
85.3
感想・評価
503
棚に入れた
1480
ランキング
247
★★★★★ 4.1 (503)
物語
4.2
作画
3.9
声優
4.2
音楽
4.1
キャラ
4.2

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ネタバレ

ナルユキ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 3.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

面白いけどアニメとしては物足りない

本作は『ジャンプ改』の連載から少女向けマンガ雑誌『MELODY』に移籍という異例の経歴を持つ作品だ。なので原作は女性読者を対象としながらも、アニメでは男性視聴者もしっかりと高い評価を下している。
少女マンガらしいタッチの作画で男性オタクが求める「萌え」からは程遠い。しかしそんなものが必要ないほどに、歌劇団の主演を目指して切磋琢磨する少女たちの熱い姿を描いており、それに誰もが見惚れてしまう快作である。

【ココがすごい!:如実に再現された某有名音楽学校】
そのまま名前を出せなかったようだが、この作品は見るからに「宝塚音楽学校」をモデルとした舞台を描いている。卒業生は意志あれば某有名歌劇団に入団する、そんな養成学校の校風を本作は『紅華歌劇音楽学校』という名で如実に再現しており、授業は「芸能」に特化して厳しく、生徒間の人間関係もピリピリとした雰囲気を常に醸し出す。
当然である。歌劇の花形は『男役』と『娘役』。それは紅華も同じだ。役の奪い合いは入学したその時から始まっており、生徒は夢や憧れを実現させるために自身を磨くだけでなく、ライバルを蹴落とすための精神攻撃や工作を行うのも辞さない。創立100年を迎える歴史ある女子校には本科生(上級生)が予科生(下級生)を「教育」する習わしもあり、出る杭となりかねない予科生を本科生が叩いても、とくにお咎めのない環境が劇中でも決して壊されることはないのである。
{netabare}その点を嫌というほど見せてくれたのがざーさんこと花澤香菜演じる野島聖(のじま ひじり)だ。彼女は彼女なりに面倒を見ることになった奈良田愛を守ろうともしたのだろうか、それとも「オスカル(本作では紅華歌劇団のトップを表す隠語)」になることを宣言した渡辺さらさを単に嫌っただけなのだろうか────さらさへのあたりは最後まで全く緩むことがなかった。裏打ちされた実力もある設定だから、そこまで苛烈な嫌がらせをするわけじゃないんだけどね。リアリティはあるのだけど、嫌がらせという罪に対する罰や制裁が描かれず“やり逃げ”で終わったのがモヤモヤする部分ではある。とくに運動会は酷かったなぁ。
ざーさんももう10年以上活動されているベテラン声優。カワイイ系を通してきた彼女もそろそろこういう毒女役をやり始めても可笑しくはないと思っていたが、本作の野島聖というキャラでその華々しいデビューを飾れたのではないだろうか。ほんと、嫌いになりそうなくらいの「上級生」を見事に演じている。{/netabare}

【そしてココが面白い:丁寧なキャラクター描写と緻密な構成】
1歩間違えばギスギスとした暗い雰囲気になりかねない音楽学校が迎える記念すべき100期目の新入生。総勢40名の中で7人の少女がメインキャラクターとして毎話、大きくピックアップされる。この掘り下げ方が本当に素晴らしい。
その長身と物怖じしない性格によって異彩という名の圧倒的主人公オーラを発する渡辺さらさ、対照的に過去のトラウマから徹底して他者との壁を構築し平和かつ凡庸に過ごそうとする元有名アイドル・奈良田愛については真っ先にスポットライトが当たり、2人が現在の姿となった背景(バックボーン)と濃密な友情物語が序盤から中盤にかけて丁寧に語られる。特筆すべきはそれをしながら残り5人の少女も然り気無く、そして深く掘り下げていく、その構成の緻密さにある。
{netabare}とくに第3話はさらさと愛の相容れない程に遠い距離感を描きながら山田彩子を主役に立てるための「前振り」をしっかり入れていることが通しで観ることでわかり、感嘆した。
厳しい授業の中で教師に「デブ」と罵られて泣いてしまった彩子を持ち前の優しさで唯一人、慰めるさらさ。予科A組に起きている1つの事件を関係無い、うるさいとばかりにロッカーを強く閉めて誰よりも早くその場を去る奈良田愛。その心の内では人に干渉するさらさを強く非難していた。
後に話数をかけて2人は和解し、愛は他者へ心を開くようになる。しかし彩子を絡めた出来事は2人の地を固めるための雨としては終わらない。元アイドルという設定のある奈良田愛だからこそ、体型を罵られた彩子がその後何をしでかすのか誰よりも早く察知した。

