haiga さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.0
作画 : 2.0
声優 : 4.0
音楽 : 2.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
加護に支配された世界で愛を叫ぶ(個人的に1番長い感想になったかもw)
今観終わりました~~!
えっとみなさんもネットで買い物したり、動画サイトで検索したりする時に絞込み機能って使いますよね?
私は今までアニメとか漫画を検索する時は
「最強」とか「チート」とか「スローライフ」って入っているものは避けていたんですよね。
いわゆるゼロ話切りです。観る前から観る価値無しって断罪してたんですよね
んで、最近めっちゃ仕事忙しくて、現在視聴中の月とライカと吸血鬼とか俺ガイル(完)とかめっちゃ面白いのにパタッと観れなくなっちゃったんですよ
なんか仕事でカロリー使ってるのにアニメでもカロリー使いたくないなって
それでいつもなら絶対観ないはずのこの
「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので辺境でスローライフをすることにしました」
を観てみたんですよ
結果から言いますと
これ、めっちゃ面白いですw
というか全然スローライフじゃねえええw
※ここから豪快にネタバレします
あ、確かに導入部は軽~~い頭悪そうな(失礼)ファンタジーですよ
作画も時々酷いですし、アクションも変な動きです。とはいえ憎めないクソアニメの雰囲気がビンビンしていて何故か観るのが止まらないんですよ。
んで5話の勇者ルーティが賢者アレスを殴ったとこで確信しました。
「こりゃ凄い作品だぞって」
いや、そのシーンもかなり衝撃的なんですけどね。
同じ勇者パーティメンバーで兄のギデオンをアレスが追い出した事に激怒したルーティはアレスを殴るんです、が
殴るってレベルじゃなくてパンチが腹部の1部を突き抜けて肉を抉り取り即死レベルの一撃を見舞うんですね
南斗神拳とか猗窩座の破壊殺・滅式に匹敵する感じですよ。観てた私は思わず「ブフォ!」って食べてたご飯粒を吹き飛ばすレベルで吹き出しましたw
で、その後瞬速で癒しの手で復活させるんですけど
お前は魔王学院の不適合者のアノス様かよって
そこからはこの加護に支配された残酷で理不尽な世界観と超個性的なキャラにどっぷりとハマってしまいました
この作品の良い所は勇者ルーティのキャラなんですよ。
タイトルにも付けていますがこの世界の人間は神から与えられる加護に支配されています
この加護ってのは才能みたいなもので例えばウェポンマスターなら何かしらの武器がとんでもないレベルで使いこなせる才能だったりするわけです。
但しこの加護がただのスキルと違うとこははた迷惑なことに性格にも影響を及ぼすわけです。
加護の覚醒は子供から大人になる境で起きるようで大人しい人も加護の影響で乱暴になったりその逆もしかりなんですよ
さらに理不尽な事に、この加護が完全なランダムで、例え王族だろうが騎士の生まれだろうがクソみたいな加護が与えられる可能性もあるし、その辺の村人に英雄の加護が与えられる事もあるわけです
世襲もコネも(殆ど)通用しない世界
めちゃくちゃシビアですよね
勇者ルーティは普通の村人の子ですが勇者の加護を持ってしまったばかりに
①あらゆる状態異常を受けない(状態異常とは怒りや悲しみも含まれるので感情自体が乏しくなる
あらゆる事に動じないし喜怒哀楽も無い)
②疲労することも睡眠する必要も無い寒さも暑さも感じず風邪や病気にもならない
③最強レベルの魔法と武術と剣術と癒しの使い手になる(修行したのかどうかは描写されず)桁違いの戦闘力
こんな感じで望む望まざるに関係なく得能モリモリの魔王を倒す為だけの戦闘マシーンにされてしまうわけです。私達現代人の感覚ではめっちゃ悲惨ですよね?
そんなこんなで主人公のギデオンは勇者パーティを追い出され辺境の街ゾルタンで薬草屋を営みながらのんびり暮らし始めます。
そこにギデオンを大好きなロガーヴィア公国の第2王女のリットもこのままでは王国を継がされそうと国を抜け出して合流し、2人でラブラブしながら街のトラブルを解決したりしていくわけです。
街では麻薬が蔓延り結構殺伐としたトラブルが多くあんまりスローライフじゃないんですが、ギリギリまでギデオンもリットも積極的に解決に動いたり街の人を護って上げたりもしないんですね。
そうしてるうちに勇者パーティをほっぽいて
(をい!)ルーティまでゾルタンにやって来て魔王討伐の旅をやめてギデオンと暮らすって言い始めるわけです。
ここまで読んだみなさんも気づきましたよね
勇者パーティを導く事や英雄として生きる事を(望まざるとも妹のルーティをも)捨てたギデオン
第二王女の立場や英雄としてのキャリアを捨ててギデオンと生きる事を選んだリット
勇者として生まれながら世界を救うことも魔王を倒すことも捨てていち個人として生きることを選ぶルーティ
普通の作品なら運命に抗うとか、気持ちを抑えて勇者として生きたりとか、とりあえず魔王倒して、平和にしてからスローライフしようとか個人の幸せよりまずは全体の幸せを優先するじゃないですか
この作品は違うんです
「いやいやそりゃ魔王は倒さなくちゃいけないとおもうけどそれを我慢してやりたくも無いのにやるのおかしくね?というかそれ俺じゃなくても良くね?
だってスローライフやりたいし」
現実でもそうじゃないですか、例えば異国の人が食べ物が無くて困っていても、戦争で苦しんでいるかもしれないけれども、そしてそれを救う能力を持っていたとしてもたいていの人はまずは今の生活が大事って思いますもん
そういう意味でこの作品はとても現代的な考え方で、ある意味リアルで生々しい行動をするわけですね
そこがとても斬新で私にぶっさりと刺さりました
結局勇者として1番まともだったのは同じパーティーの槍使いのテオドラだったってオチも秀逸ですし、クズだったアルベールが英雄として覚醒しつつあるのも良かったですね
物語も謎は色々残ってはいますが山あり谷ありで綺麗に終わってますし、普通に面白い作品でした
(ギャグは寒かったがどっちかと言うと真面目なシーンとかキャラのぶっとんだ行動の方が笑えます・・・この辺はワルブレに近い感覚です)
最終的には最強ルーティと神との闘いに繋がって行くのでは?とも思うのですがそれは従来のアニメ作品的考え方で主人公を中心としたスローライフには本来世界の命運とかのオチは必要ないのかもしれませんね。
でも2期あったらめっちゃみたいなあ、よろしくお願いします