ようす さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
「正しいとか間違ってるとかじゃなくて、そこにどんな気持ちがあったかが、一番大切なんだ。」
2010年まで「月刊Gファンタジー」で連載されていた漫画が原作のアニメ。
アニメは2008年に放送されていたためなのか、
原作とは異なる展開で物語が完結しているようです。
うーん、最後まで見たけど、
私とは相性がよくない作品でした^^;
全26話です。
● ストーリー
六条壬晴(ろくじょう みはる)は、
何事にも無関心な中学二年生の男の子。
彼の中には忍の秘術「森羅万象」が眠っているのだという。
現代でも忍の世界=“隠(なばり)の世”において忍者は活動しており、「森羅万象」を狙う者もいる。
「森羅万象」を巡る争いを断ちたいという雲平・帷・デュランダル(くもひら・とばり・デュランダル)は、壬晴を隠の王にするため、秘術を狙う忍者たちから壬晴を守ると誓う。
今まで何事にも無気力・無関心で生きていた少年が、
いきなり忍者たちの大きな争いに巻き込まれてしまうというお話。
壬晴自身には森羅万象が宿っていること以外の力はありません。
森羅万象もまだ眠っている状態なので、壬晴には使えません。
そんな少年が殺生の覚悟を持つ者たちの世界に引き込まれる。
壬晴からすれば、望んでもいない大きな力のせいで巻き込まれて、迷惑この上ないです。笑
そんな壬晴に転機が訪れるのは、
宵風(よいて)と呼ばれる少年との出会い。
彼は禁術「気羅(きら)」使いの忍者で、
己の命を削って放つ強い力を操る強敵。
そして、心には深い闇を抱えている様子。
宵風の願いを叶えたいと思う壬晴は、
森羅万象を使えるようになりたいと、
自ら隠の世に深く関わっていくようになります。
森羅万象を巡る争いは、
しっかり描かれていたように思います。
森羅万象の力を呼び起こすヒントを得るために、
それぞれの忍の里が持つ禁術を集めるというのは面白いなと思ったし、
禁術をめぐって争ったり、
いろいろな忍と出会ったりする展開を楽しめました。
無情なシーンもありますが、
忍の厳しい世界を描くうえでは仕方がないでしょう。
私がこの作品と合わないなと思ったのは、
主人公の壬晴と、もう一人の重要人物である宵風に対して、
共感も理解もできなかったということです。
自分の願いのために行動する宵風と、
宵風のためにと行動する壬晴。
二人が自分たちのために行動を起こすところまでは理解できるのですが、
理解できないのは、二人のために力になろうとする周りの行動。
みんなはなぜ壬晴のために、
時には危険を顧みず、命をかけてまで行動するのか?
誰かのために必死に頑張っている少年に対して力を貸そう、なら理解できなくもないし、
「友達を放っておけないよ」という崇高な気持ちからの行動ならと理解しようともしましたが、
結果、二人の勝手な行動のために命を落とす人だって少なくなくて、
周りの人が必死になって命をかけるほどのことを二人がしているとも感じられなくて。
二人が力を貸してほしいと願っていたり、
周りと協力したいと思っているならまだしも、
壬晴も宵風も周りへの風当たりは決して優しいものではなく、
むしろほとんどが突き放すようなもので、
都合のいい時だけ頼るような素振りを見せているのに、
周りの人は、時には怒ってケンカ別れになったとしても、
次に会うときには何事もなかったかのように普通にしていたりと、
忠実に二人のためだけに行動するキャラには、
違和感しか感じませんでした。
雷鳴(らいめい)なんかは特に顕著でしたよね。
雷鳴がいい子だからなのかもしれないけど…
忠実すぎて、ちょっと怖くもありました^^;
もちろん、自分の考えや目的と合致するから二人に力を貸すんだというキャラもいて、それは受け入れられたのですが…。
《 宵風の人生 》
宵風は辛い生い立ちであった。
それはずっと感じられることで、
だからこそ命を削る術をも受け入れた。
宵風が使う気羅というのは、
内側から相手の体を破壊する恐ろしい術で、
その術によってたくさんの人を殺してきた。
彼にまつわる物語は、原作とは異なる展開であるようですが、
私にはどうも受け入れられなくて。
最終回はきれいな終わり方だなー、いい終わり方だなーと感じさせたかったのかもしれませんが、
これまでたくさんの人を殺していて、それは決して許されることではないのだから、なかったことにしてはだめでしょう。
罪を背負い続けて苦しめとはいいませんが、
宵風の人生を美しいものとして描いてはいけないと思うんだよな。
ここが気持ち悪くて…。
受け入れられませんでしたし、感動もしませんでした。
それとも、忍の世界で殺した殺されたを考えること自体がナンセンスなのかしら。
● キャラクター
壬晴、宵風に続いてもう一人、
私のもやもやを加速させているのが、雲平先生です。
「壬晴を守る」とかっこよく登場しておきながら、
終始うじうじしていた先生にイライラです。笑
過去にあった出来事を考えると理解できなくもないですが、
ぱっとした活躍もなくて、なんだかなー…でした^^;
このメインキャラである3人を理解できなかったことが、
私がこの作品が受け入れがたいと感じた根源です。
反対に他のキャラは魅力的で、
性格がまっすぐすぎる金髪ツインテールの清水雷鳴(しみず らいめい)やその兄・雷光(らいこう)は私のお気に入り^^
● 音楽
【 OP「CRAWL」/ VELTPUNCH 】
かっこいいOPですね。
なんだかお手本のようなアニメーションだな…と思いながら見てました。笑
【 前半ED「HIKARI」/ ELISA 】
【 後半ED「あるがまま」/ アナム&マキ 】
どちらもしっとり感動系なEDです。
前半EDの方が切なくて、後半EDは少し温かさが感じられます。
物語の進行に合わせての変化なのかな。
● まとめ
物語の中心となる森羅万象という力は、
結局何だったのかよくわからないままでした。笑
それなのに、森羅万象に振り回され続けたキャラクターたち。
強大な力は存在するだけで争いを生むのですね。
26話見ましたが、
積み重なった重みはあまり感じませんでした。
あらゆる出来事を通して人物の内面は変わったんだなというのは感じますが。
結局、壬晴と宵風に振り回されただけのような気がします^^;
キャラに共感したり好きになったり応援したい気持ちになったりしなかったなあ。
物語全体の流れは悪くなかったけれど、
作品への愛着は残念ながら持てませんでした。