『ここ(背中)、そろそろ痛いんじゃない?胃液が逆流して食道を焼くから痛いの。食道って体の後ろ側に付いてるの、背中側に。アイドルにもそういう娘がいたけど、そんな風に痩せても綺麗にならない』

『だから何!? そんなこと、初めっから綺麗な人に言われたくないよ!!』

さらさの影響を受けて、彼女なりに彩子を助けようとした忠告。恵まれた彼女が放ったからこそ“普通”の娘だと思い込む彩子は嫉妬混じりに激昂する。
彩子は自らの喉に指を突っ込み、食べた物を吐き出す危険なダイエット法を実践していたのだ。{/netabare}
各キャラクターの設定と感情、そして成長を互いに影響し合わせて、1人1人の物語を同時並行で進めることで彼女らの主役回に「前振り」をしっかりと入れ込むことに成功している。だからこそ話が進めば進むほどキャラクター全員の印象が深まり、彼女たちに降りかかる「試練」とそれを乗り越えた時の成長を心行くまで楽しめるのだ。
まだ何者でもない少女たちがどんな役を勝ち取るのか。さらさ&愛という主軸を据えながら本作はさながら「群像劇」風に魅せてくれる。

【でもココがひどい:演出と批評】
欠点を挙げるなら、トップスターを目指す少女たちで送る感動的なドラマと「歌劇」を題材とする筈の本作の演出やアニメーションで釣り合いが取れていないことだ。ざっくり書くと本作は「歌劇学校に通う少女たち」による青春群像劇であるため、本格的な舞台に立って演目を1本通しで観客に披露することはない。煌びやかな衣装や舞台はヴァンガードよろしくイメージで済ませ、実際は体育館・体操着(勿論ブルマなんて夢はねぇよ)で演技を行うというちょっとシュールな展開を送る。
また「芸術」を扱う作品の共通問題として、視聴者の感じ方と劇中でのキャラクターの評価に齟齬が出やすいのが決して小さくない欠点と言えるだろう。例えば「すごい」と思えないような箇所で登場人物が一斉に褒め称えるし、逆に少女たちの演技に息を呑む最中で教師が厳しく批評する、なんてパターンもある。
{netabare}第6話ラストでは『ロミオとジュリエット』のティボルトを演じたさらさが安道先生にダメ出しされる。『それはコピーだ、コピーじゃ紅華のトップにはなれない』と。本当にそうかな?と疑うのがこちらの正直な感想だ。
一応、次話でコピーでは成り上がれない理由を説明してはいるのだが、「コピーではオリジナルには勝てないという創作共通の通説」で納得するしかないようなふわっとした説明であった。台詞に出てきた『スターシステム』を調べれば理解できるのだろうか?『個性がない』という指摘に思い悩む主人公という流れも、それこそが芸術を扱う作品においては手垢の付きまくった個性のない展開だと私は思う。
そもそも視聴者としてはコピー元の演技(あの場面では里美星のティボルト)を殆ど描写してくれなかったので、さらさが「過去作をコピーした」という事実も劇中の流れ(さらさが作品観て台詞を呟くシーンなど)や他の人物の台詞でようやく解るようになっている。本当に里美星という人物の演技と瓜二つだったのかはアニメーションで知る由もなく、さらさの演技自体はアニメならではのオーラやドスを効かせた男らしい発声によって「上手くティボルトを演じていた」と視聴者は評する他にない。丸々コピーしたが故に役者の悪癖もコピーしてしまって失敗────なんて展開を入れれば少ない納得感も補填されたのではないだろうか。{/netabare}
{netabare}他にも授業でタップダンスを習っているシーンで教師はさらさのステップを『うるさい・重い』、愛を『物覚えが良い』と評するのだが、そんな2人のステップを比較するシーンが無く、やはり台詞で流してしまっている。一応、2人は並んで授業を受けているのだが、最前列にいたためか肝心の足が画角から外れてしまっていた。{/netabare}
{netabare}終盤の文化祭オーディションは色んな意味で激動だ。親友のさらさをロミオに見立て、取り戻した笑顔と重曹ちゃん顔負けの泣きの演技で挑んだ奈良田愛のジュリエットが「大人っぽ過ぎる」という理由で落選したり、レギュラーキャラで唯一人ロミオ役に挑んだ星野薫が何のドラマも無くモブキャラに負けてしまっていたり。40人が4枠の座を懸けて演技を競い合うオーディションと書けば聞こえは良いが、その実態は採点する教師陣の匙加減1つで確かな実力を魅せたキャラクターが続々と切り捨てられる、時として直視したくない残酷な現実描写と歌劇の素人には理解しがたい批評の数々が飛び交うラストエピソードだった。

