レオン博士 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
万年雪を溶かす真夏の光
【紹介】
トロピカル~ジュ!プリキュアの劇場版です。
公開初週に見に行ったのですが、今さらレビュー書きます。
映画館は半分以上が家族連れで小中学生くらいの女の子がいっぱいいて、娘の引率のパパ達が居心地悪そうにしていたのが微笑ましかったです。子供連れじゃない大人の女性も結構いっぱい見に来てました。
視聴前は、なんでコンセプトが近いわけでもないハートキャッチとコラボなんだろ?って思ったけど、とてもいい形でコラボできていて、どっちにも見せ場がちゃんと用意されていて良かった。
前の映画はキャラをただ出しただけで、コラボさせる意味があんまりなかった。
【作画】
劇場版にしては少し作画が怪しいところはありました。そんなに気にならないですが。
恒例の来場者特典のライトが今回はリングになっていたところからも、予算がちょっと厳しかったのでしょうか?
※もらえるのは中学生以下限定です。
それでもリングをもらって大喜びしている子ども達の顔を見て和みました。
コロナはどうしようもないですが、子どもたちの笑顔を守れる国でありたいものですね。
常夏のプリキュアが真冬の舞台で戦うところが劇場版感あってよかったですね。夏が恋しくなりそうです。
変身シーンが省略されずちゃんと流れるのが長いって思う人も多そうですがポイント高いです!
ローラが葛藤する表情の変化が本当によく描けていたと思います。引き込まれました。
【キャラクター】
{netabare}
シャロンの設定がかなり重くて、なんとか助けてあげて欲しいなーって思いながら見ていました。すごくせつない話ですね。
アニメ版ではいつもクールな感じのあすか先輩がはしゃいでいるところが可愛かった。
惜しいところを挙げると、シャロンとの交流をもうちょっと時間かけて丁寧にやったほうがよりラストのシーンに想いを乗せやすくなったと思う。
シャンティアへの想いも、トロプリのメンバーは表面上だけに見えて、ちゃんとそのへんが描けていれば、
滅びゆく想いを継ぐっていう気持ちにも説得力が出るし、最後の葛藤にも深みが出ると思いました。
{/netabare}
【音楽】
主題歌がまたいいところで流れるんですよ。あれはずるい。
ここまで持ってくる演出が素晴らしすぎて、最高の演出で物語の余韻に浸れました。
ただ、せっかくハートキャッチとコラボしているのなら、楽曲でもコラボ感がもっと欲しかったのと、EDの絵は動きがあったほうが良かったな。
【シナリオ】
テレビシリーズのほうは今回、あまり波風が立たない作りなので劇場版は結構重い感じで見ごたえがあって面白かった。
{netabare}
ローラ中心の話で、最後は戦うのはつらいけど、避けられない戦いだからみんなの力を借りて戦うっていう安直な終わり方じゃなくて、
「生きていた証が残せれば意味がある、やり直せる」
「ローラは今いちばん、何がしたいの?」
まなつは仲間のローラを信頼して、すべてをローラの意思に委ねます。ローラがしたいようにしていいよって。
それに答えて、自分のしたいことの答えをローラは出します。
もうこれどうしようもないよね救いがないよねって誰もが思っていた展開で戦うことを辞めて歌をうたうことでせめて想いを伝えることを選んだところがとても良かった。
シャロンとのやり取りは鬼気迫っていて、ローラがみんなとの出会いで成長してきたことの集大成って感じでローラの魅力が凝縮されたとても素晴らしいシーン。
感動してしまいました。きっとローラは良い女王様になれるでしょうね。
{/netabare}
【総評】
ずっとお気楽な感じのトロプリのイメージとはだいぶ違う重みのあるシナリオで、より深みが増しました。
子どもには結構難しくて重いシナリオかなと思いましたが、
{netabare}
「シャロンちゃんがかわいそうだった」ってママに訴えかける女の子の悲しそうな表情が心に残りました。
もちろんあの境遇はかわいそうなんだけど、わたしは想いを引き継いでくれる最高の友達に会えて幸せだと思った。
あの子が大人になったときにもう一度見て欲しいなと思いながら映画館を後にしました。
{/netabare}