『渡辺さんのティボルトの方が幸甚指数(こうじんしすう)がちょっぴり多いと判断しました!今風に言い換えるなら、渡辺ティボルトの方が若干“萌え”が高かった!』

渡辺さらさは確かにこの物語の主人公で魅力的なキャラなのだが、個人的には杉本沙和の方へ僅かに上回る愛着を寄せていた。そんな私が、ここまでこの作品が匂わせもしなかった「萌え」というものを持ち出し、萌えに優劣をつけて沙和を落とした教師の批評に納得することは断じて無いのである。{/netabare}
「芸術」における優位点が劇中の登場人物による専門的な評語だけでは、その点の素人も多い我々視聴者に納得感を与えることは難しい。折角の原作マンガからのアニメ化、ダンスや歌唱のある本作はもう少し止め絵・流し絵を減らしアニメーションに「動き」を取り入れて、悪い見本と良い見本をハッキリと描写してくれた方がより評価は上がっていただろう。

【キャラクター評価】
渡辺さらさ(わたなべ - )
彼女を一言で表すならば“破天荒”という言葉が相応しい。178cmもの長身と物怖じしない性格、紅華の風習や一般常識に染まらず場の空気を読まない発言・行動を繰り返し、良くも悪くも学内で誰よりも目立ってしまう。初見では苦手に思う視聴者も出るだろう。
成績も下から数えた方がダントツ早い、委員長曰く「問題児」。そんな馬鹿っぽい明るさを振り撒く彼女にもある1つのトラウマがある。
{netabare}さらさは嘗て「歌舞伎」に憧れ「助六」という役を目指した少女だった。1本の柱を身中に立てるような優れた体幹など歌舞伎に役立つ才能に恵まれた彼女が間違えたのは────書き方は悪いが「性別」だ。紅華(宝塚)歌劇が女性だけの世界であるように、歌舞伎も男性だけの世界なのである。「絶対」「なれない」。この2語に泣かされた幼少期と祖母の死が重なり、もはやさらさにとっては「呪いの言葉」として心の奥深くに突き刺さっている。紅華の周辺人物はそれを知らないだけに易々とその2語を使い現在の彼女も傷つけていく。{/netabare}
けれど、さらさは負けない。絶対になれないと言われても彼女はくじけず、自身が新たになりたいもの──『ベルサイユのばら』のオスカル──を勝ち取ろうと常に前向きだ。

『おい渡辺!分かってんのか?オスカルになるってことはな、紅華歌劇団のトップに君臨するってことだ!』

『そうなんですね!ではなります!さらさ(一人称)はトップになりますよ!』

こんな宣言も公の場でしてしまったことで彼女は早々に同級生や本科生(先輩)に目をつけられることになる。
只でさえ楽ではない歌劇の道と学校生活に多くの敵を作ってしまうものの、それらに負けない「芯の強さ」が様々な人物に好影響を与えていく。

奈良田愛(ならた あい)
彼女に夢や憧れはない────いや、ある意味では紅華に入学したことで本懐を遂げたと、彼女自身はそう思っていた。
奈良田は意外と浅はかな少女だ。序盤の彼女の行動基盤は「男のいない世界」へ逃げ込むというものであり、倍率東大越えの紅華を受験したことも、その前は大手の女性アイドルグループに身を置いていたこともそこに起因する。こういうネガティブな事情で学校へ逃げ込んでいくというのは新鮮な導入だ。
浅はかだが、裏を返せば「形振り構っていられない」心境が常にあったとも考えられる。そんな暗い少女となった奈良田の過去はストーリーを進める上で不可欠なエピソードであるものの、そのおぞましさは戦犯と同姓でも目を背けたくなる程の衝撃だった。それを件の第3話に持っていったのは最早、アニメの御約束である。
努めて明るく周囲と接する幼女時代、そんな幼女がトラウマを負って感情を押し殺すようになった現在、そんな現在の奈良田愛が未来──物語の転換──によって無理くりにこじ開けられることで狼狽し、激情を魅せていく。この3面を見事に演じ分けている花守ゆみりさんはやはりすごい役者(声優)である。

山田彩子(やまだ あやこ)
上記でも書いたが、この娘の主役回の前にはフリがしっかり導入されている。原因があって結果が生まれ、その結果がまた次の原因となり結果を生む……このスパイラルこそ“因果”────良い物語の形成する方法の1つである。
{netabare}教師や本科生の厳しい目があり、同級生とも差をつけられる毎日。成績も最下位に転がり落ち、彼女は3話・4話・5話と進むごとに追い詰められていく。
紅華(宝塚)という夢の世界にしがみつくために、彩子は自らの喉に指を突っ込み嘔吐を促す。胃液が喉を焼き歌うことすらままならない、栄養が身体に回らない状態で授業を受けても成績なと上がるわけがない。けれど吐き続け、食べた物を無かったことにする。紅華に普通の娘、余分な肉のついた美しくない乙女は要らないから。
夢の世界に入れた喜びと、そこで苦しむ自分の「不相応さ」に悩む彼女の姿は観る者の心をきつく締め付けていく。そんな彼女を救ったのは家族でも主人公らでもなく、飛田展男さん演ずる“おネエ”な教師だった。
貴女には「歌」がある。貴女の下には100期生になれなかった1095人もの女の子たちがいる。何もない娘が紅華に入ることはできない。僕は貴女に辞めて欲しくない。
規律を破り教師として相応しくない行いをしながらも彩子を学校に留めようとする小野寺先生は、その時からずっと彼女の教師ではなく「ファン」となるのだろう。{/netabare}
学校には様々な者が集う。自身を否定する者。真意を隠して渇を入れてくれる者。才能に期待し要求をつり上げる者。そして打ちのめされた自身を全肯定してくれる者────全てが少女たちの「糧」となり成長に繋がる。彩子の『エトワール』としての片鱗を見せる第5話の独唱は、中の人の歌唱力も相まってとても感動できるシチュエーションであった。
{netabare}ただ5話にしろ12話にしろ、この娘が歌唱や演技をやっている時だけやたら他キャラの台詞を被せているのはなぜだったのだろうか?彩子個人に集中して観ることも聴くことも出来ず、かなり残念な構成が宛がわれている。{/netabare}

杉本紗和(すぎもと さわ)
上記でも書いたが主人公よりも愛着の湧いた、個人的に1番気に入ったキャラクターだ。
最初こそいけ好かない娘だと思っていたけれども話を追ってみれば要所要所で面白いキャラ性を発揮している。主人公ら予科生をまとめる委員長であると同時に紅華(宝塚)オタクという二足のわらじを履く、そのギャップがたまらない。「ベルばらしか知らない」と言うさらさに対し落ち込んだ────風に見せかけて『ちょうどいい』と布教する気満々でポーズを決めながら返す委員長は、さらさとはまた違った芯の強さが感じられる(笑)
他キャラと違い各々が現在の自分を形成するような重い過去が描写されなかったのも逆に良い。「私は可哀想な娘なんですよ」とでも言うような押し付けがましさが抑えられている唯一のレギュラーキャラと書いてもいいだろう。
{netabare}その分、なんと最終話で彼女を掘り下げるという斬新な構成で本作は締め括られた。真面目だからこそ1度の我儘すら許されないのではという「委員長」ならではのプレッシャー。それに耐える甲斐もなく僅差でさらさに敗北し、真面目な秀才は破天荒な天才に敵わないのかと愛想のよい面持ちの裏で膨らませるコンプレックス。そんな思いを同じく本科生の委員長である竹井さんと共有し理解してもらう“救い”────杉本沙和というキャラクターは現在の時間軸だけで十分に完成されていた。
真面目で遠慮がちで気を遣える人が損をするのが世の常でもある。そこを突っぱねて栄光を掴み取る感動的なドラマと、オタクが高じて本物を目指し本物となる面白さを期待して、『かげきしょうじょ!!』の物語の続きを是非、追ってみたいと感じさせてくれた。{/netabare}

【総評】
シナリオ面では非常に完成度の高い作品だと評する。
第1話からテンポ良く話が進み、初回ならではの過多な説明が極力気にならないようなセリフ回し、主人公2人の桜の木の下での出会いとそのミスマッチさを身長差でも表して至極、丁寧に描いている。この2人がどうしてOPで手を繋ぎ踊るような良好な関係に育っていくのかを考えると、それまでにどんなドラマが待っているのか期待感が高まる作りになっており、後の展開もその期待感を裏切らない。
宝塚をモチーフにした女性だけの世界、紅華歌劇音楽学校に入った少女たちの青春物語。1行で本作を現すとシンプルなものの、そんなシンプルな物語だからこそキャラクター描写が光る。2人の主人公と5人の同級生────厳しい世界の中で夢を抱く少女たち1人1人の物語を丁寧に描いており、話が進めば進むほど彼女たちに感情移入できるよう作られている。
ただ、それらは飽くまでも原作の良さらしく、アニメーションとしては物足りない部分がある。1枚絵のみを使っているであろう止め絵・流し絵は様になっているものの、それ故に多用し過ぎている感があり、「歌劇」を題材としている本作に求められて然るべき「動き」の部分が疎かになっているなと感じた。とくに第10話は紅華(宝塚)の10年に1度の大運動会を描いているのに、スケールがかなりショボくて「リハーサルかな?」と勘違いするほど残念な仕上がりである(調べたところグロス回だったらしい。手抜きはアカンよ)。
歌劇の演出がイマイチが故に教師が生徒の演技に優劣を付けるのにも説得力に欠けているし、何よりも登場人物による批評がうるさい。漫画は1コマで演技を表現し何が良くて何がダメかを語らなければならないため、どうしても状況説明や批評するための台詞を多く入れ込まなければならないのはわかるし、そういった知見を得られるのも『かげきしょうじょ!!』の魅力なのだろう。
ただアニメ化した時にそれをそのまま持っていってしまったのは悪手。『鬼滅の刃』と同じく解説ばかりのアニメ化に陥っているし、それが赦されるだけの「作画力」が無い。『指先の細やかな表現が素晴らしい』?それをアニメーションで描いてくれ、という話である。
なのでこの作品、評価が分かれて“なんぼ”だろう。コンテや動画や演出など「アニメーション」に重きを置いて観る方には微妙に感じる。これは仕方ない。ただ現在のアニオタはアニメーションよりも「脚本・物語」を重点的に観ているため本作の評価は平均的に高く付けられているのである。作画に目を瞑れるくらいに物語やキャラが魅力的であることには違いない。

投稿 : 2023/06/23
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サンキュー:

9

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